伝道方策巡り、根底からの活発な議論
放射能汚染についての講演会開催
第37総会期第3回常議員会が、7月4~5日、全常議員の出席を得て開催された。要請陪席者も、沖縄を除く全教区議長または代理人が、各委員長も全員が出席した。
前回常議員会での北紀吉常議員の提案が容れられ、会議冒頭、同常議員の司式・説教で、短い礼拝が持たれた。1996年第30回教団総会で選出された小島誠志議長は、総会議事規則第1条に則り、常議員会を祈りによって始めるべく、聖書日課による聖書朗読・祈祷を導入した。礼拝によって常議員会が始められるのは、一体何時以来のことなのか、手元の教団新報にも記載がなく、内藤留幸総幹事の記憶にもない。全く初めてのことだろうと思う。
北常議員は、創世記15章1~6節に基づき、アブラハムと主との不思議な問答を、教団の現実と重ねて描き出し、『恐れるな』という言葉の背景にあるものを顕わにし、同時に、これを今の世と教団へのメッセージとして語った。
石橋秀雄議長は、「議事に先立っての挨拶」として、全教区への四役による問安の報告を行い、「(各教区総会で)東日本大震災への取り組み、懸命な支援を見た」と語り、これに鑑み「11月頃に、17教区議長会議を開催したい」と述べた。
書記報告では、雲然俊美書記が、常議員会記録について、「発言録ではなく、議事録を公式に残したい」と発言し、質疑があった後、「発言録は参考資料、議事録が総会記録に残る」とし、議長は、「発言録は発言録として残すが、承認を求めるのは議事録」と確認し、これが承認された。
総幹事報告では、「問安拒否教区の明記を」との意見があり、また「教団建物の耐震性は、診断と補強等の対応は」との質問があった。内藤総幹事は、「会館管理組合で対応を協議している」と答え、藤盛勇紀総務幹事が、「入居者からの不安の声に対応、簡易診断を行った。説明会も持った」ことを補足説明し、総幹事は次回常議員会に資料を出すことを約束した。
「教区活動連帯金検討委員会報告」では、③今後の構想のa.伝道資金の名称で、「全教会経常収入1%で資金を置く」、について激しい議論が起こった。「一端現行の活動連帯金の終結を」、「現状維持のための制度ではなく、資金投下として」、「負担金そのものの検討が必要」、「27教団総会の決議を踏まえていただきたい」、「1%は無理でも、従来通りのことだけでは、教団に明日はない。伝道についても深めて行きたい」など様々な意見が述べられた。
伝道方策検討委員会報告では、委員会の「1.目的と課題」が、下記のように上げられた。▼発題や協議そのものが、伝道の資料提供となる▼伝道方策が机上の空論にならない▼《伝道する体制》を整えることを基本的使命としたい▼現実的・具体的な伝道の働きをなし、その実績を踏まえ、伝道方策を立案したい▼調整役となって各委員会と連携し、中長期的課題に取り組む。更に、「2.具体的な課題」が多項目上げられた。
これに対して、「(委員会の)メンバーが全教団的とは言えない」、「教師らしくない教師がいるのではないか。説教力アップは、改革への回り道のようで近道ではないか」「伝道所や小教会の意見要望も汲み取って」「幼保一元化について、国の行政指導と教団のスタンスは、教団の中には反対するグループもあるので慎重に」「伝道する体制と言うが、システムではなくて、態勢ではないのか。行動・具体的な取り組みではないのか」等の要望や意見が多項目に渡り述べられた。
また、「日曜以外は使われていない教会堂を、伝道のために、地域のために如何に用いて行くか調べて欲しい」との要望もあった。
初日夕食休憩後には、「福島第一原発の現状と評価」と題して、岡本知之副議長による小講演があった。放射能汚染の状況と被害の現実とを、詳細な資料を上げて例証し、警鐘を鳴らすと共に、教団として取り組むべき課題について議論する上での土台を提供した。
初日夕食休憩までの時間には、他に、「内外諸教会との関係に関する件」「在日韓国朝鮮人連帯特設委員会報告の件」等が扱われた。
尚、ここまで報告は全て原案通り承認された。
(新報編集部報)
4月18日の東日本大震災対策を審議する教団臨時常議員会の時、「今年は四役が手分けして、全教区の問安を致します」とお話ししました。
「教団の一致」これを崩してはなりません。今、教団は教団信仰告白で一致しています。この信仰の一致を崩してはなりません。この信仰の一致のもとに「伝道する教団の再建」ということは、わたしの悲願です。
わが日本基督教団は「主の御体なる教会」と信仰告白で告白され、「主の主権」のもとにある教会です。
この主の御体なる教会としての教団に対して「距離を置く」ということは教団にとっての大きな痛みです。
東日本大震災の被災教区の教会の痛みと苦しみも、「主の御体なる教会」としての教団の痛みであり、苦しみです。
この信仰の一致において、東日本大震災への対策と取り組みがなされなくてはならないと考えています。
救援対策本部が掲げる大震災の10億という献金目標も、この信仰の一致において可能となると信じています。
この切なる思いと祈りをもって、議長として7教区の問安をさせていただきました。
そして、その感想は?
