会館工事・財政・伝道資金を巡り審議
第39総会期第4回常議員会は、10月19・20日の両日、富士見町教会会議室で、常議員30人全員が出席して開催された。
佐々木美知夫副議長による開会礼拝の後、議事に入り、長崎哲夫総幹事は、総幹事報告で、「キリスト教会館耐震・改修工事は、順調に進み、クリスマス頃に主な工事は完了し、内部工事に入り、2月下旬に完成の予定。伝道推進室から要望の出ている伝道専任幹事については、次回常議員会で回答したい。秋季教師検定試験では、正教師に61名受験、合格者36名となった」と述べ、最後に「社会保険に関して、東中国、西中国教区議長から問い合わせがあった」と明らかにして、今常議員会の焦点の1つが浮上した。
嵐護・東中国教区議長は、「先般、年金事務所から文書が届いた。教区内の教会に厚生年金に加入していない教会があるとの指摘で、加入を促す内容だった。当該教会に文書は送ったが、問題だと指摘されても、負担増となるので弱小教会には難しい」と苦衷を語った。
小畑太作・西中国教区議長は、「本年7月に加入を促す文書が届いたが、10月初め、ある教会には『是正しなければ、伺いますよ』と電話があった。同様のことは、寺院に対しても起きており、全日本仏教会は、『移行措置を取るべき』と申し入れを行い、寺院への対応はいったん保留となった。教団も、仏教会と同調して対処すべきではないか」と訴えた。
黒田若雄・四国教区議長も、「教区内には、分区単位で加入している所もあるが、分区単位は駄目といわれている」と実情を述べた。 これに対し、「法的には、法人格を持っていれば、例え2、3人であろうと加入する義務がある。教団としてどう対応するか協議すべき」「該当教会が全国で幾つあるか、早急に調査するべきで、この問題は、各個教会でなく、教団として対応する必要がある」などの意見が出た。
長崎総幹事は、「他の宗教団体とも連絡を取りながら、対応して行く」と述べ、石橋秀雄議長は「総幹事と相談のうえ、対応して行きたい」と応じ一旦収束した。
日本キリスト教会館耐震・改修工事問題では、まず会館問題特別委資金小委員会報告が行われ、愛澤豊重委員長より「総工費は2億8136万8000円、内10団体で分担する分(1億1500万円)の教団負担金が4945万円、貸付金が4千万円となる」こと、さらに会館への再移転入居経費についての概要が説明された。
この報告に対して、「戻る時は小委員会で済ませるのか」「4F会議室を出版局倉庫とする変更案には驚いた」など意見が相次いだ。長崎総幹事は、「前回7月の常議員会から本常議員会まで時間的な余裕がなかったことは事実。手続きを無視することは考えていない」と答え、「会議室を出版局倉庫とすれば、税制上の問題が発生する」との意見に「出版局との関係は、ここで、審議するのではなく別個にすべき」と答えた。この件につき、佐々木副議長は「この問題は、常任常議員会に委ねて貰えないか。その結果を2月常議員会に掛ける」と提案した。
引き続き長崎総幹事を報告者とする「会館耐震・改修工事報告」がなされた。本工事が予定通り進んでいること、教団独自の工事概要が決まりつつあることが報告された。併せて、教団独自の工事概算(3、4F、3局合算)、大久保移転先の原状復帰工事概算(約750万円)の報告があった。
2日目に教団3局の会館への「再移転予算案」が提案された。内部工事、空調、新規器具・什器、配線・防災設備など3818万円となる。「常議員が陪席して会館特別委の開催」を求めるとの意見も出た。愛澤予算決算委員長から大枠で計上済との説明があり、佐々木副議長の提案に加え「会館特別委 →常任常議員会→2月常議員会」の取扱いを承認し、2月常議員会にて最終承認する。(永井清陽報)
他団体分担金減額せず、献金増額修正を可決
常議員会2日目、「2016年度教団歳入歳出予算案」が協議された。
愛澤豊重予算決算委員長が予算案を説明した。教会・伝道所財政の厳しい状況を踏まえ負担金を対前年度2%(521万円)減とし、それに伴い、事業活動支出では、他団体(NCC、WCC、CCA)分担金を含め、多くの項目を10%減とした。また、一時移転費関係の支出として、アサヒニューシティービル家賃、原状復帰工事費で、事務局分571万3724円を事務費として、出版局分455万9775円を投資活動支出の有価証券取得支出として計上。この結果、事業活動収支では、62万8724円の赤字となり、投資活動収支において、キリスト教会館貸付金返済や、アサヒニューシティービル保証金の戻り等の収入があるものの、予備費が18万5501円という厳しい予算となる。
