インスタグラムアイコンツイッターアイコンyoutubeアイコンメールアイコン
日本基督教団 The United Church of Christ in Japan
 
newaccount

【4729・4730号】教会教育の現場にも大震災の影響大 第3回教育委員会

2011年8月13日

6月28~29日の2日間にわたって第37総会期、第3回教育委員会が開催された。
東日本大震災および原発事故の深刻化は子どもを念頭においた教会教育の現場でも重大な影響を及ぼしている。それは教育委員会の議論にも深く関わってくることである。
教育委員会が毎年全国の教会に向けて依頼しているクリスマス献金の送付先について、例年であれば世界の子どもたちと、日本の子どもたちのためにということであったが、今回は東日本大震災を覚えて、特に教団の献金と一つとしていくことを前回委員会でも確認した。今回はその送付先を具体的に検討しようというところでも、岩手・宮城の状況と、放射能汚染のもとにある福島の状況とを一つのこととして考えられないなど、献金送付先の決定についても難航した。
そのような中で常議員会の救援方針に基づいて、子どもたちのために用いられるよう献金していけるようにと再度確認がなされた。また原発事故に伴う放射能の脅威から子どもたちを守るための提言を教団として出せるよう教育委員会としても働きかけて行くこととした。
その他、今後予定しているプログラムの検討を行った。
まず、2011年9月21日に開催する青年担当者会、宣教師との懇談会は、前総会期より始まって今回が2回目になる。それぞれの趣旨の確認をしつつ内容を深めていきたい。
次に、2012年2月に大阪教区を会場に行われる、教会教育セミナー、教区教育担当者会についても検討した。今回は特に「中高生への伝道」を念頭におき、ミッションスクールへの訪問なども含めて開催していくこととした。
同じ2012年8月には台湾の青年たちとのユースミッションが計画されている。関西で迎え、関東から送り出すまでのプログラムの詳細を検討した。
また、キリスト教教育主事認定試験規定の変更に伴い、今後の主事認定のありかたについて協議された。2013年より実施される新しい認定試験規定に基づく受験資格を公正に確認できるよう整えていく作業を始めることとした。
(清藤淳報)

常議員会2日目、7月5日の午後には、主に会計関係の議案が扱われた。
議案第16号「予算決算委員会報告の件」が承認された。兵庫教区から阪神淡路大震災救援金の残金の一部が入金されたとの報告に対し、委員会として監査等をし、残りの返金についてはっきりさせた方が良いとの意見が出された。委員会として対応することは考えていないとの応答があった。
議案第17号「監査委員報告に関する件」が承認された。総論として、景気の後退期にもかかわらず健闘していることが述べられた。
出版局会計について、税務署から、在庫と帳簿の間の不一致を指摘され、申告額に修正が発生したことを受け、在庫管理を徹底するよう述べたことが報告された。
議案第18号「2010年度教団歳入歳出予算補正に関する件」が承認された。新潟県中越沖地震救援募金の残金および阪神淡路大震災救援資金の一部が入金されたこと、またスイス・韓国三国間教会協議会が延期されたこと等による補正があったことが報告された。
議案第19号「2010年度教団歳入歳出決算承認に関する件」が承認された。25頁に渡る資料によって丁寧な報告がなされた。
議案第20号「2011年度教団歳入歳出第一次補正予算に関する件」が承認された。東日本大震災により、奥羽、東北、関東の三教区の負担金を合計して、862万9千円を減免する補正を行うことが報告された。減免された分は、2010年度の繰越金によって賄うことが提案されている。
議案第23号「2010年度出版局事業報告並びに決算承認に関する件」が承認された。小島誠志出版局理事長より、出版局の売り上げは年々、漸減しているものの、製造費用の大幅削減等により、877万程の利益があったことが報告された。また、書記の望月克仁常議員より、出版局についての詳しい説明があった。
議案第24号「2010年度年金局事業報告並びに決算承認に関する件」が承認された。免職処分中の北村慈郎氏の年金については、減額規定を受けて、理事会として、75パーセントとしたこと等が報告された。
議案第26号「教区規則変更承認に関する件」が承認された。京都教区の、教区改革特設委員会、改訂宗教法人法問題特設委員会を設置する変更、また、東京教区の、信愛荘の運営に関する条項を取り除く変更が認められた。
議事第28号「退任教師復帰志願に関する件」においては、1名の教師の復帰志願が承認された。
議事第29号「教団関係団体承認申請に関する件」では、社会福祉法人三崎二葉会が教団関係団体に認められた。
議案第31号「日本基督教団教師養成制度の検討に関する件」が承認された。豊かな伝道力をもって教会と地域に仕えることができる人材を育成するために、教師養成のあるべき姿を描くという趣旨で、「教団議長の諮問機関として関連委員会委員長による会議を組織する」としている。
この件については、教団の認可神学校に、「日本基督教団信仰告白、教憲教規を順守する教師の育成を徹底するよう伝えるべき」、「教団の教師養成という任務を委託出来ない神学校には、認可を取り消すことも考えるべき」等の意見が述べられた。
(嶋田恵悟報)

