共に集う
大阪教区議長
尾島信之
私が牧会する教会の礼拝堂は、著名な建築家による設計のため、多くの見学者が訪れる。中には大学で建築を学ぶ若い人もいて、独特の丸みを帯びた壁、珍しいドアの取っ手等を熱心に写真に収めていかれる。各地から足を運んでくださるのは嬉しいが、残念なのは礼拝堂が寂しいこと。「建築士を志しているのに、使われていない建物を見て学びになるのか。建物の美しさだけでなく、機能的に使われているか知ることも大切ではないか。そのためには、日曜日に来るべきでは」との私の意地悪な言葉は、そっと飲み込む。
私たちの教会は、礼拝堂を使えない経験をした。「コロナ禍」が始まってから、断続的に合計1年間、教職者とその家族が礼拝をささげる様子を、インターネットを用いて配信した。文字通り礼拝を守ったことは確かだが、会衆がいない礼拝堂に、その都度なんとも言えぬ違和感を覚えた。先日、数年ぶりに来たミッションスクールの生徒が差し出した「礼拝出席ノート」に印字された「インターネット配信の場合は、教会の人からのサインは要りません」の文字に驚きつつ、この違和感の正体を見た気がした。
「まず第一に挙げなければならないのは、近年、礼拝の空間においてカギを握る場所として強く意識されるようになってきた集いの空間の重要性である。キリスト教共同体は礼拝のために集うことを必要とする。そして、まさにこの『共に集う』という行動そのものが、会衆にとってもっとも重要なひとつの行為とみなされるようになってきている。…『集いの空間』に関しては、教会建築をデザインする上で注意をはらわなければならないのである」(「キリスト教の礼拝」J・F・ホワイト著/越川弘英訳)。礼拝堂へ集えることに感謝。
(大阪教区議長)
『宣教の未来』、研究テーマについて協議
7月10日に教団会議室において第2回宣教研究所委員会が行われた。
開会祈祷・議事録承認・議事日程確認の後、メインテーマである「研究に関する協議事項」について話し合った。前回委員会で、前総会期に引き続き『宣教の未来』(パート2、仮称)の刊行を計画することとなり、今回は研究テーマや全体の構成について事前に意見を提出し合っていたものに基づき、5本の研究テーマを同書に掲載する前提で協議を行った。以下、委員会の議論の様子を反映するように仮テーマの略述を行う。
「全体教会の一体性:信仰告白の連続性」連続性とは、信仰告白が「積み重ね」であることを示唆している。「積み重ね」が教会と個人の両方の成長につながることをイメージしつつ、教団信仰告白の意義や制定の経緯の再確認がなされると良い、という意見が出された。
「部制解消と二種教職制の導入」歴史的な事柄について、肯定・否定いずれの立場をとるにせよ、当時の経緯を正確に理解する必要がある。先行研究を踏まえておきたい。
「AIの誘惑−可能性と問題点」AIの教会での利用は、広範な影響を及ぼす可能性がある。有用な一方で、本質を理解しないまま用いることで足元を崩される可能性がある。
「キリスト教学校と教会の協力」教会間伝道協力が学校を軸にして行われる実例を見ることは、「伝道のプラットフォーム」の幻を垣間見させるものとなろう。
「文書伝道とキリスト教の将来」キリスト教に対する世間の関心が、「護教的なもの」への警戒からか、キリスト教系出版社・キリスト者による著作では受け止め切れておらず、「中立的なもの」によすがを求めているような状況がある。フロントサークル・パラチャーチ的な伝道領域の衰退や、「透明性の確保」が十分自覚されていないのかも知れない。今後の将来像を希望を持って構築できるか。
以上のテーマについて、研究依頼の交渉を開始することとなった。来年7月を最終締めきりとすることを想定している。
それ以外の研究については、提案がなかった。また、陪席の網中彰子総幹事の挨拶をきっかけに議論が起こるなど、委員会では終始活発な意見・情報交換がなされた。
(上田 彰報)
経費の抑え込みにより、22年度決算は差損を回避
第2回予算決算委員会を監査委員会と合同で6月20日に開催した。網中彰子総幹事、道家紀一総務幹事、大三島義孝財務幹事より幹事報告がなされた。