佐々木美知夫副議長は、三役からの提案として、厳しい状況下、多くの支出項目での10%減は仕方ないが、対外的なことは考慮が必要であり、「他団体分担金97万4000円の減額はせず、収入の献金を200万円から300万に増額し、三役が献金を募ることに努め、対応する」と述べた。
修正案について、賛成の意見が述べられた他、愛澤委員長も支持した。
修正案について、他団体への協力は大切にしつつ、教団の財政的に困難な状況を訴えて行くことを求める意見があった。対して、小橋孝一常議員(NCC議長)は、「NCCの状況をこそ教団がもっと知るべき」と述べた。
その他、予算案に対する意見として、邑原宗男・奥羽教区議長が、出版局の移転費用を、有価証券取得支出から収益事業会計に出資金として支出する在り方の再検討、久世そらち・北海教区議長が、負担金賦課額計算式における一人当たりの経常支出負担額による調整が、現住陪餐会員の比率になっている状況に対する改善を求めた。愛澤委員長は、意見を受け止めつつ、割賦計算式については既に文書で応じたことを告げた。石橋秀雄議長は修正案を諮り可決した。
「2016年度年金標準報酬承認」では、藪田安晴年金局長が、前年度と同様の掛金表を提示し承認された。(嶋田恵悟報)
センター規則運用の徹底を報告
宗教法人「日本基督教団」責任役員会の報告は、教団の各種センター全体の運営に関わる案件となった。
この報告は、2014年8月5日の38総会期第7回教団責任役員会において、2012年10月19日にSCF(学生キリスト教友愛会)が教団名義で取得した不動産を、教団の特別財産として確定してほしいとの申請をしたことから始まる。その後の調査により、今回の物件取得が、1987年5月に教団とSCFの間で取り交わされた「確認書」に則るものであることが明らかになった。
ただし、教団の各種センターには、2012年7月10日の常議員会で制定された「センター設置規則」に則って運営することが求められている。本件はその規則制定後の物件取得であるため、教団による各種センターの財産管理が不十分であったことと、各種センターにおける規則運用が不徹底であるという課題が浮き彫りとなった。教団責任役員会からSCFには1987年の「確認書」には効力のないこと、「センター設置規則」に則った運営及び財産管理をするように伝えていることが報告された。また、教団事務局には、代表役員印の管理などのあり方を早急に整えることが求められることになった。
また、今常議員会において、教団と各種センターの関わりを明確にするよう「センター設置規則」運用に関する件を承認。これにより、教団の各種センターは、設置規則に則った運営体制を速やかに整えることが求められ、常議員会では運用に関わる諸案件を適切に取り扱うことになる。
議場からは、教区との関係に関して質問があり、雲然俊美書記は、「設置規則は細則を定めることが決められており、その中に教区の位置づけがある。センターの報告は、教区常置委員会の承認を経、常議員会へ報告される」と説明した。
今回、設置規則の運用議案に則る形で、奥羽キリスト教センター細則および運営委員・監事選任議案が取り上げられた。また、愛知老人コミュニティーセンターの決算を横山良樹・中部教区議長が、にじのいえ信愛荘の決算を鈴木功男常議員(東京教区)がそれぞれ報告した。(佐藤 進報)
16年度伝道資金5150万円交付決定
様々に議論が重ねられ、運用が始まっている伝道資金に関してであるが、現時点での伝道資金の運用状況と、来年度への備えが始まっていることが伝道資金小委員会から報告された。
まず、2015年度の運用状況について、負担金5868万9000円の35%相当に当たる2056万5000円が納入され、交付金2550万円が送金済みであること、但し、大阪教区に関しては送金が保留になっている状況であることが報告された。
次に、四国、東中国教区より質問書が提出されていることが報告され、しかしこのことは委員会で扱うのではなく、常議員会で扱うべきという判断から、その質問書が資料として議場に配布された。
2016年度の伝道資金負担金総額は5660万円であるとされ、これに対する伝道資金申請教区は沖縄、九州、神奈川、大阪以外の13教区、申請額合計は5150万8000円であり、小委員会ではその申請額全額を承認したことが報告された。なお、大阪教区は現在協議中であることも合わせて報告された。
前述の2教区からの質問書について、佐々木美知夫副議長から、四国教区に対しては、「四国教区からの質問は、制度そのものに関する質問が主だったものであり、これに関しては、制度が運用され始めたばかりなので、もうしばらく様子を見てほしい」との答えがなされた。
