教団でも支え合いを
九州教区議長
日下部遣志
九州教区の課題の一つは代務・兼務教会の増加です。今年度126教会中、32教会にもなり4教会に1つの割合です。おおよそ地区内の教師や教務教師、無任所教師が代務者を担っていますが、私自身、今年度は地区を越えて代務者となり、5つめの代務教会にもなります。無牧教会の中には、以前から日曜午後に礼拝を行う教会もありますが、それは代務者が午後から説教に赴くことが前提です。しかし無牧となった教会が午後の開式に変更することはなかなかできません。では午前中に礼拝を行う無牧の教会で、教師が来られない時はどうしているのでしょうか。私が以前代務を担った教会は、月に一度、午前の礼拝に行くとき以外は役員が順番に奨励を行っていましたが、教会員の高齢化もあり、それを担えるだけの体力がない教会も増えています。無牧の教会に聞くと、教師が説教原稿を送り信徒が代読する、或いは音声データやビデオ録画を送る、最近ではズームで繋いでオンライン礼拝を共同で守る、など様々な工夫がなされつつ、礼拝が守られているようです。
九州教区は広域に散らばる各教会の礼拝が支えられ、伝道の灯火が消えぬよう教区の支え合いを大事にしてきました。互助は1教会200万円を上限に8教会に用いられています。また無牧教会の説教者派遣費用などに年間120万円の予算を設けています。全て献金です。その献金から九州教区はこの10年で2000万円余りもの伝道資金負担金を払い続け、沖縄教区と同じく、交付を受けずに来ましたがもう限界です。教区間での支え合いを目的とした伝道資金制度にして下さい。それが九州教区の願いです。その資金があれば更に豊かに困難な教会を支えていけることでしょう。
台湾ユースミッション
8月29日〜9月5日
台湾基督長老教会のもと、台湾ユースミッションが8月29日から9月5日まで、日本側から7名、台湾側から7名の青年が参加して台北および台南で実施されました。
テーマは「沈黙」です。遠藤周作の同名の小説でも扱われたように、人間は時としてこの世の不条理に対して神が「沈黙」しているように感じることがあります。近現代の台湾を生きてきた人々にとっては、日本統治時代、戦後の一党独裁政権下での人権弾圧を通してこうした不条理に遭遇してきました。主催者である長老教会青年幹事の李信仁牧師は、台湾の凄惨な過去の歴史が残る地を巡り、そこで生じたように見える「沈黙」に思いを至らせることで、自らの信仰の糧にしてほしいと語っておられました。
プログラムではまず、前半の4日間をかけて台北周辺の展示施設や教会を巡りました。博物館については、国民党政権による白色テロのきっかけとなった事件を記念する二二八国家記念館、政治犯の収容所を再利用して設立された国家人権博物館の他、中華民国初代総統である蒋介石を記念して作られた中正記念堂、台湾の歴史や自然に関する資料が多数展示されている台湾国立博物館を訪問しました。また、教会は長老教会本部を皮切りに、白色テロの事件現場となった住宅跡に建てられた義光教会、カナダ人宣教師マカイにより台湾北部で最初に設立された淡水教会、立法院の隣にある済南教会を訪れました。
旅の後半では台南に移動しました。日曜日にはマックスウェル宣教師が設立した太平境馬雅各記念教会を訪問し、主日礼拝(台湾語)に出席しました。その他現地教会の会員である日本人女性や、日本基督教団から派遣され、台南神学院で教鞭をとる高井ヘラー由紀先生=ヘラー・ダニエル先生のご家族とお会いし、日本と台湾の教会事情などについて伺うことができました。最終日には互いの国の文化を紹介するミニセッションを行い、日本語、琉球語(琉球方言)、英語、中国語、台湾語、原住民語の讃美歌を歌って閉会となりました。
様々な場所を巡りましたが、参加者各々がじっくり考える時間があり、かつ緩やかで形式にとらわれない雰囲気も手伝って他の参加者と心を開いて話す機会が何度もありました。
また、台湾の教会の皆様の温かいおもてなしのおかげで、互いの国・教会の歴史や伝統、教会が果たす社会的な役割について理解や関心を深めることができました。特に印象に残ったのは、台湾の教会における若者の存在感、社会問題に対する積極的な取り組み、教会の中の言語事情等々です。
事前準備も含めて他の日本側の青年との交流も私にとっては大きな刺激を与えられるものとなり、様々な点で非常に実りのあるプログラムになりました。
最後に、今回の渡航に際しご支援とご協力を賜りました日台の教会の皆様に心より感謝申し上げます。今後の両教会の交わりと一致のための取り組みが益々豊かなものとなることを祈っております。
(仲渡千宙報/広島教会員)
「そのとき私たちは?そして今」
飛田雄一さん(神戸多聞教会・神戸学生青年センター理事長)
◎日時・場所
