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日本基督教団 The United Church of Christ in Japan
 
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【4938・39号】人ひととき 村山めぐみさん

2020年11月28日

主の御業に信頼して

村山めぐみさん

牧師の家庭に生まれ、物心ついた時には幼児洗礼を受け、教会学校にも通っていた。思春期には「礼拝か部活か」を巡って、両親との「戦い」を経験することもあったという。しかし、幼稚園がある教会の牧師館で育ったことが、保育者になりたいという思いを与えられる要因になった。

高校3年生の時に小石川明星教会で信仰告白をし、短大に進学して幼稚園教諭の資格を取った。阿佐ヶ谷教会の「つぼみ会」に就職。その後、小石川明星教会の「こひつじ幼稚園」での働きを経て、阿佐ヶ谷教会の子育て支援や、地域のファミリーサポートなど、子どもと関わる仕事を担い続けて来た。「一生懸命励むと、すぐにではないけれども、必ず子どもの成長した姿が見えることが喜びでした」と村山さんは振り返る。

幼児教育を退く頃、年金局業務室長の仕事の話があった。体を動かして子どもと接する働きから一転、今まで扱ったことのないような桁数の数字と向かい合う事務作業を担うことになる。一度は断ったものの、「牧師館で育ったことで、それだけ深く牧師の状況を察しつつ、対牧師、対教会のケアをする働きを担えるのではないか」と引き受けることになった。

謝恩日などに教団年金の話を聞いていたが、どこか漠然としていた。働きを担うようになり、献金に支えられている仕組みの優れている点も課題も見えてきた。「各教会・牧師の問題としてのみ捉えるのではなく、教団全体の牧師を皆で支えるものであることを受け止めて、全ての教師に入ってもらいたい」という。

今年度は特にコロナ禍により献金の減少も心配される。しかし、主は耐えられない試練を与えることはない方であると信じ、主の御業がなされることに信頼して励みたいと語る。

コロナ禍の中、万全の準備をして実施

9月15〜17日の日程で、2020年秋季教師検定試験が開催された。

補教師6名、正教師49名、教師転入審査1名の受験者が与えられた。秋季教師検定試験は正教師試験を受験する者が大半である。その教師を通して聖礼典執行がなされることを待っている教会の祈りがある。教師検定委員会として、新型コロナウイルス感染症拡大の中でも、教師試験の中止は是非にも避けたいと願った。

そのため、これまで説教・釈義などの提出試験に加え、学科試験科目もレポート提出に置き換えることで試験を実施した。またこれまで教師検定試験では面接も試験の一部であることをうたってきた。面接もレポート提出に置き換えることも考えられた。しかし教会でも多くの会議がズームなどを用いたオンライン会議として開催されていることを踏まえ、面接をオンラインで行うこととした。

レポート試験となった学科試験は、提出期間を2週間に区切り、出題・レポート提出のやりとりがなされた。全体会および個人面接をズームを用いて行ったが、受験者のネット環境などの懸案事項もあった。これは事務局により幾度もテストが重ねられるなど、丁寧な事前準備がなされ、すべての受験者と面接することができた。

このようなやり方ゆえに課題もある。学科試験がレポートとなったことにより、回答は概ね良く書けているものが多かった。ただし参考文献の引き写しと見られるものも少なくなかった。

面接試験では「教憲・教規に従って教師として立っていく」などの返答は得られたが、その意味するところを問うと不十分な返答も見受けられ、面接のやりとりのなかで深めることは難しかった。受験者それぞれが、神の御前に行われた教師試験として示された課題を受け止めつつ、み言葉に仕え、伝道の業に励んでもらいたいと願う。

なお、結果は、補教師・合格3名、継続3名、正教師・合格45名、不合格4名で、合格者は、転入1名も含めて、10月26日の第9回常議員会で承認された。(清藤 淳報)

講評

新型コロナウイルス感染症拡大の中、秋季教師検定試験をどのように行うのか苦慮しました。試験会場に一同が集合して試験を行うことは難しいと判断しました。主の伝道の業を中断することはできないこと、また受験志願者の安全を第一に考えることとし、筆記試験を全てレポートに切り替えました。面接も試験として重んじているため、オンラインで行うことを決断しました。全てが初めての経験で、事務局が受験志願者一人ひとりと連絡を取り合い、万全の準備をして試験に臨みました。

