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日本基督教団 The United Church of Christ in Japan
 
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マタイによる福音書15・21〜28

2024年8月26日

 イエスはそこをたち、ティルスとシドンの地方に行かれた。 すると、この地に生まれたカナンの女が出て来て、「主よ、ダビデの子よ、わたしを憐れんでください。娘が悪霊にひどく苦しめられています」と叫んだ。 しかし、イエスは何もお答えにならなかった。そこで、弟子たちが近寄って来て願った。「この女を追い払ってください。叫びながらついて来ますので。」 イエスは、「わたしは、イスラエルの家の失われた羊のところにしか遣わされていない」とお答えになった。 しかし、女は来て、イエスの前にひれ伏し、「主よ、どうかお助けください」と言った。 イエスが、「子供たちのパンを取って小犬にやってはいけない」とお答えになると、 女は言った。「主よ、ごもっともです。しかし、小犬も主人の食卓から落ちるパン屑はいただくのです。」 そこで、イエスはお答えになった。「婦人よ、あなたの信仰は立派だ。あなたの願いどおりになるように。」そのとき、娘の病気はいやされた。

2024年8月25日
 実を結ばない暗闇の業に加わらないで、むしろ、それを明るみに出しなさい。 彼らがひそかに行っているのは、口にするのも恥ずかしいことなのです。 しかし、すべてのものは光にさらされて、明らかにされます。 明らかにされるものはみな、光となるのです。それで、こう言われています。
「眠りについている者、起きよ。
死者の中から立ち上がれ。
そうすれば、キリストはあなたを照らされる。」
 愚かな者としてではなく、賢い者として、細かく気を配って歩みなさい。 時をよく用いなさい。今は悪い時代なのです。 だから、無分別な者とならず、主の御心が何であるかを悟りなさい。 酒に酔いしれてはなりません。それは身を持ち崩すもとです。むしろ、霊に満たされ、 詩編と賛歌と霊的な歌によって語り合い、主に向かって心からほめ歌いなさい。 そして、いつも、あらゆることについて、わたしたちの主イエス・キリストの名により、父である神に感謝しなさい。
2024年8月24日
 そのころ、ファリサイ派の人々と律法学者たちが、エルサレムからイエスのもとへ来て言った。 「なぜ、あなたの弟子たちは、昔の人の言い伝えを破るのですか。彼らは食事の前に手を洗いません。」 そこで、イエスはお答えになった。「なぜ、あなたたちも自分の言い伝えのために、神の掟を破っているのか。 神は、『父と母を敬え』と言い、『父または母をののしる者は死刑に処せられるべきである』とも言っておられる。 それなのに、あなたたちは言っている。『父または母に向かって、「あなたに差し上げるべきものは、神への供え物にする」と言う者は、 父を敬わなくてもよい』と。こうして、あなたたちは、自分の言い伝えのために神の言葉を無にしている。 偽善者たちよ、イザヤは、あなたたちのことを見事に預言したものだ。
『この民は口先ではわたしを敬うが、
その心はわたしから遠く離れている。
人間の戒めを教えとして教え、
むなしくわたしをあがめている。』」
 それから、イエスは群衆を呼び寄せて言われた。「聞いて悟りなさい。 口に入るものは人を汚さず、口から出て来るものが人を汚すのである。」 そのとき、弟子たちが近寄って来て、「ファリサイ派の人々がお言葉を聞いて、つまずいたのをご存じですか」と言った。 イエスはお答えになった。「わたしの天の父がお植えにならなかった木は、すべて抜き取られてしまう。 そのままにしておきなさい。彼らは盲人の道案内をする盲人だ。盲人が盲人の道案内をすれば、二人とも穴に落ちてしまう。」 するとペトロが、「そのたとえを説明してください」と言った。 イエスは言われた。「あなたがたも、まだ悟らないのか。 すべて口に入るものは、腹を通って外に出されることが分からないのか。 しかし、口から出て来るものは、心から出て来るので、これこそ人を汚す。 悪意、殺意、姦淫、みだらな行い、盗み、偽証、悪口などは、心から出て来るからである。 これが人を汚す。しかし、手を洗わずに食事をしても、そのことは人を汚すものではない。」

 今は亡き旧約学の教授が、神学生に向けて、「土の器」という言葉を用いて証をすることに苦言を呈していたのを思い起こす。当時、「土の器」を好んで用いていた神学生の一人として、その言葉を聞いた時、意図を理解できず、怪訝に思ったのを覚えている。▼神学生にしてみれば、訓練中の身として、未熟である自らを謙遜して語りたくなる言葉だが、それが多用される中で、謙遜の美徳を身に着けていることを表す言葉のようになっていたのを座視できなかったのかもしれない。▼パウロが、「ところで、わたしたちは、このような宝を土の器に納めています」(二コリ4・7)と語る時、そこには、自らの未熟さに対する卑下も、謙遜に振る舞える自分に対する自惚れもない。ただ自身が、脆く、壊れやすく、朽ちて行くものであるからこそ、その中に納められた、キリストによって与えられる罪と死を超える命、神から来る偉大な力が明確になることを伝えている。▼神学校を卒業して年月を経、お世話になった伝道者の訃報に接することが多くなった。主を讃えつつ召されて行く先達の姿に接する度に、「土の器」として主を証する姿勢を教えられている。

