二月二二・二三の両日、第34総会期の第三回宣教研究所委員会が教団会議室において開催された。
今回の委員会の主な内容は、①「教憲教規」及び「教団年鑑」の保守について、②「万博・東神大・教師検定試験問題年表」の改訂について、③宣教研究所発足当時の理念について、④聖餐問題についてである。
①については、「教団新報」や「宣研だより」などで寄付のお願いをしたが、依然として傷みが激しいものが多数ある。そこで、コピー製本をすることによって資料として整理保存することとした。
②については、万博、東神大、教師検定、それぞれについて、改訂の検討が必要であることが確認された。まず、東神大に関しての改訂を進め、宣研の下に「年表(東神大)改訂に関する研究会」を設置し、担当責任者として山口隆康委員を委嘱した。次回委員会までに同氏より研究員の候補を挙げてもらうこととした。
③については、前回、加藤幹夫委員より「宣研発足当時の理念について」の発題があり、今回、さらにこの記述が「日本基督教団史資料集第4巻」において十分な記述がされていないこと、資料に関しての解釈にかなり偏った解説が記載されていること、それが当時の宣研の理念や理解から逆行するものであることが指摘された。
さらに山口委員より法制史から見ても不十分な記述であるという意見も出された。そこで、教団史資料集第4巻の「宣教研究所の設置とその活動」の項目について、冊子にして改訂増補する方向で検討することとなった。
④については、今日、教団の会議において聖餐の問題(補教師による執行・未受洗者に対する陪餐)が緊急課題となっていることが取り上げられた。
すでに聖礼典執行に関しては信仰職制委員会において答申を出しているものがあるが、現在の先例集に載っていないものもある。そこで資料として保守管理するためにも先例集に記載されていない答申の提出と、その決定した根拠となる資料の提出を同委員会にお願いすることとなった。
(加藤幹夫報)
▼幼稚園から大学まで、残念ながら優等生だったためしはない。三〇代も終わる頃、最後と思って通った自動車学校でも、二度三度と試験に落ちた。優等生にはなれなかったが、模範生ではあった。遅刻なし、予習復習怠らず、授業は常に最前列で聴いた。事故防止のビデオまでも真面目に観た。▼ハンドルを握ると目が冴える。多少の眠気は吹き飛ぶ。未だに運転は非日常のことで、自然なことではないのだ。何時まで経っても初心者だ。多分そのおかげで無事故、違反切符を切られたことは一度もない。違反する程運転に慣れていないのだ。▼今春も多くの人が教師として巣立つ(?)、厳しい現況を見れば、無事故無違反だけでは務まらないだろう。運転も伝道牧会も応用問題の連続、決断も無理も必要な局面があるだろう。▼だからこそ、名人・達人になることよりも、基本に忠実であること、規則を遵守すること、マナーを重んじ、相手には譲ること。慣れなければプロにはなれない。しかし、慣れが一番怖い。運転も伝道も上手ではない先輩からのよけいなお世話か。
「聖書から聴く」姿勢を
二〇〇六年春季教師検定試験は、二月二八日~三月二日、東京・京都の両会場で行われた。今回の受験者総数は一一〇名、内訳は補教師九二名(Aコース三九名、Bコース二九名、Cコース二四名)、正教師一五名、転入・復帰三名であった。
試験直後に行われた委員会での学科試験の判定によると、補教師試験では受験した九二名の内、合格者は五六名、保留者一五名、不合格者五名であった。Cコース受験者は二四名の内一六名が継続となった。正教師試験では受験者一五名の内、四名が合格、八名が保留、三名が不合格となった。保留者については改めてレポートが課され、後日、再判定することになっている。また転入志願者二名、教師復帰者一名について審査し、補教師転入一名、正教師転入一名を常議員会に推薦、教師復帰については保留とすることとした。