当日はトラブルもなく、主に導かれて検定試験を行うことができ、安堵しています。受験志願者も不安と戸惑いの中で試験に臨まれたことと思います。全ては教団の教師として立てられる召命を問う試験でした。主の召しに応え、教団の教師が立てられたことを感謝しています。

第41総会期 教師検定委員長 井ノ川 勝


2020年秋季(レポート試験)・正教師検定試験問題

教憲教規および諸規則・宗教法人法

次の2題に答えてください(両方で1500字程度)。

1.教規66条の(6)には、教会に対する教区の指導が規定されています。一方、教区に対する教団の指導についての規定は明文化されていません。教憲・教規の考え方として、これはなぜなのか、関連すると思われる条文を示して論述してください。

2.宗教法人上の教会規則と、いわゆる教会法としての教会規則には、性質上、どのような違いがあるのか、関連する条文を示しながら論述してください。

旧約聖書神学

次の2題を、旧約聖書の聖書箇所をいくつか挙げつつ、神学的に論じてください。なお、参考にした文献やそれに伴う註も明記してください(各1500字程度)。

1.ダビデとソロモンの治世に現れる、神と国家の関係

2.エレミヤ書における「慰め」について

新約聖書神学

次の2題を、新約聖書の聖書箇所をいくつか挙げつつ、神学的に論じてください。なお、参考にした文献やそれに伴う註も明記してください(各1500字程度)。

1.永遠の命について

2.エルサレムの使徒会議について

教会史

次の問に答えてください(3000字程度)。

◎聖餐理解について、宗教改革期を中心に、古代・中世・及び今日に至る連続性と変遷について、論述してください。

社会福祉施設援助金への推薦のお願い

本年も、前年度分のクリスマス献金を社会福祉施設援助金に充当いたします。教区において下記の条件に該当し、援助を必要とする施設がありましたら、別紙にて推薦くださいますようお願いいたします。

*「教団の教会または教区が何らかの形で関係し、無認可の法人格を持たない開拓的社会事業で、経済的援助を必要としている」(原則1教区1施設)。

申込締切 2020年12月末日(期日厳守)

社会委員長 森下 耕

教師養成制度検討委員会 「日本基督教団の教師論」を提示

第41総会期第9回常議員会が10月26日に常議員28名が出席して行われた。三役、総幹事、幹事、一部の常議員が事務局に集い、多くの議員はオンラインで出席した。

総幹事報告において、秋山徹総幹事は、冒頭、各教区が努力しつつ教団総会議員の選出を行ったことに対する感謝を述べた。また、コロナ禍への対応について触れ、「2021年度版教団年鑑」を休刊としたものの「便覧」の発行を予定していること、41総会期の諸報告は、1期2年間の活動報告を行い、延期された1年間は「補遺」を考えていることなどを報告した。

教団三局については、退職者が出た後、職員の採用は行わず暫くは自然減を続けること、コロナ禍の財政状況に鑑み、幹事の夏期一時金を減額したことなどを報告した。

青年伝道については、「教団メディア戦略」について、ユーチューブなどで発信するスタジオ構想を検討していることなどを報告した。

質疑応答の中で、会議における書面決議の有効性について質問があり、秋山総幹事は、「幹事のレベルでは協議しているが、正式なルートに乗せて協議はしていない。既に終わった会議については、有効なものとして進んでいる」と述べた。

教師養成制度検討委員会の報告では、菅原力委員長が、教団の教師論を明らかにした3頁にわたる文章「日本基督教団の教師論」を報告した。芳賀力東京神学大学学長は、「記されているのは最も基本的なこと。神学校と教団が共通の土台に立てるように、更に展開してほしい」と意見を述べた。また、「二種教職制、沖縄教区のことはどう反映したのか」、「合同教会の教師論として相応しいのか」、「信徒についても言えることであり、具体的な職能を記すべき」等、様々な質問、意見が出された。菅原委員長は、「教師をめぐる諸問題を反映するものではなく、信仰告白・教憲が記す一番大事な部分を共有するためのもの」と述べた。

