わたしダニエルは先にも幻を見たが、その後ベルシャツァル王の治世第三年に、また幻を見た。その幻の中にあって、見るとわたしはエラム州の都スサにおり、ウライ川のほとりにいるようであった。目を上げて眺めると、見よ、一頭の雄羊が川岸に立っていた。二本の角が生えていたが共に長く、一本は他の一本より更に長くて、後ろの方に生えていた。見ていると、この雄羊は西、北、南に向かって突進し、これにかなう獣は一頭もなく、その力から救い出すものもなく、雄羊はほしいままに、また、高慢にふるまい、高ぶった。これについて考えていると、見よ、西から一頭の雄山羊が全地の上を飛ぶような勢いで進んで来た。その額には際立った一本の角が生えていた。この雄山羊は先に見た川岸に立っている二本の角のある雄羊に向かって、激しい勢いで突進した。みるみるうちに雄山羊は雄羊に近づき、怒りに燃えてこれを打ち倒し、その二本の角を折ったが、雄羊には抵……
なぜなら、キリストの愛がわたしたちを駆り立てているからです。わたしたちはこう考えます。すなわち、一人の方がすべての人のために死んでくださった以上、すべての人も死んだことになります。その一人の方はすべての人のために死んでくださった。その目的は、生きている人たちが、もはや自分自身のために生きるのではなく、自分たちのために死んで復活してくださった方のために生きることなのです。それで、わたしたちは、今後だれをも肉に従って知ろうとはしません。肉に従ってキリストを知っていたとしても、今はもうそのように知ろうとはしません。だから、キリストと結ばれる人はだれでも、新しく創造された者なのです。古いものは過ぎ去り、新しいものが生じた。これらはすべて神から出ることであって、神は、キリストを通してわたしたちを御自分と和解させ、また、和解のために奉仕する任務をわたしたちにお授けになりました。つまり、神はキリスト……
役人たちは王のもとに来て言った。「王様、ご存じのとおり、メディアとペルシアの法律によれば、王による勅令や禁令は一切変更してはならないことになっております。」それで王は命令を下し、ダニエルは獅子の洞窟に投げ込まれることになって引き出された。王は彼に言った。「お前がいつも拝んでいる神がお前を救ってくださるように。」
一つの石が洞窟の入り口に置かれ、王は自分の印と貴族たちの印で封をし、ダニエルに対する処置に変更がないようにした。王は宮殿に帰ったが、その夜は食を断ち、側女も近寄らせず、眠れずに過ごし、夜が明けるやいなや、急いで獅子の洞窟へ行った。洞窟に近づくと、王は不安に満ちた声をあげて、ダニエルに呼びかけた。「ダニエル、ダニエル、生ける神の僕よ、お前がいつも拝んでいる神は、獅子からお前を救い出す力があったか。」ダニエルは王に答えた。「王様がとこしえまでも生き永らえられますように。神……
さて、王国を継いだのは、メディア人ダレイオスであった。彼は既に六十二歳であった。ダレイオスは、王国に百二十人の総督を置いて全国を治めさせることにし、また、王に損失がないようにするため、これらの総督から報告を受ける大臣を三人、その上に置いた。ダニエルはそのひとりであった。ダニエルには優れた霊が宿っていたので、他の大臣や総督のすべてに傑出していた。王は彼に王国全体を治めさせようとした。大臣や総督は、政務に関してダニエルを陥れようと口実を探した。しかし、ダニエルは政務に忠実で、何の汚点も怠慢もなく、彼らは訴え出る口実を見つけることができなかった。それで彼らは、「ダニエルを陥れるには、その信じている神の法に関してなんらかの言いがかりをつけるほかはあるまい」と話し合い、王のもとに集まってこう言った。「ダレイオス王様がとこしえまでも生き永らえられますように。王国の大臣、執政官、総督、地方長官、側近……
そこで、ダニエルが王の前に召し出された。王は彼に言った。「父王がユダから捕らえ帰ったユダヤ人の捕囚の一人、ダニエルというのはお前か。聞くところによると、お前は神々の霊を宿していて、すばらしい才能と特別な知恵を持っているそうだ。賢者や祈祷師を連れて来させてこの文字を読ませ、解釈させようとしたのだが、彼らにはそれができなかった。お前はいろいろと解釈をしたり難問を解いたりする力を持つと聞いた。もしこの文字を読み、その意味を説明してくれたなら、お前に紫の衣を着せ、金の鎖を首にかけて、王国を治める者のうち第三の位を与えよう。」ダニエルは王に答えた。「贈り物など不要でございます。報酬はだれか他の者にお与えください。しかし、王様のためにその文字を読み、解釈をいたしましょう。王様、いと高き神は、あなたの父ネブカドネツァル王に王国と権勢と威光をお与えになりました。その権勢を見て、諸国、諸族、諸言語の人々……