東中国教区からの質問に対しては、「教区が負担金の原資となる金額を教会に対して賦課する根拠は、教規80条の『その他適当な方法によって』とあるところを根拠とするしかないと考えている。また、伝道資金規則の解釈に関する質問については、小委員会で判断することは適当ではないと考えており、規則の解釈は常議員会で検討すべき事柄である」と応じた。
その後、現在協議中とされた小笠原純・大阪教区議長が教区の現状について「伝道資金を含めた予算案が教区総会で否決、その後、常置委員会で検討を重ねてきたが、常置委員会としては、2016年度については伝道資金の申請はしないという結論に達した。そして、そのことを教区総会がどう判断するかが分からないということではまずいので、丁寧に検討している。教区としては、伝道資金が教区活動連帯金に沿った制度として運用されることを要望する」と説明した。その後、報告は承認された。
さらに伝道資金に関しては、議案「伝道資金運用に関する件」が上程された。これは、2016年度の伝道資金を、伝道資金小委員会における検討・提案により運用することを求める議案であり、具体的には、各教区からの申請の承認を求める議案である。議案説明の中で副議長は、「伝道資金は運用を始めたばかりの制度であるので、まずは制度運用を軌道に乗せることを優先するために、まだ申請を行っていない教区から今後申請があった場合はその申請を受け付けることとする」と説明した。議案は異議無く承認された。(小林信人報)
宗教改革500周年記念で様々な行事
震災救援対策本部は、記録刊行委員会立上げ、国際青年平和会議開催計画(17年3月、京都)、募金総額(国内10億1575万8567円、海外4億286万6286円、10月6日現在)を報告した。
宗教改革500周年記念事業について岡村恒準備委員長は「17年、500周年を福音伝道を推進する契機の年として記念する」との基本方針、記念礼拝(17年6月、東京)、こども、中高生、青年、信徒、女性諸大会開催、海外記念行事参加等の計画を報告した。
「改訂宣教基礎理論第二次草案」について教区、教会からの回答を宣教研究所が取扱うことを確認した。また、宣教方策会議開催準備(16年3月7、8日、富士見町教会)について、雲然俊美書記の「宣教基礎理論は取り上げないのか」との質問に、米倉美佐男宣教委員長は「発題者等の選任にて考える」と答えた。
教師検定について鷹澤匠委員長は、秋季検定結果(正教師61名受験、合格36名、不合格25名、補教師19名受験、合格4名、不合格4名、継続11名)を報告した。正教師試験受験者3割強が不合格になったことについて、委員長は「複数科目で合格点に達しなかった受験者が多かった」と報告した。また、教師転入手続の内規変更を行い、原則、教師転入は教師検定と同等の試験を行うことを報告した。宣教協約を結んでいる教会からの転入について質問があり、委員長は「原則にて対応する」と答えた。
検定結果承認後、石橋秀雄議長は発言し、教憲9条が定める、教師を立てる「正規の手続き」について教区における受験者面接、推薦書作成を確実に行うよう求めた。
教団の宣教のための基礎資料収集、データ作成を目的とした宣教研究第1資金(現在、2300万円の流動資産)の運用変更が提案された。提案は一部を会館耐震工事資金に充てることを求めたが、宣教委員会から、資金の本来の趣旨と異なり、会館工事資金に充てるのであれば借入れ等の措置をとるべきとの反対意見が述べられた。結果、提案は取下げとなった。
九州教区、西中国教区各常置委員会提案の「川内原発再稼働抗議声明」では、常議員会への議案提出手続について、教区常置委員会の議案提出をこれまで慣例で取扱ってきたが、これが妥当かが議論された。その上で、内容について、常議員会名で公表する文面として適当でない、声明発表が地方の反対運動の後押しになる等の賛否が述べられた。審議を経て議長預かりとすることとなった。(新報編集部報)
第3回社会委員会が9月28日~29日、洛陽教会を会場にして開催された。
開会礼拝の後、ヘイトスピーチについて理解を深めるために、講師として許伯基牧師(在日大韓基督教会京都南部教会)を招き、学びの時を持った。許牧師は、「第3回『マイノリティ問題と宣教』国際会議」の事務担当者である。
ヘイトスピーチについての定義や、実際、日本国内で行われていた映像や、この動きに至るまでの背景や、他国のヘイトスピーチに対する考え方など、自身の経験や学びに基づき、資料を用いながら説明した。
その後開催された委員会では、諸報告がされ、特記すべきことは、ACTの要請に応え、ネパールの大地震の募金を行い、8月末で1000万を超える献金が献げられたこと、「第3回『マイノリティ問題と宣教』国際会議」に、教団が後援団体から共催となったこと、この会議のために現在20万を超える献金が献げられていることが報告された。