石橋秀雄議長は、教団として丁寧に扱い決議することが重要との判断から、「今回は報告承認とし、2月の常議員会に三役から議案として出した上で諮る」と述べた。

教団伝道対策検討委員会報告においては、岸俊彦伝道推進基本方針展開検討小委員長が全国伝道推進献金の報告と、一巡した『信徒の友』への掲載を、費用負担を減らした形で継続することを報告した。久世そらち機構改定検討小委員長が、来年の総会までに機構改定の理解を深めるために『教団機構改定に関する検討資料』についての「Q&A」を作成すること、作成したものをホームページに公開し、順次内容を追加して行くこと等を報告した。

第42回教団総会に関することとして、教団総会準備委員会から、2021年10月26〜28日、池袋・ホテルメトロポリタンで、ホテルが実施する6割の人数制限に従い、2会場をリモートでつなぐ形で実施することが提案された。「ホテルを使用せず、各地域をオンラインでつないで開催しては」との意見も出されたが、提案の通りに可決した。(新報編集部報)

財務関連:第2次補正予算、教区負担金10%を削減

財務関連の議案は2020年度第2次補正予算、2021年度予算さらに2021年度伝道資金運用の件が取り扱われた。

まず第2次補正予算について宇田真予算決算委員長は、本補正予算が教区議長会議において負担金の減免を求める声が多数あがったのを受けて編成したものだと説明。教区負担金が一律10%、金額にして2417万6600円が削減される。その結果、経常会計の事業活動収入計は教区負担金削減分が減少し2億7753万8400円となる。支出については、多くの会議がオンラインで行われたことから常議員会費や委員会費等を当初予算比で60%減としたのに加えて、総幹事および幹事の夏の一時金受け取り辞退または50%減額の申し出により人件費を222万円削減。こうした支出の圧縮によって負担金10%減が実現した旨が報告された。

以上から事業活動支出計は2億7716万2000円。差益は第1次補正予算の1627万3500円から37万6400円に減少した。

次に2021年度予算案ではコロナ禍の影響が続くことを勘案し収入の部では教区負担金を7%、支出の部では引き続き会議がオンライン中心になることを見据えて常議員会や委員会に関わる多くの費用項目で50%削減とした。20年度第2次補正予算と比べて削減幅を縮小したのは、今後諸活動が可能となる状況も考慮したためである。そのほかNCCへの分担金を前年度より10%削減し648万円とした。以上から21年度予算の事業活動収入計は2億8098万1840円。支出計は2億7913万3500円。収支差額は184万8340円の差益となる。

20年度第2次補正予算ならびに21年度予算はともに賛成多数で可決、成立した。

2021年度の伝道資金運用については、久世そらち伝道資金小委員長が、教区負担額計が5384万1000円、交付額計が5110万5897円となることを説明し承認された。

なお今年度はコロナ禍の影響で各教区の伝道資金を用いた活動が行えず、執行残が返金されることが予想される。返金の取り扱いについては規則に明記されていないため、次回常議員会にて検討を行うこととなった。(米山恭平報)


出版局:経営改善検討チームを設置

最も時間を割いたのは、「日本キリスト教団出版局の件」であった。

まず雲然俊美書記は、出版局に関する三者協議会の報告をした。その中で、「出版局職員より身を削って協力したいとの申し出があり、夏期一時金の不支給、課長職の給与の一部削減がなされたとの報告を受けている」と伝えた。続いて議案について説明し、出版局の事業及び財務の改善に関して三者協議会のもとに外部専門家も加えた「出版局経営改善検討チーム」を設置し、取り組みをさらに推進すると述べた。

出版局に関して、山北宣久出版局理事長より説明がなされ、出版局から日本基督教団の各教会に向けて、現状の説明と具体的な支援の依頼を11月初旬に発送する予定であることが報告された。

加えて、石橋秀雄議長が常議員会で本件の課題を扱うようになった経緯を述べ、現状況では外部専門家を入れるのは必要不可欠と判断し、加藤真澄氏(経営コンサルタント・国際キリスト教大学教会員)に依頼するに至ったことを報告した。