3教区から被災教会の状況が報告された
《東北教区》
診断あるいは方向性が出されているものを以下の3段階に分類。
①大規模補修もしくは新築を要し、支援を求める教会
いずみ愛泉(礼拝堂正面タイルの破損、集会室壁亀裂、会堂入り口階段の破損)/岩沼(礼拝堂損傷大、立ち入り禁止張り紙。特に塔部分が危険な状態)/鹿島栄光(玄関渡り廊下部分天井落下)/白石(会堂全体に亀裂。隣接塀倒壊。鐘楼より鐘が落ちて破損。牧師館、風呂場タイルが剥がれ、屋内の土壁崩落)/中村(会堂全体、塀、墓地に損傷)/福島(会堂解体撤去終了。伝道館にて礼拝)/福島新町(瓦、壁の一部崩落、損傷部分大きい。煙突部分解体終了)/郡山(牧師館屋根瓦暖炉煙突瓦崩落。建物亀裂、居住不可)/郡山細沼(石塀の崩れ、内壁落下)/常磐(礼拝堂全体に損傷)
②補修を要し、かつ支援を求める教会(検討中含)
仙台松陵/仙台北三番丁/仙台ホサナ/仙台東/角田/仙台五橋/名取/川俣
③補修を要するものの自己対応できる教会
仙台北/仙台長町/仙台広瀬河畔/安積/矢吹
④その他(軽微の損傷、地盤沈下、など)
石巻栄光/仙台愛泉/仙台青葉荘/保原/磐城/須賀川/三春/本宮
《奥羽教区》
三戸伝道所(礼拝堂の西側卒壁の亀裂拡大、要補修)/宮古(1階水没、床上は油泥により埋まる。応急処置としての電気工事や扉の修繕などを行った。教会関係幼稚園を中心に今後を検討する方向を模索中)/新生釜石(牧師館1階水没、床上は油泥により埋まる。礼拝堂はヘドロと瓦礫の山。現在、応急処置として礼拝堂・牧師館の壁床をはがし、たまっていた汚泥を取り除き始めている)/千厩(礼拝堂・牧師館共に危険建物となり使用不能。借家を確保。役員会で移転を視野に検討中。千厩町内で土地を探している)/北上(礼拝堂内外の壁)/遠野(礼拝堂壁面亀裂、牧師館の土台亀裂、雨漏り、2階屋内亀裂)/江刺(礼拝堂コンクリート土台の破損、天井を支える柱にひび割れ、牧師館内部壁ひび、雨樋損傷)/一関(礼拝堂内部壁面漆喰亀裂崩落)/秋南(横手会堂の塔に亀裂)
《関東教区》
①新築を検討中
水戸中央(水戸市より半壊家屋の認定)/宇都宮(老朽化した会堂であり、構造及び耐震補強が必要のため、建て替えが望ましい)/宇都宮上町(会堂内外モルタル壁落下一部危険な状態)
②大・小規模改修
伊勢崎/桐生東部/勝田/西那須野/日立
③診断(検討)中、その他
勝田教会常陸大宮チャペル/水戸自由が丘/鹿島/水海道/四條町/竜ヶ崎/泉町/桐生/安中/原市/行田
*アジア学院(補修費総額7億円の試算)
(秋葉恭子報)

1日目の夕食休憩後のセッションでは、教区報告がなされた。沖縄教区を除く16教区からの出席があり、事前配布された各教区提出の資料に基づいた報告がなされた。
今回は、教区総会の議決が主な内容となるが、資料には決まった書式がなく、結果として、各教区の事柄に取り組む姿勢が垣間見えるものとなった。そこで、資料に記載された議決のみを項目別に計上して、全体の傾向を捉えることとしたい。
第一は、教勢と伝道に関する事柄である。
◎教会・伝道所廃止・解散(3教区)。
◎教会(謝儀)互助・財政(10教区)。
ほとんどの教区で危機感を持ち、教勢と伝道力の低下にどう対処するかが、財政、とりわけ互助の課題として現れ出ている。
第二は、教区の宣教理解と姿勢に関する事柄である。
◎教区宣教基本方策改定など(7教区)。
◎教区機構改正(6教区)。
独自の宣教基本方策を掲げる教区がある一方で、そのようなものを定めない教区もある。教区機構改正もそうであるが、前述の教勢と伝道に関わる形での課題が浮上してきている。「財政と教勢に見合った現状に即した形で縮小」「教区改革」「教区組織・財政の抜本的見直し」といった言葉が続き、その具体策として「地区と教区の役割を見直し、地区活動を中心に再構成する」という方向を目指す動きが、複数の教区報告で見られた。
第三は、東日本大震災に関する事柄である。
◎関連する何らかの議決をした(10教区)。
◎特に原発事故関連の議決をした(3教区)。
言うまでもないことだが、被災教区はもとより、高い関心を持ってどの教区も取り上げている。議決の形ではなくとも、ボランティア派遣や募金推進委員会の設置なども含めれば、全ての教区総会で取り上げられている。教団問安使に対する質疑の多くもこの課題に集中していた。
第四は、全体教会に関わる事柄である。
◎北村慈郎教師の免職問題に関する何らかの議決をした(6教区)。
◎「合同とらえなおし」と沖縄教区に関わる何らかの議決をした(2教区)。
その他、2種教職制に関する議決、セクシュアルマイノリティ差別に関する報告等が見られた。
「合同とらえなおし」関連議決が少ないこと、「教師問題」については、事柄そのものよりも戒規の問題にシフトしていること、マイノリティ差別関連の議決も報告に挙がっていないことなど、今までとは異なる傾向が見て取れる。
これらの報告を受けた後、石橋秀雄議長は総括として次のように述べた。
「教区総会が教団問安使を拒否することなどできない。教団が教区を置く、という筋道を確認したい。そのような決意で、問安拒否の通知を受けていた京都教区にも問安使派遣予定に自らの名を挙げていた」。
また、京都教区より「無断傍聴に対する抗議と謝罪を求める要求書」が出されていることに触れ、「京都教区総会の2日目、受付を通って議場に入った。無断傍聴ではないとの認識であり、謝罪要求には応じかねる。しかし、教区による教団問安使拒否という事柄については、信仰職制委員会に諮問の上、京都教区に対して誠実な回答をするつもりである」との見解を明らかにした。
(林牧人報)

