あなたのパンを水に浮かべて流すがよい。
月日がたってから、それを見いだすだろう。
七人と、八人とすら、分かち合っておけ
国にどのような災いが起こるか
分かったものではない。
雨が雲に満ちれば、それは地に滴る。
南風に倒されても北風に倒されても
木はその倒れたところに横たわる。
風向きを気にすれば種は蒔けない。
雲行きを気にすれば刈り入れはできない。
妊婦の胎内で霊や骨組がどの様になるのかも分からないのに、すべてのことを成し遂げられる神の業が分かるわけはない。
朝、種を蒔け、夜にも手を休めるな。
実を結ぶのはあれかこれか
それとも両方なのか、分からないのだから。
光は快く、太陽を見るのは楽しい。
長生きし、喜びに満ちているときにも
暗い日々も多くあろうことを忘れないように。
何が来ようとすべて空しい。
2026年10月15日
死んだ蠅は香料作りの香油を腐らせ、臭くする。
僅かな愚行は知恵や名誉より高くつく。
賢者の心は右へ、愚者の心は左へ。
愚者は道行くときすら愚かで
だれにでも自分は愚者だと言いふらす。
主人の気持があなたに対してたかぶっても
その場を離れるな。
落ち着けば、大きな過ちも見逃してもらえる。
太陽の下に、災難なことがあるのを見た。
君主の誤りで
愚者が甚だしく高められるかと思えば
金持ちが身を低くして座す。
奴隷が馬に乗って行くかと思えば
君侯が奴隷のように徒歩で行く。
落とし穴を掘る者は自らそこに落ち
石垣を破る者は蛇にかまれる。
石を切り出す者は石に傷つき
木を割る者は木の難に遭う。
なまった斧を研いでおけば力が要らない。
知恵を備えておけば利益がある。
呪文も唱えぬ先に蛇がかみつけば
呪術師には何の利益もない。
賢者の口の言葉は恵み。
愚者の唇は彼自身を呑み込む。
愚者はたわ言をもって口を開き
うわ言をもって口を閉ざす。
愚者は口数が多い。
未来のことはだれにも分からない。
死後どうなるのか、誰が教えてくれよう。
愚者は労苦してみたところで疲れるだけだ。
都に行く道さえ知らないのだから。
2026年10月14日
わたしは心を尽くして次のようなことを明らかにした。すなわち
善人、賢人、そして彼らの働きは
神の手の中にある。
愛も、憎しみも、人間は知らない。
人間の前にあるすべてのことは何事も同じで
同じひとつのことが善人にも悪人にも良い人にも
清い人にも不浄な人にも
いけにえをささげる人にもささげない人にも臨む。
良い人に起こることが罪を犯す人にも起こり
誓いを立てる人に起こることが
誓いを恐れる人にも起こる。
太陽の下に起こるすべてのことの中で最も悪いのは、だれにでも同じひとつのことが臨むこと、その上、生きている間、人の心は悪に満ち、思いは狂っていて、その後は死ぬだけだということ。
命あるもののうちに数えられてさえいれば
まだ安心だ。
犬でも、生きていれば、死んだ獅子よりましだ。
生きているものは、少なくとも知っている
自分はやがて死ぬ、ということを。
しかし、死者はもう何ひとつ知らない。
彼らはもう報いを受けることもなく
彼らの名は忘れられる。
その愛も憎しみも、情熱も、既に消えうせ
太陽の下に起こることのどれひとつにも
もう何のかかわりもない。
さあ、喜んであなたのパンを食べ
気持よくあなたの酒を飲むがよい。
あなたの業を神は受け入れていてくださる。
どのようなときも純白の衣を着て
頭には香油を絶やすな。
太陽の下、与えられた空しい人生の日々
愛する妻と共に楽しく生きるがよい。
それが、太陽の下で労苦するあなたへの
人生と労苦の報いなのだ。
何によらず手をつけたことは熱心にするがよい。
いつかは行かなければならないあの陰府には