感想というより「ただただ、祈り続けて、主の御体なる教団の教会を形づくって行きたい」この思いを新たにされました。
(教団議長 石橋秀雄)
「茹でガエル理論」ご存じですか?
茨城YMCA総主事、水海道教会員。
鍋の中に蛙を入れて、じわじわと温度を高くしていくと蛙は、鍋から出て行くチャンスを逃し、茹だってしまう。常に、身の周りの変化に敏感でなければならないという教訓、「茹でガエル理論」。仕事にたずさわる中で、繰り返し思い起こす。教会もキリスト教主義の活動も、自らが置かれている世で起っていることに気がつかないでいると茹だってしまう。
70年代、新聞でYMCAホテルの募集を見つけて就職した。職場の人間関係に悩み、松戸教会に通い洗礼を受けた。それ以来、教会とYMCAの活動に身を献げている。茨城YMCAに設立の時から関わり、現在、総主事として務める。全国から多くの人が集まるつくば研究学園都市で、細々と、しかし、着実に活動を続けている。「20万人の都市であるつくばにキリスト教の保育施設が十分に整っていないことは、キリスト教界にとっても恥ずかしいこと。私たちが頑張らなければ」と語る。
地縁、血縁による結びつきが希薄な地域にあって、キリスト教的な背景を持ってコミュニティーを再建して行くことが課題である。子育て支援、青少年教育、障がい児の自立支援の3つを柱にして活動している。
子どもがバイオリンを習うにも英語ということも珍しくない学歴偏重社会で、障がいがある子どもを持つ親が取り残されていく感覚を覚え、孤立してしまうこともある。その中でYMCAらしい活動をして行きたい。
キリスト教主義の活動にたずさわる者として、教会を見る時、教会員が、教会を自分たちの居心地の良い場所にしようとして、教会が内向きになっていってしまう危うさを感じることがある。周囲にいる人々の苦しみに寄り添い、仕えていかないと、いずれ見捨てられる。「教会は、もっとYMCAを利用してほしい」と語る。社会の温度と教会の温度の両方を感じながら、主に仕えている。
011年平和聖日
日本基督教団 総会議長 石橋秀雄
在日大韓基督教会総会長 崔栄信
死者・行方不明者を合わせて2万人以上を出した未曾有の災害である東日本大震災は、私たち日本に住むすべての人々に大きな痛みと苦しみをもたらしました。特に、東北から関東にかけての約500キロにわたる沿岸部を飲み込み、人間の生活の営みを無残に破壊し尽くした津波は、恐るべき自然の力に対する畏怖の念と、そこに暮らす私たちに人間の弱さとはかなさをあらためて悟らせました。このような悲劇の中で、私たち日本にあるキリスト者たちは、私たちの人生に与えられた「故なき患難」の意味を苦しみながら探しつつ、今大きな痛みの中にある人々と共にその痛みを分かちあいながら、それでもなお望みを持って復興への道を歩み始めています。なぜなら、「ひとり子の十字架の上での死」という絶望的な出来事でさえ全人類の救いへの器とされた神は、この絶望をも、私たちが測り知ることのできないその善きご計画にしたがって、未来の希望への器と変えてくださると私たちは信じているからです。
私たち、日本基督教団と在日大韓基督教会は、それぞれの復興支援策を通じて、被災地の教会とキリスト者たちのみならず、すべての人々に寄り添い、その苦しみと痛みを共に担っていくことを決意しています。そのために、すでに実施された緊急支援の他にも、被災地の復興と人々の生活の再建と魂の回復のためのサポートを、教会復興支援と同時に中・長期的に進めることをすでに計画し、実行しています。さらに、「わたしの兄弟であるこの最も小さい者の一人にしたのは、わたしにしてくれたことなのである」(マタイ25:40)と説かれた主イエスの精神にのっとり、被災地における災害弱者(子ども、障がい者、高齢者、外国籍者)を取り巻く問題に、特に大きな関心を払いつつ、復興支援を進めていきます。またこれらの支援策のなかで、必要に応じて両教団が協力し互いの働きを支え合うことこそ、1984年に両教会の間に結ばれた宣教協約のひとつの結実であると信じています。