「伝道を共に担う教団の教師」を主題に

 新任教師オリエンテーションが、6月24〜26日、ハートピア熱海を会場にして行われた。主題は「伝道を共に担う教団の教師」で、参加者は新任教師23名、教団、神学校関係者21名であった。6つの神学校の出身者のほかに、Cコースが2名、他教派からの転入者もあった。このように、多様な背景を持つ人たちが3日間を共に過ごし、互いに知り合えたことは大きな恵みであった。

 一日目の開会礼拝では、古旗誠教師委員長が「わたしの羊を飼いなさい」と題するメッセージにおいて「説教者はあれこれ知識を詰め込むのではなく、むしろ空っぽになることによって神の御言葉が与えられる」と述べた。

 続く講演Ⅰでは、雲然俊美教団議長が主題講演を行った。雲然議長は、「教団は『イエス・キリストをかしらと仰ぐ公同教会』、『旧教派の歴史的特質を尊重する合同教会』、『各個教会に対する全体教会』である。キリストの体なる公同教会が、その豊かさを生かして、全体教会の一体性において伝道協力をしていくことが必要だ」と述べた。

 次のプログラムは関谷直人氏(同志社大学神学部長)の「ハラスメントと教会」と題する講演であった。関谷氏は牧師から信徒へのハラスメントだけでなく、主任牧師から副牧師へのハラスメント、信徒から牧師へのハラスメントなどについて、いくつかの事例を紹介した。

 一日目夜の「交わりのとき」ではゲーム、クイズなどで参加者同士の交流を楽しんだ。

 二日目の朝礼拝では、藤盛勇紀教団副議長が「信仰は来る」と題するメッセージの中で「説教は聖書を素読することが重要」と述べ、またガラテヤ2章16節の「キリストへの信仰」について触れ、「『ピスティス』(信仰)は人の側に依拠するのではなく、キリストの真実に基づく信頼の中に現れる」と語った。

 講演Ⅱは石丸昌彦氏(精神科医)が「牧者の心のケア」と題する講演を行い「牧師も生身の人間であり、信仰や召命感があってもそれがうつ病の防波堤にはならない」としたうえで「心の健康を支えるためには睡眠時間と休日の確保が重要である」と説明した。

 二日目午後の分団の時間では4グループに分かれ、それぞれ講演の感想や召命に至る背景、抱えている課題などを語り合う実り多き時間となった。

 二日目夜の「能登半島地震報告」では、内城恵教師委員(羽咋教会)が被害の大きかった輪島教会、七尾教会と関係施設を中心に、現状と今後の見通しについて説明した。輪島教会の仮設礼拝堂が作られ、ペンテコステから礼拝が再開されたと報告を受けた。「神を礼拝するところから復興に向かう、という姿勢と共に、被災した教会と関係幼稚園は伝道の拠点である」との認識において復興への歩みが進められている、との報告を受けた。

 その後、網中彰子総幹事が教団の機構について説明をした。年金局、出版局、隠退教師を支える運動、部落解放センター、牧会者とその家族のための相談室は事前に録画した動画を参加者にあらかじめ視聴してもらう形で説明がなされた。教師養成制度検討委員会については、文書での説明であった。

 牧会講話では、山北宣久氏(隠退教師)が、「牧者はキリストの副牧師であり、キリストに倣う生き方をしてほしい」、「羊の群れを見るときには『見渡す、見つける、見直す』という三“見”一体を忘れないようにしてほしい」と励ました。

 三日目の朝礼拝では、黒田若雄教団書記が「折がよくても悪くても」と題してメッセージを語り、「説教は、説教者がどう語るかということではなく、神様が私たちをどう導こうとしておられるのかを聴くことである」と述べた。

 「全体のまとめ」では、3日間を振り返って参加者が各々感想を述べた。「よき出会いと学びがあった」、「励まされた」、「楽しかった」などの声が聞かれた。

 閉会礼拝は兼清啓司教師委員会書記が「パンは幾つあるのか」と題するメッセージにおいて、「我々は『しかない』というイメージに引きずられている。困難を覚えるときこそ手元のパンと魚を数え、それを用いるところに伝道がある」と語った。

 全体を通して豊かで、楽しく恵みに満ちた集いであるとの印象を受けた。それこそが伝道の原点である。それぞれが教団の教師として立つために、このオリエンテーションでの経験が生かされることを祈りつつ、プログラムを閉じた。

(兼清啓司報)

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