12項目にわたる共同声明を決議
ヘイトスピーチをのりこえ、共生の天幕を広げよう」と、11月18日から21日にかけて、在日大韓基督教会主催、第3回「マイノリィティ問題と宣教」国際会議が、教団やNCCなどが共催して、東京・在日本韓国YMCAを会場に133名が参加して開催された。教団からは石橋秀雄議長を始め、約30名が参加した。
在日コリアンをはじめとするマイノリティ(社会的に弱い立場に置かれている少数者)に対する差別・排外主義的な主張や「死ね、殺せ」といった言葉によって人種的憎悪や民族差別を扇動して恐怖や苦痛を与え続けるヘイトスピーチ(憎悪表現・差別扇動)などが生み出され、放置されている日本の現状が特に問題とされた。
金性済在日大韓基督教会総会長による聖書研究では、①イスラエル共同体の中の「寄留者」(受け入れられ、保護されるべきよそ者)という存在と、②アブラハム、モーセ、またイスラエル自身を寄留者と見做す伝承とが挙げられ、創世記12章3節によって寄留者に対する歓待と敵意とが神の祝福と呪いとを分ける、寄留者はその社会の敵意を歓待に変えることによって祝福の源となる、と説いた。
丹羽雅雄弁護士の主題講演では、「ヘイトスピーチは歴史的に形成された構造的差別である」として、植民地支配責任と戦争責任、戦後責任という加害の歴史の抹消・歴史の修正と改ざんこそが、ヘイトスピーチを生み出す主な原因となっている。今日ほどアジアの人々との真の連帯と共同行動の質が問われる時代はない、と説いた。
2日目は6グループに分かれて、⑴ヘイトスピーチ・ゼノフォビア(偏見に基づく排外感情)の増大 移住女性とその子供たちの差別の経験(レニー・トレンティーノ氏)、⑵歴史修正主義 アイヌに対する攻撃(太田マルク氏)、⑶憲法改正・憲法9条 琉球・沖縄から問う(又吉京子氏)、⑷排外的ナショナリズムの危険性(宋恵淑氏)、⑸差別や憎悪の標的となっているマイノリティのトラウマと衝撃(東谷誠氏)、⑹教会は「癒しの共同体」になり得るのか(金迅野氏)、などの証言に聴き入った。
3日目は、差別に立ち向かう教会の具体例として、①世界教会協議会の人種差別およびその他の差別に対する取り組みから学べること、②ドイツからの観点と展望、③不正を正す者 米国教会の人種差別への取り組みに関する簡潔な調査、④心の嘆き 民主的な南アフリカの公正な共生社会を夢見て、の証言に全体として聴き入った。
これらに基づき、グループ討論・全体会で協議を重ね、最終日の全体会で、「はっきり言っておく。わたしの兄弟であるこの最も小さい者の一人にしたのは、わたしにしてくれたことなのである」(マタイ25・40)の御言葉に導かれて、共同声明が採択された。
神が寄留者(外国人/移民)の存在を通して私たちの内なる敵意の連鎖を断ち切り和解へと至る道を示されたこと、また寄留者を受け入れることと自らを寄留者として位置づけることは、恐れと怒りが平和的な共生への希望と変えられ、この世界に神の祝福が実現するために不可欠な事柄であることが確認された。
国連自由権規約委員会及び人種差別撤廃委員会の勧告に従い、「人種差別撤廃基本法」「外国人住民基本法」もしくはこれらと同等の効力を持ってヘイトスピーチなどの差別行為を違法化する国内法の整備を早急に実現すること等を日本政府に求めることなど、12項目が決議された。
10月にソウルで開催された日韓NCC共同会議(石橋議長などと共に参加)に引き続き北東アジアの平和について考えさせられ、まずは教区総会議員に向けて議長と連名で毎年呼びかけている「外国人住民基本法制定のための署名」に一層力を尽くさねばならないことを痛感させられた会議であった。
(小橋孝一報/在日韓国朝鮮人連帯特設委員長・NCC議長)
「マイノリティ問題と宣教」国際会議 ユースプログラム
青年の企画運営によるプログラム