ベルシャツァル王は千人の貴族を招いて大宴会を開き、みんなで酒を飲んでいた。宴も進んだころ、ベルシャツァルは、その父ネブカドネツァルがエルサレムの神殿から奪って来た金銀の祭具を持って来るように命じた。王や貴族、後宮の女たちがそれで酒を飲もうというのである。そこで、エルサレムの神殿から奪って来た金銀の祭具が運び込まれ、王や貴族、後宮の女たちがそれで酒を飲み始めた。こうして酒を飲みながら、彼らは金や銀、青銅、鉄、木や石などで造った神々をほめたたえた。その時、人の手の指が現れて、ともし火に照らされている王宮の白い壁に文字を書き始めた。王は書き進むその手先を見た。王は恐怖にかられて顔色が変わり、腰が抜け、膝が震えた。王は大声をあげ、祈祷師、賢者、星占い師などを連れて来させ、これらバビロンの知者にこう言った。「この字を読み、解釈をしてくれる者には、紫の衣を着せ、金の鎖を首にかけて、王国を治める者の……
しかし、ベルテシャツァルと呼ばれるダニエルは驚いた様子で、しばらくの間思い悩んでいた。王は彼に、「ベルテシャツァル、この夢とその解釈を恐れずに言うがよい」と言った。彼は答えた。「王様、この夢があなたの敵に、その解釈があなたを憎む者にふりかかりますように。御覧になったその木、すなわち、成長してたくましくなり、天に届くほどの高さになり、地の果てからも見え、葉は美しく茂り、実は豊かに実ってすべてを養うに足り、その木陰に野の獣は宿り、その枝に空の鳥は巣を作る、その木はあなた御自身です。あなたは成長してたくましくなり、あなたの威力は大きくなって天にも届くほどになり、あなたの支配は地の果てにまで及んでいます。また、王様は聖なる見張りの天使が天から降って来るのを御覧になりました。天使はこう言いました。この木を切り倒して滅ぼせ。ただし、切り株と根を地中に残し、これに鉄と青銅の鎖をかけて野の草の中に置け……
ネブカドネツァル王は、全世界の諸国、諸族、諸言語の住民に、いっそうの繁栄を願って、挨拶を送る。さて、わたしはいと高き神がわたしになさったしるしと不思議な御業を知らせる。この神のしるしは、いかに偉大であり/不思議な御業は、いかに力あることか。その御国は永遠の御国であり、支配は代々に及ぶ。わたしネブカドネツァルは、健康に恵まれ、王宮で心安らかに過ごしていた。一夜、わたしは夢を見た。眠りの中に恐ろしい光景が現れ、わたしは頭に浮かんだ幻に悩まされた。わたしは命令を下してバビロンの知者を全員召集し、夢の解釈をさせようとした。占い師、祈祷師、賢者、星占い師らが来たので、わたしは夢の話をしたが、だれひとり解釈ができなかった。最後にダニエルが来た。これはわたしの神にちなんでベルテシャツァルという名を与えた者で、彼には聖なる神の霊が宿っていた。わたしは彼に夢の話をして、こう言った。「占い師の長ベルテシャ……
ところで、あなたは言うでしょう。「ではなぜ、神はなおも人を責められるのだろうか。だれが神の御心に逆らうことができようか」と。人よ、神に口答えするとは、あなたは何者か。造られた物が造った者に、「どうしてわたしをこのように造ったのか」と言えるでしょうか。焼き物師は同じ粘土から、一つを貴いことに用いる器に、一つを貴くないことに用いる器に造る権限があるのではないか。神はその怒りを示し、その力を知らせようとしておられたが、怒りの器として滅びることになっていた者たちを寛大な心で耐え忍ばれたとすれば、それも、憐れみの器として栄光を与えようと準備しておられた者たちに、御自分の豊かな栄光をお示しになるためであったとすれば、どうでしょう。神はわたしたちを憐れみの器として、ユダヤ人からだけでなく、異邦人の中からも召し出してくださいました。
ホセアの書にも、次のように述べられています。「わた……
ネブカドネツァル王はシャドラク、メシャク、アベド・ネゴに対して血相を変えて怒り、炉をいつもの七倍も熱く燃やすように命じた。そして兵士の中でも特に強い者に命じて、シャドラク、メシャク、アベド・ネゴを縛り上げ、燃え盛る炉に投げ込ませた。彼らは上着、下着、帽子、その他の衣服を着けたまま縛られ、燃え盛る炉に投げ込まれた。王の命令は厳しく、炉は激しく燃え上がっていたので、噴き出る炎はシャドラク、メシャク、アベド・ネゴを引いて行った男たちをさえ焼き殺した。シャドラク、メシャク、アベド・ネゴの三人は縛られたまま燃え盛る炉の中に落ち込んで行った。間もなく王は驚きの色を見せ、急に立ち上がり、側近たちに尋ねた。「あの三人の男は、縛ったまま炉に投げ込んだはずではなかったか。」彼らは答えた。「王様、そのとおりでございます。」王は言った。「だが、わたしには四人の者が火の中を自由に歩いているのが見える。そして何の……