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日本基督教団 The United Church of Christ in Japan

【4778号】第38総会期 第2回常議員会

2013年8月3日

日本キリスト教会館問題持ち越し

各地での教区総会を終えて38総会期第2回常議員会が開催された。議論はかねてより懸案であった日本キリスト教会館問題に多くの時間を割いた。また伝道推進室からは基本方針と共に実質的な活動開始の詳細な報告があった。2012年度決算が各部門より出揃い新年度予算計画の報告を受けた。

第38総会期第2回常議員会は、7月1、2日両日、教団会議室で、30人中29人が出席して開催された。
伊藤瑞男副議長の説教による開会礼拝後、議事に入り、要請陪席者として15教区議長・議長代理が出席した他、4月に就任した芳賀力・東京神学大学学長が陪席し、「東神大と教団との関係正常化に感謝している。私個人ではなく、教団立の東神大を代表して出席した。東神大は、福音の伝道を神学的に深め、優れた教師の養成に努めたい」と挨拶した。
総幹事報告で長崎哲夫総幹事は、「東日本大震災救援では、会堂・牧師館再建の支援金・貸付金、キリスト教主義学校、地域支援を順次進めている。阪神淡路大震災第2次募金の貸出金6626万円、うち個人貸出金2904万円については、兵庫教区と連絡を取り、処理して行く。
沖縄教区の教区活動連帯金と沖縄宣教連帯金は、従来、沖縄教区負担金と相殺し送金していたが、今後、相殺措置はしないとの方針を伝えたところ、沖縄教区から直ちに負担金の納入があった。
日本キリスト教会館の耐震問題は、会館問題小委員会で協議を続けて来たが、早稲田奉仕園の協力が得られる見通しがついたため、常任常議員会の議決に基づき、会館管理組合に、会館の建て替えを含めた検討を申し入れた」との報告を行った。
貸出金問題の質問に対し、小林聖・兵庫教区議長は、「貸付高は毎年確認し、確認書を送って、少しづつ返済して貰っている。個人貸付は亡くなられた人も出ている。資料の提出には、やぶさかではない」と答えた。
続く、常任常議員会報告で雲然俊美書記は、「昨年10月の精密診断の結果、日本キリスト教会館は、『4〜6、8階が判定基準を下回り、倒壊または崩壊する危険性があり、耐震補強が必要』との報告を受けた。小委員会は検討を続けて来たが、耐震工事に膨大な費用が掛かること、早稲田奉仕園の協力の申し出があったことから、5月の第2回常任常議員会は、『会館の建て替えを行う方向で検討を進める』ことを承認した」と報告した。ここから、今常議員会最大の論議が始まった。
教区活動連帯金検討委員会報告で、伊藤瑞男委員長(副議長)は、「36総会期に発足した委員会は、37総会期以来、伝道資金設置を協議して来た。今総会期中に『伝道資金規則』を整えたい」と語り、その概要を「教区活動連帯金を廃止し、伝道資金とする。賦課金額は従来の出席者人数勘案をやめて、現住陪餐会員数のみの比率とする」と報告した。
(永井清陽報)

会館小委再編成、10月再提案

日本キリスト教会館問題は、2日間行われた常議員会の両日に及ぶ議論となったが、まず1日目午後の常任常議員会報告から始まった。
「報告には、『建て替えの方向で検討を進めることで常議員会の承認を得る』とある。精密診断を精査し、次に予算とデザインを検討し、最後に出てくるのが建て替えの承認であって、手順が違うのではないか」(岡本知之常議員)、「何故建て替えなのか。その必然性とタイム・スケジュールを示せ」(北紀吉常議員)、の他、「何故、業者の説明まで今常議員会に要請したのか」、「教会の再建なら予算の見直しを行う。教団財政の見直しをしたのか」、「常議員会だけで決めず、教団総会にかけるべき」などの反論が続いた。
これに対し、雲然書記は、「常議員会の議論だけでなく、予算決算委員会の審議も考慮している。常議員会の承認後、教団総会に提案する。ヴォーリズ社の陪席は、業者の選定とは無関係」と答えた。
1日目夕の会館問題小委員会報告で論議は再開し、石橋議長は、「新宿区役所の簡易診断で、強度0.8が必要なのに、0.4しかなく、4階が震度6以上で危険と診断され、屋上にある10tの冷却機器が法律違反と指摘された。そこで精密診断を依頼した」と述べた。
昨年9月ビューロー・ベリタス・ジャパン社が行った耐震精密診断の結果は、地下1階地上8階の会館(1970年完工)で、「0.6以上合格の耐震指標で、4階(東西方向0・445、南北方向0・178)、5階(0・476、0・212)、6階(0・514、0・241)で不合格、8階東西方向0・340で不合格。倒壊または崩壊の危険性」があり、「耐震補強の対策が必要」と診断された。ただし、「現地調査の結果、柱・梁に顕著なひび割れなどの損傷がないので、長期に対して耐力上支障がない」とも、報告されている。
鈴木功男・小委員会書記は、「教団は会館の10のオーナーの1つで43%所有しているに過ぎない。耐震工事費用は概算5億2828万円に、移転・賃借費用、隣接建物AVACOの営業補償費がかかる。新築の場合は、第1種住居地域の高さ制限20mがあり5階建、面積は現在の70%に減少する。新築費用は8億1661万円。教団負担分は、3億3163万円となる」との試算を報告した。
籔田安晴・小委員会顧問(年金局理事長)は、「耐震補強工事費が巨額に上るので、スペースは減少するが、改築の方が安上がり。移転も選択肢の1つだが、袋地なので売却が難しい。教団としては現在地での改築が最適」と補足説明した。
ここでも、「『建て替え』ありき、で進んでいる」(北常議員)、「小委員会に託したのは、耐震診断、土地評価、他団体入居者との協議までだった筈だが、既に、銀行と折衝するなど、対外的な行為を行っている」(岡本常議員)と反論が続いた。岡田義信・小委員会委員は、「会館は、権利者関係が複雑で、土地は売却出来ない。全体的な方向として、改築以外に途はない」と語った。
2日目午後の「日本キリスト教会館の耐震対策に関する件」で会館問題は、再燃した。要請陪席者として出席したヴォーリズ社の片桐郁夫氏は、「構造の専門家でないので、構造上の細かな説明は出来ないが、鉄骨の地下1階から地上3階までは問題ないが、鉄筋コンクリート4〜8階の中の4〜6階が不合格となった。工事の場合、移転先は業者が斡旋する。複数の建物を建てるとしたら、土地も区分けが必要となる」と説明した。
共同オーナーからの離脱、隣接地の買収に言及した質問に対し、岡田委員は、「法律的に離脱は可能だが、教団が独自に補強するか売却するかになる。耐震補強には巨額を要し、土地は事実上売却出来ない。小委員会は考えられるあらゆる方策を検討したが、改築しかないという結論に至った」と述べた。
平行線で収束の見えない論議に、石橋議長は打ち切りを提案。「小委員会に、3役、予算決算委員長を加えて再編成し、次回常議員会に再提案する」ことを諮ったが、メンバーに異論が出たことから、「常任常議員会で新メンバーを決め、常議員会に提案する」として承認を得た。2日間に亙り、激論の続いた会館問題は、10月常議員会に持ち越しとなった。
(永井清陽報)

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