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日本基督教団 The United Church of Christ in Japan

安心して眠れる夜を

2023年8月1日

安心して眠れる夜を
――ひとりひとりの生と平和を大切に――

6わたしは横たわって眠り、目を覚ましました。
ヤハウェがわたしを支えてくださるからです。
7わたしは恐れません。
取り囲んでわたしに迫り来る万の民を。
(詩編3編6−7節[私訳])

 詩編3編6−7節は身を横たえることすらままならない苦悩の最中で、いつぶりかと思えるように安心して眠り、目が覚めたら朝を迎えていたというただそれだけのことが、いかに幸いであるのかを詠っています。この詩には誰しもが経験する悲嘆や苦悩が詠われており、詩編の詩人も孤独に苛まれて眠れぬ夜を過ごすわたしたちと変わらぬ苦悩を抱えていたことに慰められる思いがします。しかし、日本の侵略戦争を懺悔しつつ、広島、長崎、沖縄にも思いを馳せる暑い夏にこの詩編を読むと、やはり戦時下の状況が浮かんできます。戦争は民族や国などの一定の社会的集団の問題として大局的に捉えられる傾向にありますが、そこに個々の人間がおり、個々の「生」(生命・人生・生活)があるということが忘れられているとの感を禁じえません。詩編3編6−7節は民族や王国という社会的集団よりも、ひとりの詩人の「生」に徹底してこだわり、ひとりの人間存在にフォーカスを当てています。神学的に戦争や国家を省察することも重要かもしれませんが、せめて8月だけは安心して眠れぬ夜を過ごしている個々の人間の思いに寄り添い、ひとりひとりの生と平和を大切にする日々にしたいのです。(小林昭博/酪農学園大学教授・宗教主任、デザイン宗利淳一

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