インスタグラムアイコンツイッターアイコンyoutubeアイコンメールアイコン
日本基督教団 The United Church of Christ in Japan
 
newaccount

【4646号】難題山積の出版局長に有澤禧年氏

2008年3月22日

出版局理事会報告では、小島誠志出版局理事長が、秋山徹出版局長の辞任について報告した。
昨年十二月十二日、小島理事長に秋山出版局長より、山北宣久教団議長宛て辞表を提出した旨、報告があった。辞任の理由について、理事長、理事会とも十分に認識、把握しておらず突然の申し出であった。連絡を受け一月十一日、緊急の理事会を開催し事態の把握と今後の対応について話し合いを持った。理事会では局長辞任に至る経緯、問題点について結論を見ていないので本常議員会に報告することができないこと、速やかに後任の局長を選出して業務に停滞を来すことなく、また辞任に至った問題点について明らかにし早急に結論を得たいことを確認した。辞表は十二月十八日に議長により受理をされている。
この理事会報告を受けて意見が述べられたが、「報告が書面なしに口頭であることはおかしい」、「辞任理由が明らかではない」など報告に疑義が述べられた一方、「現時点では報告を承認し、新局長のもとで解決に取り組むべき」との意見も述べられた。報告は賛成多数で承認された。
理事会報告承認を受け、直ちに出版局長選出が上程され諮られた。山北議長は、後任として有澤禧年教師(八尾東)の選任を提案した。選任理由を出版局経営を重視し三局をトータルに見渡し得る局長と判断したことを述べた。
提案に対し、教会担任と局長の兼務について質問があり、教会担任辞任の手続きの後、四月より局長として専任になることを答えた。また、局長代行として選任すべきとの修正案も提案されたが、原案が賛成多数で可決された。
有澤新局長の任期は、秋山前局長の残任期間、08年三月より十月まで。出版局は新局長のもと難局に取り組む。
(渡邊義彦報)

知花正勝沖縄教区議長は、「伝道150年」及び「合同のとらえなおし」に関連して、常議員会の直前に起こった沖縄駐留米軍兵士による女子中学生暴行事件を取り上げ、その背景にある基地問題を初めとする沖縄の現状、そこに日常を送る人々の心情を、強い思い入れを込めて詳細に説明し、彼の地の苦境を切々と訴えた。
またこの中で、「合同のとらえなおし」については沿革の加筆等、既に総会議決を経ている事柄があるのに、具体的な作業が何故少しも進展しないのか、「何かを要求するとか、迫るとかということではなく、ここで聞いたことを沖縄に持ち帰るだけだ」と、厳しい糾弾の言葉ではないが、かえって容易ならぬ覚悟を示すように問いを投げかけた。
これを受けた格好で、山北宣久教団議長は、「今、姿勢を問われたからではなく、抗議の声明を出す予定であった」と述べ、結果、別記のような抗議声明案を提案した。
質疑の中で、「米軍海兵隊員の氏名・所属基地を明記すべきだ」という意見、また、「沖縄の痛みを充分に受け容れ得ぬまま、基地撤廃を実現出来ずにいる私たち自身の責任を痛感しつつ」と言う一文を加筆すべきだという意見があり、この両者が一緒にされて、修正案として取り扱われた。
結果、修正案は賛成十二票で否決された。原案が十九票で可決された。