また、飯光出版局長代行は、8月時点での会計状況について、「売り上げが前年同月比800万円減となったものの、当期純利益は経費の圧縮等により前年同月比2700万円増の6万円減と抑えられている」と報告した。

一連の経緯説明を受けた後、議場からは、経営改善検討チームの位置づけや外部専門家への報酬をどこから支出するのか等の質問があった。石橋議長が、外部委託費用は130万円ほどであると述べた他、改善検討チームは常議員会が設けた三者協議会の中に置くものであり、これに関わる費用は常議員会費より支出する予定であるとの説明があった。

また、現状の調査、検討だけでなく、具体的な改善案を示すチームとするよう、修正を求める意見があった。質疑を受けて、三役協議の後、議案に「費用は常議員会費から支出する」、提案理由に「具体的経営改善策を打ち出し、それを実施しようとするものである」との文言を加える修正がなされた。

宇田真予算決算委員長は、次回常議員会で常議員会費から支出するための補正を行う必要があることを補足した。採決の結果、28名中27名の賛成を得て、本件は承認された。(田名 希報)

愛は絶えることがない

鳥取教会社会委員長・社会福祉法人鳥取こども学園理事長 藤野 興一

「愛は絶えることがない」(コリント一13・1〜13)、この聖書の言葉が鳥取こども学園の創立の精神である。

創立以来、貧困や虐待、親の死亡等により家庭で生活できない子どもの「家」として、115年間一日も休まず歩んできた。

子どもたちは、日課として礼拝を守り、職員も、毎朝全職員が関わる礼拝形式の朝会を続けてきた。百年以上続いてきた学園(院)の文化としての礼拝は、学園墓地も含めて園(育児院)の大きな霊的財産である。

また、2008年から本田哲郎神父著「釜が崎と福音」読書会という形で「キリスト教社会事業研究会(木曜会)」を開催し、何度か本田神父にも参加していただいた。休会も含め12年続けている。この間、木曜会常連の法人幹部職員5名が相次ぎ受洗、鳥取教会の役割を引き受け、「大胆に外に向けて踏み出そう」とアクティヴに活動し始めている。

今の世界は、ヒトラーやムッソリーニ、東条英機らの時代に酷似している。「障がい者不要論」による無差別殺人、コロナ感染者への差別攻撃、難民拒否、感染予防に名を借りた権力犯罪・差別、自由の圧殺が行われている。飢えと暴力が子どもたちを襲い続け、ネオナチ党などの極右勢力が台頭している。

2019年8月、「新しい社会的養育ビジョン」が、現場を知らない学者や政治家による「施設解体論」として出された。これは、施設で暮らす子どもの居場所を奪い、日本の優れた福祉文化を破壊するものである。

日本キリスト教児童福祉連盟は、2015年と2017年に、施設の高校生とスタッフをカナダ・トロントのアドボカシー事務所に派遣し、アーウィン所長も日本を訪問された。また2018年と2019年には、養育研究所のメンバー4名でトロントのアドボカシー事務所とライアソン大学を訪問、大歓迎を受けた。

アーウィン所長率いるオンタリオ州アドボカシー事務所やライアソン大学との関係では、鳥取養育研究所、鳥取大学、鳥取こども学園との間に、3年間の交流研究協定が結ばれた。3年間の間に「鳥取県に、日本・鳥取県独自のアドボカシーシステムを構築すること」としている。

当面は、カナダで「子どもアドボカシー」を学んだユース5名、職員6名で構成する運営委員会が結成したHope&Home(H&H)を内実化し、10月24〜25日合宿に期待したい。

鳥取こども学園は慈善事業の時代から、日本の社会的養護分野の先駆的役割を担ってきた。2011年7月の「社会的養護の課題と将来像(課題と将来像)」及び「日本型社会的養護」の先行実践モデルである。その牽引力は神様の愛に導かれたキリスト教社会事業と当事者中心のアドボカシーの実践にある。

自然や心よりもお金や物を大事にしてきた今までの世界をコロナウイルスは改めるよう迫っている。世界中の子どもたちが未来に向けて発言し、闘いの先頭に立とうとしている。9月に79才の誕生日を迎えた私も、生かされて彼らに力をもらいながら共に歩みたい。感謝です。

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