今回、補教師試験の不合格者は少ないが、保留者はなお多く見られる。特に教憲教規・宗教法人法に関しては、ほとんどの者が合格点ぎりぎりの点数であった。それは、この試験では単に教会実務だけではなく、そこに表された教団の教会や教師についての理解が求められるのであるが、理解が不十分であるために問題の意図を正しく受け止めることが出来ていない解答が多かったからである。日本基督教団の教師となるのであるから、きちんと学んで備えて欲しい。正教師試験の再試験の結果は、大変残念なものであった。
今回の出題も基本的な理解を問うものであった。教師として宣教の場に遣わされてみ言葉を宣べ伝えていく上で、聖書及び教会史や組織神学などに対する基本的な理解と神学的思考が欠かせないことは言うまでもない。ただ受験のために準備するだけでなく、今後も学びを継続し、研鑚を深めていくことが望まれる。
学科試験後の個人面接に先立ち、両会場で全体会を行った。まず菅原力委員長が挨拶した。その中で、今期の教師検定試験委員会の方針ならびに教憲第9条に触れ、神様の召しに応えての試験であることが確認された。また、二種教職制については現在そのための委員会が設けられて検討が進められていること、試験会場の一本化については今秋の試験を大阪、来春は東京という形で実施されることが報告された。受験者からは、試験会場が一本化された場合の交通費の補助についての質問が出された。それに対して、従来の補助をふまえ検討しつつ実施していくことが事務局より回答された。
試験後の委員会では、いくつかの課題が指摘され、話し合った。特に全体として「釈義」が弱くなっている点を重く受け止めた。これは今回だけでなく、前回からも見られたことであるが、「釈義」の体裁になっていないもの、大半を黙想に費やしているもの、聖書本文を全文記して釈義の字数がきわめて少ないもの、参考文献が少なく一、二冊の注解書で済ましているもの、注解書を写しているものなど。説教作成における「聖書から聴く」という基本的な姿勢が弱い者が少なくなかった。そこで委員会としては、次回の試験より「釈義」の分量を、現行の「黙想を含めて原稿用紙5枚以上」から「黙想を含めずに原稿用紙7枚~10枚、それに黙想を加える」に変更することとした。何よりも「聖書から聴く」という姿勢を確かなものにしていって欲しい。
今回の受験者の中に複数の障がいのある方がおり、パソコンを用いての別室受験、別室での口述試験となった。様々なケースがあるが、今後も出来るだけの対応をしていきたい。
秋季の検定試験のための説教・釈義の聖書箇所、組織神学・神学論文の課題を決めた。次回の委員会は、八月二一日~二二日に、試験会場の下見を兼ねて中野サンプラザで行うこととした。
今回、新たに、日本基督教団教師となる召命を受けた一一〇名の受験志願者を与えられたことに感謝する。受験された一人ひとりが今後も主の召しに応え、良い働きをされるよう、委員会として祈るものである。 (小堀康彦報)
*2006 年春季・補教師検定試験問題
教憲教規および諸規則・宗教法人法(60分)
(A・B・CⅢコース)
次の2題に答えてください。
1. 「教憲教規および諸規則」において、教師は「正教師・補教師」、「牧師・伝道師」、また、「主任者たる教会担任教師・教会担任教師」などの名称で呼ばれていますが、これら三種類の呼称の意味の違いを説明してください。
2. 「宗教法人法」の目的を、信教の自由との関わりから述べてください。
旧約聖書神学(60分) (B・CⅢコース)
次の2題に答えてください。
1. キリスト教会にとって旧約聖書がなぜ必要か、いくつかの理由をあげて述べてください。
2. 旧約聖書の人間観について、テキストをあげて述べてください。
新約聖書神学(60分) (B・CⅢコース)
次の3題のうちから2題を選んで答えてください。
1. 共観福音書における「受難予告」について述べてください。
2. ヨハネによる福音書における「聖霊」について述べてください。
3. パウロの「律法」理解について述べてください。
「講評」
教師検定委員長
菅原 力