常議員会一日目午後の機構検討特設委員会報告で、佐々木美知夫委員長は十三頁に及ぶ長文の答申を行った。
答申の前文で「06年度までの四年間に、現住陪餐会員三一二六名、月定献金総額二億三〇〇〇万円の減少と、教団全体の体力が落ちている」現状を踏まえ、宣教研究所の研究機関への立ち帰りと宣教委員会の廃止、経営最高責任者としての出版局長と理事会の廃止、教団総会議員を一〇〇人減員し三〇〇人にするなど「痛みと困難を伴う」重要かつ具体的提言となっている。
[宣教研究所]
研究機関としての研究所が、宣教委員会の設置により議決機関、執行機関の役割を持つようになり、教団紛争後は宣教基本方策、社会活動基本方針の見直しや資料の収集、整理の実務的活動に終始して来た。
本来の福音把握と宣教理解の重要課題を神学的・教会的に研究する機関とし、成果を常議員会・諸委員会に報告する。研究所委員は七名とし、常議員二名、信仰職制委員長をその中に加える。宣教委員会を廃止し、その下にある伝道委員会・教育委員会・社会委員会の常設専門委員会を常設委員会化する。
[出版局]
現行では、運営責任は出版局長にあるが、経営責任は年数度しか出席しない理事長にあり、だれも経営責任を取っていないという実態になっている。これを改めるため、理事会を廃止し、出版局長を経営最高責任者とする。局長をチェックするため、五名の経営審議会を設ける。
[年金局]
外部専門家の助力を受けた恒常的な諮問委員会を設置する必要があるのではないか。各教区選出理事が制度運営に適当か、より少数の理事会が可能ではないか。教団総幹事が一理事に留まっているのは適当ではない。
このため、理事七名(現二一名)とし、評議員会を新設、評議員は、各教区代表十七名、東京教区支区代表五名の二二名とする。
[部落解放センター]
教団の業務機関の一つだが、運動体の組織として成立したために、運動体組織を優先する形で機関の仕組みが考えられており、議決機関としての運営委員会と執行機関である活動委員会の関係、働きが重なり、経費面でも募金と教団事務局からの人件費という二重制で運営されて来た。議決、執行、業務、管理において統一の取れた責任と活動を教団諸教会に提示することが求められる。
そのため、規約5条に「運営委員会は教団総会に対して責任を負う」を挿入し、委員を九名(現十八名)に減員する。
[各種センター]
宗教法人上は、教団が運営し、教団の特別会計で処理しなければならないが、現在十八あるセンターは、それぞれの運営母体で運営し、経理処理を行っている。法律上の責任者は教団責任役員だが、実際は全く関与していない。宗教法人の社会的責任が言及される状況を考えると、責任体制を明確化し、二〇一〇年にはすべてのセンターの対応を終えるべき。
[教団総会]
前総会期からの検討を受け、総会議員数の変更に限って検討した。
総会議員は教師・信徒各一五〇名(現各一八五名)とし、推薦議員(現三〇名)は廃止する。
この答申を受けて、項目毎に意見交換が行われ、「もはや後戻りは出来ない」「委員会の努力に感謝する」と積極的支持の一方で、「各機関で丁寧な審議」「年金局の理事減員、評議員会新設は教区の役割を減ずる」「教団総会議員削減の方向は賛成だが、教区格差拡大を防ぐ手立てが必要」などの意見が相次ぎ、ひとまず答申を受理することを承認した。
夕食休憩再開後、山北議長は、「①宣教研究所については、研究所と宣教委員会で討議する。②出版局・年金局については、三役が関係者と協議する。③部落解放センターについては、センターで協議し、運営委員会、教団総幹事との間で相談を積み重ねる。④教団総会議員については、各教区で協議し、常議員会を経て第36総会に諮りたい」と、答申の取り扱いについての議長提案を行い、審議の後、賛成多数で承認された。
(永井清陽報)

「教師退任勧告」巡り鋭く対立

今常議員会は「教師退任勧告を行う件」が焦点になるものと予想されていた。案の定、鋭い対立を見せ、激しい議論が交わされた。一方で、待ったなしの抜本的機構改革案が提示され、出版局長の交替があり、更には、「合同のとらえなおし」等継続的に議論されてきた重要課題が山積し、今後の展開はいっそう複雑・深刻化を免れない様相。春の各教区総会、秋の教団総会まで、濃密な議論が続くか。

