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日本基督教団 The United Church of Christ in Japan
 
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【4838号】2016年春季教師検定試験 教憲教規、条項の列挙に留まらず論ずることを

2016年4月9日

説教のため釈義する力、神学的思索の力をさらに

 去る2月23日から25日にかけて、春季教師検定試験が行われた。今回の検定試験の受験者数は、補教師試験46名、正教師試験25名、計71名であった(他に転入審査2名)。キリスト教会館(東京・西早稲田)が耐震工事に伴い使用できないため、今回の春の検定試験も、信濃町教会(東京教区)を借りて行われた。信濃町教会の厚意と、事務局の入念な準備によって、支障なく行われたことは感謝であった。

 試験全体の印象は次の通りであった。まず、補教師の提出試験である釈義と説教は、旧約からはカインとアベルの物語、そして新約はヘブライ人への手紙からが課題箇所であった。旧約に関しては、物語として良く知られている個所であったために扱いやすいテキストであり取り組みやすかったと思われた。反面、聖書テキストそのものに深くとどまることよりも、表面的な事柄で満足してしまう傾向も見られた。やはりテキストが何を語ろうとしているのかを丁寧に釈義することの大切さを覚えて欲しい。特に補教師はコースによっては釈義が採点対象になっていないが、釈義が説教の力強さにつながっていることを覚えてもらいたい。同様のことは新約にも当てはまり、説教というよりも説明で終わっている印象の説教が多くあった。福音を語ることの意味をとらえてもらいたい。全体的にテキストを釈義する力、また一つの事柄を神学的に思索する力が、より求められると思われる。

 筆記試験の印象は次の通りであった。「教憲教規および諸規則・宗教法人法」の試験は、今回は正教師、補教師共通の問題とし、論じることを求めたが、条項の列挙で終わっている解答が多く見られた。論じることの不足は、組織神学的思考の不足と相通ずる面があるように思われる。聖書神学については、旧約、新約ともに幅広い聖書の理解が不十分に思えた。聖書を一面的に捉え、俯瞰的に捉える力の不足を感じる。もっとも基本的なこととして、聖書が精読されているかどうかが解答に現れているように感じられた。教会史の問題も、神学校で問われているはずのものであったが、やはり、歴史全体を見渡す力が欠けていると思わされた。とはいえ、良く準備して臨んだと思われる者は、いずれの教科においても十分な解答を得ていたので、そもそも、教師となるための心構えが問われているのかもしれない、ということを考えさせられた試験でもあった。

 近年、面接もまた試験であることを説明し、面接に臨んでもらってきた。今回も同様に行った。個人面接試験では、自分自身の言葉で答えるよう促したこともあり、受験者の生の声に触れることができたことは良かった。学科試験だけでは推し量れない受験者の思いも聞くことができることは、面接を試験として捉えていることの利点と言えるであろう。わけても、召命観を確認し合えることは、恵まれたときでもあった。

 その後、学科試験の判定が保留となった者たちの再レポート課題提出・採点を経て、3月22日の教団三役会において合格者承認がなされた。結果は以下のとおりである。補教師試験=合格34名、不合格1名、Cコース継続11名。正教師試験=合格23名、不合格2名。

 また今回も、教師検定規則3条6号対象者(Cコース受験志願者)2名の認定面接が行われた。受験志願者の召命の確認や、受験に向けての説明を丁寧に行うことができた。

 次回の認定面接は、秋季検定試験後に行う予定にしている。
(服部 修報)

 

講 評
 今春季試験は、キリスト教会館耐震工事に伴い、信濃町教会(東京教区)を会場にお借りして行われました。

 今試験の「教憲教規」(筆記試験)においては、「会議制を論じてください」という出題をいたしました。しかし、条項を列挙するだけで、論じるところまで至らない解答が多く見られました。諸規則を記憶するだけではなく、なぜそのような仕組みになっているかを理解する学びを期待しています。

 面接試験においては、召命と献身の思いを述べていただきました。主からの召命を重く受け止め、献身を誓う言葉を、それぞれの受験者の口から聞くことができました。

 これからも、私たちの教団に、収穫の主が働き人を送ってくださることを切に祈ります。

第39総会期
教師検定委員長
鷹澤 匠

2016年春季・補教師検定試験問題
教憲教規および諸規則・宗教法人法
(60分)(A,B,CⅢ)
次の2題に答えてください。
1.「教憲教規および諸規則」に定められている会議制について論じてください。
2.宗教法人となっている各個教会の宗教法人規則変更手続きの順序を、当該条項を挙げて述べてください。

 