はじめに22年度決算に関する件を扱った。経常会計の当期収支差額は、717万3572円 の差益となった。本体事業の状況を示す事業活動については収入が2億6734万5146円、支出は2億6532万9893円となり、収支は201万5253円の差益であった。また収益事業会計の事業活動収入は1345万7101円となり、執行率78.6%と大きく目減りした。未収になったままの「会館室料」は、収益事業会計のキャッシュフローの状況を厳しいものとしている。未収金対応を前提に、決算報告を承認した。
次に、23年度補正予算に関する件を扱った。出版局業務改善のための支援シュミレーションソフト導入費用の2200万円を、特別会計6の「遺贈特別会計」から無利息・10年の設定で貸し出すことが、責任役員会及び常議員会で決議されたことも考慮し、この費用も加え23年度第1次補正予算案を承認した。次に、部落解放センター、年金局の決算報告を扱った後、教団出版局決算に関する件を扱った。当初事業計画では売上高2億8900万円を目標としたが、目標を下回り2億8074万4166円となった。当期純利益は853万円となり、121万円の増となった。貸借対照表では、現金預金が3031万686円となり、前年比1577万7122円減となったことが懸念される。業務改善プロジェクト支援シュミレーションソフト導入の経費1900万円が2200万円に増額になった経緯の報告がなされることを条件に承認した。この後、教団の各センターの決算を取り扱った。
(田村毅朗報)
免 職
日本基督教団正教師
阿部義也
上記の者、教規第一四一条並びに戒規施行細則第四条第二号に基づき、『免職』に付す。
2023年6月28日
日本基督教団教師委員会
委員長 古旗 誠
戒規執行に至る経過
2023年6月28日付けで奥羽教区から「阿部義也」教師(東奥義塾高校教務教師)の戒規適用の要請がなされた。当委員会はこれを受理して、委員会内に調査員会を設置し、申し立て内容の事実関係の調査を開始した。当該教師は既に勤務先から懲戒免職されており、弁明を聞く機会を得られなかったが、調査員会は戒規適用に該当するとの報告を当委員会に行った。
当委員会は、慎重に検討した結果、同教師は教規第141条及び戒規施行細則第4条2号に抵触するとして免職相当との適用を決定した。
(教師委員長)
関東大震災朝鮮人虐殺百年を迎えて
6月19日、教団会議室において、第55回在日大韓基督教会と日本基督教団との宣教協力委員会を、「両教会の宣教課題と宣教協力〜関東大震災朝鮮人虐殺百年を迎えて」のテーマで開催した。
在日大韓基督教会からは、中江洋一総会長、梁栄友副総会長、張慶泰書記、鄭守煥副書記、趙永哲宣教委員長、金迅野教育委員長、金容昭関東地方会長、金柄鎬総幹事が出席した。
日本基督教団からは、雲然俊美議長、藤盛勇紀副議長、黒田若雄書記、岸憲秀宣教委員長、宮本義弘在日韓国朝鮮人連帯特設委員長、大久保正禎牧師(講演者)、網中彰子総幹事、大三島義孝宣教幹事、嶋田恵悟教団新報主筆、星山京子職員が出席した。
雲然議長の説教による開会礼拝の後、出席者紹介、前回記録確認、両教会の近況および課題について報告がなされた。
昼食の後、大久保牧師(西片町教会)より、「関東大震災における朝鮮人虐殺」との主題で、講演がなされた。「朝鮮人の進攻」との流言の広がりと共に、官民が一体となった朝鮮人虐殺が拡大した経過について、丁寧に説明がなされた。そして、この構造は、近年も更に顕著に表れているのではないかと述べられた。
そして、金迅野教育委員長から、応答がなされた。歴史の中に身を置き、もし自分がそこにいたならどうしたのかを考えることが大切ではないかとの問いかけがあった。そして、主イエスの「憐れに思う」との共感が分断を乗り越えていく道ではないかと述べられた。
関東大震災百年を迎えるこの時、「朝鮮人虐殺」を通して、今に繋がっている日本社会の課題、その中における教会の役割について、深く考えさせられる協議の時となった。
最後に、毎年、両教団の議長・総会長名で発表している「平和メッセージ」を作成し、中江総会長の説教による閉会礼拝をもって、宣教協力委員会を終了した。
(黒田若雄報)
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