*「中越」終了、募金の重点は「能登」へ

第35総会期第四回常議員会は、二月十八日から二日間、教団会議室で三〇人全員が出席して開催された。
まず議事日程に関して、「出版局長選任の議題だけでなく、辞任議題もあるべき」「辞任勧告のような重要案件は三分の二賛成で決すべきだ。議事の進め方について前回、明確な答弁がないまま、議長は教団新報で答弁を行った」などの意見が相次いだ。
山北宣久議長は、「勧告議案を過半数で決するということは前回確認している。その時答えたことを教団新報に文章化した」と答え、賛成十八票で議事日程を採択した。
続く書記報告で、秋山徹出版局長の辞任承認が報告されたことについて、「二行の書記報告で済ませる問題ではない。教団総会で選任された局長が任期途中で辞任する説明が欲しい」との意見に対し、内藤留幸総幹事は「議長宛ての辞表には『一身上の都合で』とあったので、話し合いをしたが、『祈って導かれた』と答えられたので、牧師である人にそれ以上は問えなかった」と答え、山北議長も「一つの立場の長が熟慮して決めたことは重いもので、それなりの経過があったことを思い、祈って出された結論を尊重することとした」と述べた。
また報告に添付されていた北村慈郎教師宛て勧告書について、「期限を切って回答を迫っているが、どこからその権限を委譲されたのか」との質問が出た。山北議長は、「ご意見を聞いて次の段階に進むために、応答があるのは当然で、議長の権限内と思う」と答え、書記報告は賛成多数で承認された。
内藤留幸総幹事は、総幹事報告で教区活動連帯金に触れ、「常議員会で論議してもらうため、七月常議員会に提案出来るよう事務局で準備している。分担金拠出の仕方、金額の決め方の不明確さ、配分協議会の役割についての理解の不一致など、現状の問題点を明らかにし、解決の途を探りたい」と報告した。
これに対し、「拠出の仕方、金額の決め方が不明確というが、何をもって不明確というのか。協議会で決めたことを何故不明瞭というのか」との質問が出た。内藤総幹事は、「連帯金の四〇年間の歴史の中で不明瞭な点が多々ある。連帯金の性格が変質して来たことを指しており、数字に問題があるという訳ではない」と答弁した。
中越地震募金について、小橋孝一・被災教会会堂等再建支援委員会委員長は、08年二月十五日現在、一億七九八二万円余と目標額まで十八万円弱まで達した募金状況を説明して「目標達成は確実視され、教団の被災教会支援を能登半島地震に集中するため、三月末で募金を終了したい」との委員会報告を行った。
疋田國磨呂関東教区議長は「小出教会の会堂建設は08年度中に完工の見込み。中越沖地震被災信徒六人に三〇〇万円を支援した」と報告し、委員会報告が承認された。
能登半島地震について、長山信夫・被災教会会堂等再建支援委員会委員長は、「七尾教会牧師館建築、七尾幼稚園改修、魚津教会会堂補修工事が完了した」と感謝をもって報告し、高橋潤中部教区議長は、「08年二月十五日現在の募金四六一三万円で、中越地震募金一年目とほぼ同様のペースで推移している。三月二三日(日)、被災を覚える礼拝を行う」と目標額一億五〇〇〇万円への支援を訴えた。中越、能登報告質疑の中で阪神淡路大地震第二次募金処理について質問、意見が相次ぎ、菅根信彦兵庫教区議長は、「最後となった芦屋浜教会の再建は成ったが、返済が困難となっている教会もあり、現在も募金は運用中だ。年度内には報告を完了したい」と述べた。
(永井清陽報)