旧約聖書神学(60分)(B,CⅢ)
次の2題に答えてください。
1.バビロン捕囚について旧約聖書はどのように考えているか、旧約聖書のテキストをいくつか挙げつつ神学的に論じてください。
2.旧約聖書におけるサタンについて、旧約聖書のテキストをいくつか挙げつつ神学的に論じてください。

 

新約聖書神学(60分)(B,CⅢ)
次の2題を、新約聖書のテキストをいくつか挙げつつ、答えてください。
1.新約聖書における「神の国」について、述べてください。
2.エフェソの信徒への手紙における教会理解について、述べてください。

 第135回神奈川教区総会は、2月27日清水ヶ丘教会で正議員232名中、173名出席で開催された。

 今総会では2016年度予算案の説明文中に記されていた、教団への伝道方策交付金の申請を行わないという常置委員会の決議に関して質問が活発に行われた。

 議場から申請しないことの説明を求められた平良愛香教区議長は、「2015年度は以前の負担額と同じになるように申請したが、この伝道資金を問題視する教区もあることを知り、どこに問題があるかを教区内で話し合う必要性を感じた。今回はその時間が持てず、申請を見送った」と答えた。

 議長の説明を受け、議場から「教会が教団に申請するのを教区が却下したことを説明してほしい。そのような権限が地域共同体である教区にあるのか」との質問があった。平良議長は、「今年度の申請を受け付けないという葉書を各教会に送付したのは、締め切りに間に合わなかったため」と理由を述べ、「拒絶するようには決めていない」と答えた。ただし、議場から挙がった「教団新報などに、締め切りが過ぎていても教団は申請を受け付けるとあった。また、次年度の申請に関しては、前向きに議論されるのだろうか」との質問には「常置委員会で検討する」とだけ答えるにとどまった。三宅宣幸書記は、「教団は、伝道交付金を受ける教会が教憲教規を守っているかどうかを教区でチェックするように連絡してきた。どのようにチェックするか常置委員会で検討したい」と付け加えた。挙手による採決で143名中132名の賛成によって予算案は可決された。

 また、教区における「ハラスメントの防止等」に関する規則の制定を常置委員会が提案したが、議場からは、提出された規則に不備が見られることが多方面から指摘され、時期尚早であるという意見が多く寄せられた。その中で、常置委員会への差し戻しの動議が提出され、138名中107名の賛成で差し戻しとなった。

 その他、辺野古基地建設の撤回を求める議案は、128名中97名の賛成によって可決された。1名の按手礼が執行された。
(佐藤 進報)

 東北教区主催の東日本大震災5年記念礼拝が3月11日、郡山教会で開催された。長尾厚志牧師(仙台ホサナ)司式で始まった礼拝は、エレミヤ17・9〜14、ヨハネの手紙一3・18〜24の聖書朗読が終わった大震災発生時の午後2時46分、出席者110人全員が起立して、1分間の黙祷を捧げた。

 「神の大きさに生きる心」と題した説教で、石井佑二牧師(山形本町・教区書記)は、「大震災・原発事故から5年。さまざまな思いが交錯する。あの日、教会では卒業園児のお別れ会を開いており、午睡している子もいた。大きな揺れが収まった時、園児の確認をし、近隣の教会に安否確認の電話を掛けた」と切り出し、こう続けた。「頭が真っ白になる中で、自分が何をできるかを必死に考えた。今、振り返って見れば、もっとすべき業があるのではと考えて、不安を覚えていた。その不安が、5年後の今でも続いているのではないか」。「生活の不安、放射能の怖さは、今も続いており、私自身の心の弱さを思う。震災を忘れさせる風潮に、私もいるのではないか」と問いかけ、「『人の心は病んで』いても、人間は気づくことが出来ない。『心の弱さを解決するのは神だけ』(エレミヤ)と聖書は教えてくれている」と石井牧師は力強く結んだ。

 献金祈祷では、山形・宮城・福島3県信徒がそれぞれ祈りを捧げた。

 礼拝後、挨拶に立った小西望東北教区議長は、「まだ5年、もう5年という思いが交錯している。教区で被災した19教会・牧師館はすべて建て直し・補修工事を終えた。

 教団の救援対策本部は来年3月末で閉じるが、東北教区としてはまだ、救援活動を続けなくてはならず、どういう形で出来るか、5月の教区総会で考えたい」と、教区独自の救援活動続行姿勢を表明した。

 東京から駆けつけた高橋和人前教区議長(田園調布)は、「誰もが辛抱し、忍耐して来た。だが、辛抱したり忍耐しているうちは、負けることがないと信じている」と励ましの言葉を贈った。