2024年1月17日(水)午後6時
兵庫教区クリスチャン・センター
◎主催・問合せ
日本基督教団 兵庫教区
(℡078-856-4127)
◎オンライン・ライブ映像配信
礼拝用ライブ配信→YouTube
礼拝式次第→兵庫教区事務所ホームページ
“キリスト教社会事業を覚えて祈る日”に寄せて
社会事業とは社会援助を必要とする方々への組織的な援助活動であるが、では現在わが国において、キリスト教社会事業の存在意義はどのような形で具現化されているだろう。
「キリスト教社会福祉が果たした役割は…人間の尊厳そして“このひとりの人”を見ようとした人間の精神史」であり「近代化の悪に対抗する人間愛の戦い」「他者への痛覚の発露」でもあった。(秋山智久『社会福祉実践とキリスト教』)この視座が潰えたわけではない。
しかし、なぜキリスト教界が社会問題を扱うのか…との問いは、決して過去のものではない。教会の本懐は伝道にあるという主張は変わらず周辺で耳にする。そのたびに私は、キリスト者とは何かを反芻する。現実社会で起こるさまざまな問題が私たちの上に降りかかり、生命の尊厳・人としての権利そのものが脅かされそうな時、ひとりの人間としてこれを看過することなど到底できない。ましてや福音的視点からも理屈を越えて、他者の痛みをわが内に感じたいとも願う。これが問題に向き合う発露となる。
社会問題は「知る」ことから始まる。その問題と自分との距離感を認識することが次の作業となる。自らの中に一度は取り込み、自覚的にその問題を捉え直すことによって、はじめて問題に向き合うスタートラインに立てるように思う。私たちひとり一人が向ける真摯なまなざし、これこそがキリスト教社会事業の推進力となるのではなかろうか。
今年も12月第1主日は「キリスト教社会事業を覚えて祈る日」として備えられている。変遷する社会情勢を受け止めながら、さまざまな分野でキリスト教社会事業に携わってこられた方々の尊いお働きに心から感謝しつつ、全国の教会に連なるキリスト者の篤い祈りに支えられた豊かな事業の展開を願い続けたい。
2023年12月1日
第42総会期日本基督教団
社会委員 金子直子
▼教師委員会(神学校訪問)▲
神学生の確保、オンラインの充実、霊性の弱まり
教師委員会は教規第43条1号により「教師養成機関に関する項目」を担っている。具体的には隔年で教師養成を委託している6つの神学校への問安を実施している。今年度は次のように神学校への問安を実施した。
10月2〜3日にかけて、同志社大学と関西学院大学を訪問した。同志社大学神学部では、学内の学びのほかに、学外のあらゆる分野でフィールドワークを行っていることや、一般の学生へのアプローチなどについて伺った。
関西学院大学神学部では、伝道者コースと思想文化コースがあり、社会人経験者も含め様々な背景を持つ人が集う学び舎となっているが、しばしば他コースから伝道者コースへ変わる学生があるという。
11月14日に東京神学大学と農村伝道神学校を訪問した。東京神学大学では十字架の贖いを中心に据えた神学教育を重んじ、聖書学と共に、倫理面の学びに力を注いでいる。教会に仕え、教会を建てる教育を目指していると伺った。農村伝道神学校では、その特色である農業実習や解放講座について説明や、台湾での実習、キャンパスの環境保全などについて伺った。
11月20日に東京聖書学校と日本聖書神学校を訪問した。東京聖書学校ではコロナ以降オンラインを積極的に活用し、遠方の学生が子育てをしながら学んでいるとのことであった。日本聖書神学校では唯一夜間に開講している教団の神学校として、働きながら神学を学ぶ意義を伺った。
各神学校を訪問する中で印象に残ったテーマがいくつかあった。一つ目は「神学生の確保」である。以前に比べると神学校全体での学生数は大幅に減っている。献身者を生み出す祈りと働きは、神学校だけでなく全国の教会でこそ豊かにされなければならない。今回の訪問では、各校が伝統的な学びを重んじつつ、より多角的な学びと経験の場を提供していることを教えられた。その努力をぜひ全国の教会にも知ってほしいと強く思った。
二つ目は「オンラインの充実」である。コロナという衝撃は大きかったが、反面、神学校にも学生にも思いもよらぬ恵みをもたらすことになった。対面は対面で大事だが、オンラインというツールは新しい風を感じさせるものがある。
三つ目は「霊性の弱まり」である。複数の神学校から「霊性」というワードを何度も聞いた。コロナということもあり、全国の教会で祈り合ったり、交わり合う機会が減少している。教会も神学校も、霊性を豊かにするための取り組みを充実させていく必要があると感じた。
(兼清啓司報)
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