在日大韓基督教会第3回「マイノリティ問題と宣教」国際会議、ユースプログラムが、2015年11月15日~17日に在日本韓国YMCAに於いて開催された。この国際会議は約20年ぶりの開催である。世界的にもテロや難民の問題、また国内的にもヘイトスピーチなど差別の課題が未だ解決する見通しのつかない中で、世界の青年がキリストの名によって出会わされ、キリスト者としてこの課題を共有し、祈りとともに向き合い、主の導きによって解決への想いを新たにされる、そのような時となった。
韓国、フィリピン、カナダ、ドイツなどの各国より、国内からは在日大韓基督教会、日本基督教団、日本聖公会、日本バプテスト連盟、日本福音ルーテル教会、早稲田奉仕園、学生YMCA、ウェスレー財団、学生キリスト教友愛会(SCF)などの各教派・団体から52名の参加者が与えられた。
15日夕刻、各国の青年らが在日本韓国YMCAに集い、ぎこちない英語でのあいさつとともに、心から出会いを喜びその感謝を主に捧げる開会祈祷をもって「国際会議」は開催された。初日には演劇家・舞香さんによる、知里幸恵氏(「アイヌ神謡集」を著したアイヌ女性)を題材にした演劇を鑑賞した。その力強い演技に圧倒されつつ、アイヌの民としてキリスト者として女性として受ける差別の中で、その全てを大切に生きた19年間の短い命から多くを感じ、参加者それぞれが自らの歩みと重ね合わせる時となった。
2日目のフィールドワークでは墨田区の「東京朝鮮第五初中級学校」に赴き、日本におけるマイノリティの教育現場での想いと課題を校長先生からお聞きし、学校中の教室にも自由に入室が許され多くの子どもたちとともに授業を受けた。先生方と子どもたちの心からの歓迎、明るい挨拶、笑顔、グラウンドでは一緒にサッカーボールを追い、別れの時には見えなくなるまで窓から手を振り続けてくれた。差別という痛みの学びとともに、その中にあっての豊かな営みと、未来につながる子どもたちの存在に心打たれた。
その後、関東大震災における朝鮮人虐殺の現場において話を聞き、活動に参加している在日韓国朝鮮人の方の「自分の孫が、またあのような目に合わないように、過去を忘れないように活動している」との想いに、午前の子どもたちの笑顔が浮かんだ。
また、被差別部落地区における皮なめしの現場を体験し、その数百年続く差別の歴史の中に、人間のもつ大いなる罪性と主に在る平等の尊さを再確認させられる、そのような悔い改めと信仰を強める機会となった。
3日目の午前には各国の代表によるプレゼンテーションがあり、マイノリティとそこにある差別の課題と痛みを共に分かち、青年らが様々な違いの中にあって、互いに祈り合う時となった。難民問題、LGBT(セクシャル・マイノリティ)、そしてヘイトスピーチなど、各国の青年の発表に全員が耳を傾ける。特定の国のみならず、国を越えて抱えられているテーマであり、参加者一人一人が友の受ける差別、身近にある差別を感じることの出来る豊かな時間となった。
午後には在日大韓基督教会の信徒でありプロのミュージシャンの郭正勲さんのリードにより、グループごとにそれぞれが感じた想いを持ち寄り、一つのラップ(歌詞)を作り発表し合うという、国際的な青年プログラムらしいワークショップを行った。東京朝鮮第五初中級学校、関東大震災時の朝鮮人虐殺の現場、被差別部落地区にある皮なめしの現場、それらの中での人や出来事との出会いが歌の中にちりばめられた重々しいものであるにもかかわらず、主に在る青年の交わりとしての希望と明るさに満ちていた。また、在日朝鮮・韓国人として「子どもの頃は自分を隠し、“普通”になりたかった。“普通”にあこがれ続けた子ども時代だった」と、自らの歩みを歌の中で証した女性などには、会場からひときわ大きな拍手があり、「アーメン!」「ハレルヤ!」と主の支えと導きとに感謝をお返しするひと時となった。
朝夕の礼拝は各国の青年たちが受け持ち、ギターやピアノ、インターネット動画サイトやダンスを用いた若者らしい礼拝であった。聞きなれた讃美歌や聖書箇所を様々な言語で聞き、参加者の証しを交えるなど、多様性に満ちた祈りの時間を持つことができた。