*教師退任勧告、「正しい」の字義で激しく対立

昨年十月に行われた第三回常議員会において「北村慈郎教師に対し教師退任勧告を行う件」が可決され、山北宣久議長から十月二六日付けで同教師に対する「勧告書」が送付された。本議案を扱うにあたり山北議長は、送付した勧告の内容およびその後の経過等について説明した。その中で、勧告書には「この勧告に対する応答を二〇〇七年十二月三一日までにご連絡ください」と添えられており、それに対して「勧告書に対する応答はできない」との内容の返事(十二月三一日付)があったこと、それを受けて山北議長からなお応答を求める「ご通知」を送付したこと(二月四日付)、それでもなお応答がなければ、別紙「再勧告書」をもって再度勧告する備えであること等が報告された。なお、「再勧告書」では、勧告に至った事実経過や未受洗者への配餐の問題点などにも触れられており、最後に「今後もなお、全教団的合意なしに未受洗者への配餐を行うのであれば、戒規の執行申し立てに進まざるを得ないことを申し添えておきます。上記勧告に対する応答を二〇〇八年六月二〇日までにご連絡ください」とある。
勧告を受けた北村氏は、以下のように三点の疑問と二点の意見を述べた。疑問な点として、①第二回常議員会の際に山北議長は、北村氏の「常議員としての資格」を問うと言っていたが、第三回常議員会を経て出てきたのは、「教師退任」だった。②山北議長は「正しい聖礼典」を強調するが、私には「これが正しい聖礼典」だという意識はない。「正しい」とはどういうことか。聖礼典は人間の側の応答だから、間違いもある。それを絶対化できるのか。③教憲・教規違反だというが、私の行っている聖礼典は必ずしも違反だとは思えない。教憲・教規の理解には幅がある。山北議長は狭くとらえている。信仰告白にも問題がある。それを重んじていない訳ではないが、聖書とイエスの方が教憲・教規に優り、教憲・教規を乗り越えるのである。次に意見として、①この度の勧告に関しては多くの教会、信徒の反応があるが、これは何か。合同のとらえなおしについては十分な議論が起こっていないのに、なぜこれには反応があるのか。「聖餐は教会の生命線」だというが、私は沖縄や性差別に取り組んでいくことがより大きな生命線だと思っているので、こういう反応は奇異に思う。②『福音と世界』に書いたことは、一歩を踏み出していくことが宣教の現場では大事だということ。教団ではマイノリティだが、集団をとらえるときは、幅を持ってとらえるべき。
勧告に反対する立場から、各個教会の中では教憲・教規をはみ出していく部分もあるが、それを生かし活性化するのが教団の豊かさとなる。教憲・教規一本では、一歩踏み出していく創造性が発揮されない、などの意見があった。
これらに対して山北議長は、次のように応答した。①北村氏は「第34回総会は無効だ」と言っていたのに常議員となり、「沖縄不在の聖餐は受けない」と言った。そうした伏線がある。常議員を辞めたとしても違法な聖餐を続けるのでは意味がない。②ここで「正しい」とは、信仰告白や教憲・教規に則っていること。③教憲・教規は教団の豊かさや多様性を守っている。私たちは同じ信仰に立って天の宴に与るのである。
聖餐執行のあり方や退任勧告について賛否の意見が激しく交わされた他、勧告書に対する応答を求めたことや「再勧告書」の意味、本議案が「報告」として承認されることの可否などを巡って議論されたが、本議案は議長の行ったことの報告として、賛成多数で承認された。
(藤盛勇紀報)

2008年3月1日

「明日、成人式があります」と少年は言った。少年院で迎える二〇歳を複雑な思いで受け止めているようである。おめでとう、と言いながら涙をぬぐった。「生まれつき目の涙腺に障害があってね、出てくる涙をいつも拭いているの」と彼には説明してある。
定期便のように出てくる涙を拭きながら生きてきた。
一番困るのは、今涙をぬぐうのはまずいということである。教区議長時代、議長席におり、議事の進行の中で涙をぬぐうことがある。議長が泣いている、と言われる。提案した議事が否決されたとき、こんなときに涙をぬぐってはまずいと思うのであるが、出てくる涙は抑えられないのである。しかし、逆に都合の良いときもある。葬儀の司式をしながら、しきりに涙をぬぐうこと、もちろん悲しみを持ちつつ葬儀に臨んでいるのであるが。
少年院では篤志面接委員を担っている。月に一度、少年達と面接を行い、更生の指導をしつつ少年達の気持ちを聞いてあげるのである。成人式を迎える彼とは最後の面接である。まもなく出院するからである。少年は成人式を迎えるものの読み書きができない。そのため出院しての社会生活には不安を持っている。どんな人生を歩むのか、胸に詰まるものを感じる。「もう先生と話しできないんですか」と寂しげに彼は言った。
挨拶をして部屋を出て行く彼を送りながら涙を拭いていた。あたかも定期便であるかのように。
(教団総会書記 鈴木伸治)

PageTOP
日本基督教団 
〒169-0051 東京都新宿区西早稲田2-3-18-31
Copyright (c) 2007-2025
The United Church of Christ in Japan