「救援対策委員会報告の件」と「救援対策本部報告の件」は併せて上程され、第1日目夜から2日目午前までかけて審議された。
初動対応のため地震発生翌日3月12日に設置された救援対策委員会の活動、また4月18日の臨時常議員会で設置を承認した救援対策本部の活動および決定事項が報告された。
救援対策本部長である石橋秀雄議長はじめ本部委員、担当幹事から、救援の基本方針・支援活動および企画についての説明と報告がなされた。
議論の過程で、本件は報告承認事項としてではなく、議案化して議決すべきとの意見が出された。その理由として以下2点が上げられた。
一つは教団救援対策基金ならびに運用規程設置後、最初の全教団的な救援活動であり、今後に向けても常議員会と救援対策本部との関係を明確にしておく必要があること。
なお一つは、阪神淡路大震災時の救援活動を巡って教団に混乱が生じたことを反省して、今回の活動が進められるべきであること。緊急性あるいは必要性ということで常議員会の承認なく活動が先行することには慎重でなければならないとの点が上げられた。
これらの論議をふまえ、報告承認事項と議決事項とを分割して取り扱うこととなり、「基本方針」「日本基督教団東日本大震災救援募金」「11246(11日2時46分)祈りの呼びかけ」「シンポジウム計画」については内容審議のうえ、議決することとなった。
まず「基本方針」が説明され、各教会の建物被害状況について数値化作業に取り組み、それに基づいて募金からの配分額が決定されるとの方針が示された。また「犬と一緒に生活を望む家族」との表記へ質問があり、動物の癒し(セラピー)効果について説明された。
併せて被害甚大な3教区の議長より、現況報告および以下の要望等が述べられた。
奥羽教区からはサポートセンター等を教区内に設置せず、常置員会と教区緊急支援委員会で受け止めるとの表明があった。
東北教区からは、「原町教会・原町聖愛保育園支援を巡り、被災支援への感謝と共に、教区で充分な説明と理解を求めるいとまのなかった緊急支援で、教区内に意見の相違が生じた。教区と教団の一体となった支援のあり方の工夫を」との要望がなされた。
関東教区からは放射能事故への対応について基本方針へ盛り込むこと、アジア学院への支援、教会付属施設の建物再建支援の指針明確化の要望がなされた。
以上の質疑を経て、基本方針に「放射能汚染に対する対応」を加えること、また具体的支援の形態は各教区の実情に応じてなされることが確認された。
募金については、目標額10億円が提示された。実施に対する反対意見はなく、むしろ達成への強い決意が複数表明された。「各教区間で行われている支援も当募金に入るのか」との質問に対し、石橋議長は「各教区等でなされている支援も、本募金に含まれることを強く期待する」と答弁し、常議員会はこの点を確認した。
シンポジウム開催については、陪席の西中国および大阪教区議長より「時期尚早」「直接支援でないことに費用を使うべきでない」と反対意見が述べられた。しかし各常議員からは「社会からの問いかけに対し、教会は答える責任がある」「生き残った意味を伝え、全国に発信すべき」「信仰者の姿勢を明確にすることで募金は推進される」等、開催賛成の発言が相次いだ。
その後、常議員会と救援対策本部との関係理解について、三役より「常議員会においては支援の大綱、基本方針およびその変更、その他重要な事項については審議し決定する。基本方針の具体化のための施策については救援対策本部で決定し、実行する。ただし行った事柄のすべては常任常議員会および常議員会で報告し承認を受ける」との説明がなされ、了承された。
採決において、議案となった各事項はいずれも可決、その他の報告部分も承認された。
(松本周報)

PageTOP
日本基督教団 
〒169-0051 東京都新宿区西早稲田2-3-18-31
Copyright (c) 2007-2025
The United Church of Christ in Japan