 この他に、奥羽教区では北東地区・大三沢教会(3/6)、秋田地区・秋田桜教会(3/11)、岩手地区・下ノ橋、新生釜石、大船渡各教会(3/13)、北西地区・五所川原教会(3/21)にて、関東教区ではアジア学院(3/11)にて、それぞれの記念礼拝が捧げられた。
(永井清陽報)

「神はお造りになったすべてのものを御覧になった。見よ、それは極めて良かった。」
(旧約聖書・創世記1章31節)

 東日本大震災から5年が経過しました。今この時も、被災地にあって困難な日々を送っておられる方たち、また、放射能汚染から逃れて故郷から移住し、不安な日々を過ごしておられる方たちに、神のお支えとお守りを心よりお祈りいたします。

 日本基督教団は震災から2年目の2012年3月に、「原子力発電というものが…神の創造の秩序を破壊し、命あるものの関係を断ち切る人類滅亡の危機の始まりとなりうること」を指摘しました(『福島第一原子力発電所事故に関する議長声明』より)。

 また、3年目の2013年3月には、「あらためて原子力発電所の稼働停止と廃炉に向かっての処置がなされるように求める」ことを表明いたしました(『福島第一原子力発電所事故三年目に際しての議長声明』より)。

 東日本大震災から5年目を迎えるこの時、原子力発電所事故が引き起こした深刻な問題が今なお継続していることを誰もが認識しております。きわめて長い期間にわたる避難生活が続いておりますし、震災関連死者数も増加しております。

 そのような中で、まるで福島における原発事故とその被災者の存在を無視するかのようにして、2015年8月11日、九州電力は川内原子力発電所1号機を再稼働しました。その際、政府は、原子力規制委員会による審査は「世界で最も厳しいレベルの規制基準」によってなされたと述べていますが、「世界で最も厳しい」ということには何の根拠もありません。

 また、田中俊一原子力規制委員長は、「川内原発は新規制基準に適合したもので、安全と認めたわけではない」と発言しました。まさにその通りで、基準に適合したからといって、原子力発電所の稼働が安全であるということでは全くありません。さらに、事故が起きた場合の防災対策もきわめて不十分なままです。

 世論調査においても、全国で半数を超える人たちが原発の再稼働に反対している中で、これらの国民の声を無視して原子力発電所の再稼働を進めていることに強く抗議します。

 それと共に、政府に対して、原子力発電所の稼働を停止し、すみやかに廃炉に向けての処置を取ることを求めます。

 東日本大震災から5年目を迎えるにあたり、私たちは、神がお造りになり、聖書が「見よ、それは極めて良かった」と述べている世界の回復を心から願い、祈ります。

 そして、国内外の諸教会との連携・協力において、それぞれの場で原子力に依存しないエネルギー政策への転換の取り組みを求める働きかけを継続してまいります。

2016年3月11日
日本基督教団総会議長 石橋秀雄

 救援対策本部第11回(通算第45回)会議を、2月19日、教団会議室にて開催した。

 会議の冒頭で、佐藤真史教団派遣専従者および戸枝季子スタッフ(エマオ仙台)から、祈りとスローワーク(出会いとコミュニケーション)の2つの軸を中心に、仮設住宅入居者への寄り添い支援を継続する中、教団としての支援活動終了後に向けての検討を進めていること等が報告された。

 次に深谷有基教団派遣専従者(エマオ石巻)から、現支援体制終了後を見据えての被災者支援活動(各地域が課題を担う体制とすることなど)を進めていること等が報告された。

 最後に平田信之教団派遣専従者および佐々木ムツ子スタッフ(ハートフル釜石)から、傾聴の重要性、自立への助力、孤立死の防止等の活動状況の報告がなされた。

 会議においては、2月19日現在、全国募金が10億2037万9198円、海外からの献金が4億487万6231円と報告された。

 救援対策室からは、被災教会への貸付金の返済状況、こひつじキャンプ開催報告・計画、被災3教区幼児教育担当者会による被災教会・幼稚園訪問報告、被災地支援チャリティコンサート開催計画等を扱ったことが報告された。

 続いて、奥羽教区(宮古教会借入金返済計画確認、震災5年を覚えての礼拝開催計画、江刺教会会堂建築計画など)、東北教区(2016年度活動計画・予算、スタッフ体制検討、「いずみ」における甲状腺検査実施など)、関東教区(水戸中央教会会堂建築工事進捗状況など)の報告がなされた。

 審議事項では教団救援対策活動関係職員の雇用承認、2016年度本部会計予算案検討、エマオ石巻の今後についての検討、アジア学院からの教団借入金返済免除申請の検討(継続審議)等を扱った。
(雲然俊美報)

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