協議事項としては、「第3回『マイノリティ問題と宣教』国際会議」への参加について、第39総会期全国社会委員長会議について、社会福祉施設援助金を希望する施設を各教区から推薦してもらうこと、そのためのクリスマス献金を各教会に依頼すること、「社会委員会通信」第49号発行について話し合われた。
その他、社会委員会の使命に関わる事柄について協議し、意見を交換した。(加藤孔二報)
第39総会期の第3回委員会が、10月5日、教団会議室にて、委員7名のうち6名の出席によって開催された。
松井睦委員長による聖書朗読、祈祷の後、長崎哲夫総幹事からの挨拶を受けた。「改訂宣教基礎理論第一次草案」にあって、「第二次草案」作成の際削除された「注釈」の適切な活用と、「第二次草案」のさらなる検討と深化を期待する旨、要望として承った。
宣教研究所編『陪餐問題に関する資料ガイド』(1991年)についての諸意見の整頓に関する研究プロジェクトは、小堀康彦(担当委員)、林牧人(委員会書記)、楠原博行(浦賀)、田中かおる(安行)、の各氏を研究員として委嘱し、既存の『資料ガイド』にコメントする形ではなく、新たに『資料ガイド(仮)』を書き起こす方向で、各々担当を決めて作業が進められている旨報告された。
『互いに支え合うために─各教区謝儀保障・教区互助制度資料集』(2001年)の改訂について、各教区からの資料のとりまとめを行っているが、当初の締切日を延長してなお、6教区が未提出である旨確認し、12月末締めでの提出を再度促すこととした。これに関連して、西中国教区常置委員会より質問状が届いている件については、委員長より返答し、あらためて協力を求めることとした。
「改訂宣教基礎理論第二次草案」から抽出し得る宣教課題の具体的な研究については、「第二次草案」が常議員会の取り扱い事項である故、委員会として主体的に取り組むことはできないことを確認した上で、研究課題として想定しうる事柄について検討した。特に、基礎理論において十分に触れられていない課題のうち、今期は「倫理と青年伝道の可能性」について、性倫理、職業倫理など青年期に向き合うべき課題の特質をふまえ、全信徒祭司性(万人祭司性)のエートスの展開として、附属施設・学校等への展開も視野に入れつつ、プロジェクトを立ち上げることとし、研究員として、野村稔(担当委員)、川﨑善三、村上義治の各委員に委嘱した。
次回は2月とし、野村委員の祈祷をもって閉会した。
(林 牧人報)
10月5日、6日の日程で、神戸東部教会を会場に、第3回宣教委員会が開催された。
はじめに宣教委員会のもとにある常設専門委員会、自主活動団体の報告を受けた。協議事項の主なものは、まず2016年3月7日、8日の日程で行われる宣教方策会議について。第2回宣教委員会で「日本基督教団は伝道をどう進めていくか」という主題を決定したが、今回はこの主題に基づく具体的プログラム案を決定する。1日目に3名の発題者(交渉中)をたて、それぞれの立場から思うところを語ってもらい、共通理解や違いを受け止めつつ、今後の日本基督教団の伝道の方向性を模索したい。また2日目のはじめに、日本基督教団の伝道がどう見えるのかという趣旨での講演を聞くこととする。その後分団協議を行い、主題を深めていくこととした。
次に宣教委員会から常議員会に提案され、差し戻された「キリスト教学校 祈りの日」制定について。常議員会での理解が得られるよう解説を調えて再提案できるよう準備を整えることが話し合われる。
「牧会者とその家族のための相談室」の設置に関して。日本基督教団として教師を支える具体的営みとしてその設置が求められることは共通認識としてすでにある。また個別の働きとして行われている実例もある。しかし、教師を生み出す教団としてこのような組織があることが大切であることを確認。今後、設置に向けて準備を整えていくこととする。
「宣教研究第1資金運用変更の件」について。教団事務所移転のための資金として転用することが話し合われたが、この資金のための献金者の意向に沿わないことになること、また目的外使用であることから、宣教委員会としては承知しかねるとの結論に至った。
伝道委員会より提案された「伝道専任幹事」設置の要望について。現在の担当幹事の激務を宣教委員会としても理解し、様々な課題がありつつもその必要性を確認。常議員会にこれを要望することとした。
(清藤 淳報)
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