様々な違いを喜び合う共生の祈りとともに一日が始まり、未だ課題多い自らとこの社会の中にあってもなお希望を与えてくださる主への感謝とともに一日を終える。そのような祈りに満ちた3日間となった。
最後に、この国際会議の実施にあたっては、企画運営・通訳に至るまで教派を超えた多くの青年たちが自らの手で作り上げたことこそが誇りであり希望だ。主により集められた青年たちのその出会いと体験とに感謝しつつ、彼らのこれからの歩みの上に、主の豊かなる祝福があるよう祈る。
(野田 沢報/SCF主事、国際会議ユースプログラム企画委員)
東京教区東支区・伊豆諸島伝道委員会(委員長・竹井真人波浮教会牧師)が11月10日に銀座教会にて行われた。今回は「伊豆諸島伝道と離島教会交流」を主題とし、教団伝道資金を活用して伊豆諸島以外の離島教会から代表者が出席する懇談会となった。
出席者は、伊豆諸島にある三宅島伝道所、大島元村教会、波浮教会、新島教会、八丈島教会から11名の教職と信徒、東支区内の諸教会から30名、南支区内から3名、西南支区内から2名、北支区内から3名、千葉支区内から1名、さらに四国教区の多度津教会と内海教会、西中国教区の隠岐教会、関東教区の佐渡教会、沖縄教区の与那原教会、在日大韓基督教会の対馬伝道所の教職、信徒、在日大韓基督教会金柄鎬総幹事と合せて59名となった。
新島教会の小橋孝一牧師が開会説教「海の島々、地の果てから」(イザヤ書42章10~13節)の中で、本懇談会での交わりに他教区の離島教会を招くに至った経緯に触れ、離島教会間の交流が活性化すれば、それが教団全体、ひいては日本全体の伝道の力として跳ね返っていくと指摘し、足の裏が刺激されれば全身の健康が増進するさまにたとえた。そして、預言者イザヤが「地の果て」と「海の島々」を同列に並べ、そこから光が射し歌声が響くと預言しているように、伝道がどんなに行き詰まったとしても、神は人間には最も可能性の見えない所からその行き詰まりを打破し始めていくと説いた。「焦らず、諦めず、主にある希望をもって」伝道を推進することは、どこの教会にもあてはまると括った。
続いて島嶼部の各教会から現状報告がなされ、島特有の土着の風習と厳しい環境の中であっても果敢に主日礼拝が守られている様子と諸課題が伝えられた。その後の懇談では、離島での葬儀の事情と実際が話題となり、教会で行うキリスト教式の葬儀における福音伝道の可能性について意見が交わされ、大野光信牧師(隠岐)による祈祷をもって閉会した。
島嶼部にある教会同士の交わりが新しい扉を開いていくという幻が示された伝道懇談会となった。(伊藤英志報)
11月6日、第3回広報センター委員会が教団会議室で開催され、委員長・長崎哲夫総幹事が開会祈祷を捧げた。出席者は同総幹事、大三島義孝(教団ホームページ)、渡邊義彦(教団新報)、真壁巌(救援対策本部広報)、林牧人(信徒の友誌編集長)、市川真紀(教団出版局、信徒の友誌)、川上善子書記(教団ニューズレター)で、教団の広報を担う部門の情報交換の場である。委員会は2007年4月に再編再開され、教団新報編集委員会、教団ニューズレター編集委員会、教団ホームページ編集担当者と各担当幹事が、総幹事のもとに招集されて始まった。さらに東日本大震災後の2011年7月に救援対策本部広報担当者が、翌年10月からは教団出版局の局長並びに信徒の友誌担当者も加わった。
各部門は独自の媒体としての編集方針を持ち、購読形態や読者層、発行部数と発行間隔も異なるが、分かち合える諸課題がある。開催は不定期だが、東日本大震災後には、取材と発信すべき情報の共有と、適切な伝達方法を求めて、より密度濃く行われた。
昨今、重要性を増している問題の一つは、賛美歌の譜面をコピーして用いる場合、また公的な文章中に賛美歌の歌詞を転載・引用する際の、JASRACその他の著作権に関する事項である。同じ賛美歌集の中でも個々の賛美歌によって判断が違う。各媒体が執筆者と事前に歌詞引用について打ち合わせる等の現状もある。教団出版局ホームページでは賛美歌の著作権について詳細な説明がなされているが、この事柄を各教会や関係者方と連帯して伝え、対応するために広報の展開が求められていよう。