一方でこの大震災は、私たち日本に住む人々の間違った歩みを明らかにしました。人々の予想をはるかに超える地震と津波の破壊力によって、その制御機能を失い崩れ落ちた福島第一原子力発電所は、最悪の放射能汚染を引き起こし、今も多くの人々の命を危険にさらしています。実に、原子力の軍事利用によって大きな被害を受けた唯一の被曝国であり、核の恐ろしさを他のどの国よりも知っているにもかかわらず、この日本は「必要性」「安全性」「経済性」、そして最近では「親環境性」というスローガンのもと、発電の原子力化を推し進めてきました。また、今回の重大事故に際して日本政府は、一触即発の危機的状況や、人の健康に重大な影響を及ぼす深刻な汚染状況が継続していたにもかかわらず、その事実を多くの部分において隠蔽し、むしろ放射能の被曝基準値を引き上げることによって急場をしのぐという、人々の命と生活に対する責任を放棄する行動を取っています。すでに、これまでの原子力推進政策を支えていた「必要性」「安全性」「経済性」、そして「親環境性」というスローガンのどれもが虚偽であったことが明らかになりました。東日本に住む人々の命を危険にさらし、全地球の環境に影響を与えているこの原発事故は、とどまるところを知らない利便性と利潤の追求の道を歩むことを選択したこの国と、そしてそれを支えたこの国に住む人々が引き起こした「人災」であり、そういう意味でこれは、手をつけてはならなかった強大な力を我がものにして驕り高ぶっていた私たち人間の罪に対する警告であるのではないでしょうか。
日本基督教団と在日大韓基督教会は、この未曾有の震災状況と取り組みつつ、次のことを真摯に祈り求めつつ、共同の歩みを重ねていくことを表明いたします。
1. 被災者に対する公共の中・長期的支援が、精神的なケアも含めて適正に行われること。また被災者支援にあたる民間の努力に対して、政府による支援が十分に行われること。
2. 被災した外国籍者に対する公共の支援とケアが適正に行われること。また災害弱者に対する虐待や差別的待遇の有無が監視されること。
3. 日本政府と東京電力が、原発事故と放射能汚染に関わる全ての客観的事実を、隠すことなく明らかにすること。
4. 原発事故により警戒区域・緊急時避難準備区域・計画的避難区域に指定された地域の住民たちに対する生活保障が、完全に実施されること。
5. 原発事故後、原発作業員の被曝量、また子どもたちの被曝許容量の引き上げに関し、その合理的な根拠を明示し、その値を適正値にもどすこと。
6. 全ての原発の稼働を停止し、廃炉を前提とした処置が取られること。また原子力発電に取って代わる自然エネルギーの開発が全力で取り組まれること。
杉瀬 祐氏(隠退教師)
11年6月11日、逝去。85歳。福岡県に生まれる。’48年同志社大学神学部を卒業、同年宮崎教会に赴任、神戸教会、京都教会を経て、久が原教会を牧会し、’61年より同志社女子大学に務め、同志社教会、上賀茂伝道所(当時)を兼務し、’80年より’91年まで神戸女学院に務め、’95年に隠退した。遺族は娘・星和賀子さん。
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