第34総会期春季教師検定試験が実施されました。今回の試験も一一〇名という多くの受験者が与えられました。このことをまず、神に感謝するものです。
試験の結果は報告にあるとおりです。受験者一人ひとりがこの結果をこれからの歩みの中で真摯に受けとめてほしいと願っています。
御言葉に仕える者としてたてられていくことをさらに深く自覚し、聖書に固着して聞き続けていく姿勢を形成してほしいと思います。そして神の業に存分にお仕えしていくために、いよいよこれから謙遜に学び続けていってほしいと願うものです。
二〇〇六年秋季の検定試験から試験会場を一本化し、秋は大阪で、春は東京で実施することになります。一本化することで生まれるメリット・デメリット、今後とも受験者の声も聞きながら、取り組んでいきたいと考えています。
デンマークの新聞が、ムハンマドの風刺画を掲載したことから、世界中のイスラム教徒が反発し多くの国で暴動などが起き、この騒動が収まる気配はない。
幕末に来日したアメリカのブラウン宣教師は、神奈川宿にある成仏寺に居を構えて、その伝道を開始したが、同宣教師が驚いたのは、成仏寺がその使用をあっさりと認め、さらに仏壇や仏像を片付けたことであった、と伝えられている。
同宣教師は、隣家に転居した住職に、相場以上の家賃を支払ったようだが、これらのことを、住職は、檀家の人々にどのように説明したのだろうか。
異教徒に、お寺を明け渡し、古歌にも「わけ登る ふもとの道は多けれど 同じ高嶺の月を見るかな」と歌う中庸好みの日本人には、冒頭のイスラム教徒の怒りは理解できないのかも知れない。
確かに「言論・表現の自由」は、尊重されねばならないが、こと「信仰」に関しては「言論・表現の自由」では包みきれないだろう。
なぜなら、信仰の本質は、本来、排他的なものであり、その「排他的」な信仰に生きる私たちが、中庸好みの日本にあって、どの程度、その本質を貫けるのかが、日々の課題でもある。
その意味で、風刺画騒動は他人事ではなく、キリストの風刺画が掲載された場合、どうするのか、心の準備も必要かもしれない…。
(教団総会副議長 小林 眞)
神の愛をマリンバにのせて
チャンさんは一九九八年「世界マリンバフェスティバル」で韓国初のマリンバ専門演奏者として国際舞台にデビューした。
彼女は六代目クリスチャン、生まれた時から教会に通い、音楽の仕事に携わっていた両親のもとで育ち、高校時代にマリンバの魅力にひかれ演奏家を志した。韓国の音楽大学に進学、さらに世界的マリンビストに師事するため、日本へ留学した。
日本でも教会生活を守りたいと願っていた彼女は、ある日通りすがりに見かけた大宮教会に入って、暖かく迎えられ、教会員となった。韓国の教会と比べ、日本のクリスチャンの少なさを実感し、「自分の国だけでなく、日本の伝道も祈らなくてはならない」との使命を与えられた。さらに同じ大宮教会員で、キリスト教学校教師である日本人青年と出会い、結婚へ導かれたことで一層、日本伝道への思いは強められた。実際多くの人々が彼女を通して教会に導かれている。
チャンさんはこのようにマリンバ演奏者として生きることを召命として受け止め、「演奏はすべて神様に捧げるための音楽、同時に、神様の愛を人々に伝えてゆくための音楽、伝えることができる所だったらどこへでも遣わされて行く」と語る。そして与えられた仕事はすべて「神様が与えてくれる仕事」と信じて世界中をコンサートで巡っている。だからチャンさんは聖書を題材とした作曲を手がけ、コンサートの中で証しもする。
日本基督教団の諸教会でもコンサートを行い、特に、一昨年一二月には中越地震被災教会である十日町教会、小出教会保育園へ遣わされた。「すごく大変な所でのコンサートだったが、大きな慰めを与えられ涙する人、マリンバの楽器に触れ合う子どもたち、音楽によって通い合う神様の豊かさを感じた。そしてこれからもマリンバの活動を通して、神様の存在をより多くの人々に伝えてゆきたい」と力強く語った。
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