また懇談での質問に答える形で、信徒の友誌内、「日毎の糧」の欄に登場する教会群の「位置情報」には、様々な意見が寄せられていることがわかった。市町村合併で地名が新しくなった地域も増えている。要望に応えつつ、教団に属する1720の教会の情報を皆で共有し祈るために、常に工夫することが求められている。(川上善子報)
「教師の友」に掲載される説教のためにテキスト黙想を作成する機会を持った。全国のCSの子供たち、奉仕者と諸教会を覚えつつである。委員が時間をかけて作成した黙想は直接、説教に反映されるかどうかは分からない。少なくとも、私たちの祈りが届くことを期待したい。
多くの物に囲まれ、多くの人に囲まれながらも空虚な思いに不安を抱く子供たちは少なくない。
教会は、この子供たちのために何が出来るのだろうか。主イエスは「子供たちをわたしのところに来させなさい」と言われた。主イエスこそは、子供たちの「居場所」だ。だから「神の国」には必ず子供たちがいるはずだ。それなのに教会に子供がいないとの報告を聞くのは何故か。
この夏、祖母の勧めで修養会に参加した中学生がいた。2泊3日の日程だが、半強制的だったので1泊だけとの条件付きの参加だった。
1日目が終わった。皆に見送られて彼は、駅に向った。何故か夜のプログラムに彼の姿があった。結局、最後まで参加した。訳を聞けば「そっちの方がめっちゃ楽しいから」とのことだった。主イエスが備えられる子供たちの「居場所」とはそういうところだ。勿論、その背後にその子の母親と祖母の祈りがあった。
私たちは祈らねばならない。魂を注ぎ出すようにしてこの国の子供たちのために祈らねばならない。それが教団教育委員会の務めだと確信した次第である。(教育委員長)
児童作家ジェラルディン・マコックランさんの「エッサイの木」(2003年に英国にて出版)を、昨年、シンガーソングライターである沢知恵さんが翻訳、絵本作家の池谷陽子さんが挿絵を添えて教団出版局から出版した。この児童書がキリスト教本屋大賞を受賞した。この大賞はキリスト教専門書店がこの1年に刊行された中から「売りたい本・お勧めの本」を投票で選ぶ。2015年で5回目。児童書、海外作家の受賞は初となる。
物語は、教会でエッサイの木を木彫りする大工のおじいさんが、教会を突然訪ねてきた男の子からせがまれて話しを聞かせることで進んでゆく。おじいさんが聞かせるのはエッサイの木に彫り進めてゆく創世記からはじまりキリスト誕生に至る24の聖書の出来事である。子供たちに届く言葉、物語を印象づける力強いスクラッチ画の挿絵を得て新たな本となっている。
大賞受賞を記念して11月23日、東京・洗足教会を会場に、池谷さんのエプロンシアター、沢さんのミニコンサートが行われた。池谷さんは身につけたエプロンをステージにして手作りの人形たちを使って「エッサイの木」のダイジェストを、沢さんはピアノ弾き語りでクリスマス讃美歌等、またシアターの場面に合わせたこどもさんびかや効果音を披露した。1時間15分ほど、ステージの前に陣取った小さな子供たちも多いに楽しんだ記念となる良いプログラムだった。
著者であるマコックランさんは「この24の物語を、アドベントに読むもよし、夏に木陰でゆっくり読むもよし」とはじめに記す。クリスマスにはもちろん、1年を通して、キリストがわたしたちのために生まれてくださった救いの歴史のつながりを子供たちと一緒に覚えるに良い本だ。(新報編集部報)
「エッサイの木 クリスマスまでの24のお話」日本キリスト教団出版局♦A5版上製・158頁・本体1800円+税。詳しくは、出版局ホームページ(http://bp-uccj.jp)で。
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