仕事も企ても、知恵も知識も、もうないのだ。
太陽の下、再びわたしは見た。
足の速い者が競走に、強い者が戦いに
必ずしも勝つとは言えない。
知恵があるといってパンにありつくのでも
聡明だからといって富を得るのでも
知識があるといって好意をもたれるのでもない。
時と機会はだれにも臨むが
人間がその時を知らないだけだ。
魚が運悪く網にかかったり
鳥が罠にかかったりするように
人間も突然不運に見舞われ、罠にかかる。
わたしはまた太陽の下に、知恵について次のような実例を見て、強い印象を受けた。
ある小さな町に僅かの住民がいた。そこへ強大な王が攻めて来て包囲し、大きな攻城堡塁を築いた。その町に一人の貧しい賢人がいて、知恵によって町を救った。しかし、貧しいこの人のことは、だれの口にものぼらなかった。それで、わたしは言った。
知恵は力にまさるというが
この貧しい人の知恵は侮られ
その言葉は聞かれない。
2026年10月13日
わたしはこのようなことを見極め、太陽の下に起こるすべてのことを、熱心に考えた。今は、人間が人間を支配して苦しみをもたらすような時だ。
だから、わたしは悪人が葬儀をしてもらうのも、聖なる場所に出入りするのも、また、正しいことをした人が町で忘れ去られているのも見る。これまた、空しい。
悪事に対する条令が速やかに実施されないので
人は大胆に悪事をはたらく。
罪を犯し百度も悪事をはたらいている者が
なお、長生きしている。
にもかかわらず、わたしには分かっている。
神を畏れる人は、畏れるからこそ幸福になり
悪人は神を畏れないから、長生きできず
影のようなもので、決して幸福にはなれない。
この地上には空しいことが起こる。
善人でありながら
悪人の業の報いを受ける者があり
悪人でありながら
善人の業の報いを受ける者がある。
これまた空しいと、わたしは言う。
それゆえ、わたしは快楽をたたえる。
太陽の下、人間にとって
飲み食いし、楽しむ以上の幸福はない。
それは、太陽の下、神が彼に与える人生の
日々の労苦に添えられたものなのだ。
わたしは知恵を深めてこの地上に起こることを見極めようと心を尽くし、昼も夜も眠らずに努め、神のすべての業を観察した。まことに、太陽の下に起こるすべてのことを悟ることは、人間にはできない。人間がどんなに労苦し追求しても、悟ることはできず、賢者がそれを知ったと言おうとも、彼も悟ってはいない。
2026年10月12日
名声は香油にまさる。
死ぬ日は生まれる日にまさる。
弔いの家に行くのは
酒宴の家に行くのにまさる。
そこには人皆の終りがある。
命あるものよ、心せよ。
悩みは笑いにまさる。
顔が曇るにつれて心は安らぐ。
賢者の心は弔いの家に
愚者の心は快楽の家に。
賢者の叱責を聞くのは
愚者の賛美を聞くのにまさる。
愚者の笑いは鍋の下にはぜる柴の音。
これまた空しい。
賢者さえも、虐げられれば狂い
賄賂をもらえば理性を失う。
事の終りは始めにまさる。
気位が高いよりも気が長いのがよい。
気短に怒るな。
怒りは愚者の胸に宿るもの。
昔の方がよかったのはなぜだろうかと言うな。
それは賢い問いではない。
知恵は遺産に劣らず良いもの。
日の光を見る者の役に立つ。
知恵の陰に宿れば銀の陰に宿る、というが
知っておくがよい
知恵はその持ち主に命を与える、と。
神の御業を見よ。
神が曲げたものを、誰が直しえようか。
順境には楽しめ、逆境にはこう考えよ
人が未来について無知であるようにと
神はこの両者を併せ造られた、と。
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