わたしたちは自らの道を探し求めて
主に立ち帰ろう。
天にいます神に向かって
両手を上げ心も挙げて言おう。
わたしたちは、背き逆らいました。
あなたは、お赦しになりませんでした。
あなたは怒りに包まれて追い迫り
わたしたちを打ち殺して容赦なさらない。
あなたは雲の中に御自分をとざし
どんな祈りもさえぎられます。
わたしたちを塵、芥のようにして
諸国の民の中にお見捨てになりました。
敵は皆、わたしたちに向かって大口を開く。
恐れとおののきが、騒乱と破壊が、襲いかかる。
わたしの民の娘は打ち砕かれ
わたしの目は滝のように涙を流す。
わたしの目は休むことなく涙を流し続ける。
主が天から見下ろし
目を留めてくださるときまで。
わたしの都の娘らを見て
わたしの目は魂に痛みをもたらす。
9そして、わたしはあなたたちに言う、「求めなさい。そうすればそれはあなたたちに与えられるだろう。探しなさい。そうすればあなたたちは見つけるだろう。〔門を〕叩きなさい。そうすればそれはあなたたちに開かれるだろう。10なぜなら、誰でも求める者は受け、探す者は見つけ、〔門を〕叩く者にはそれが開かれる[だろう]からである」。
(ルカによる福音書11章9−10節[私訳])
ルカ福音書11章9−10節は、「求めよ、さらば與へられん」から始まる文語訳聖書の名訳によって誰しもが一度は聞いたことのある言葉ではないでしょうか。並行する内容がマタイ福音書の山上の説教(5−7章)にもありますので(7章7−8節)、多くの人はマタイからの引用でこの有名な言葉に接しているのだろうと思います。
このテクストに用いられている「求める」「探す」「〔門を〕叩く」という三種類の動詞は、それぞれが何らかの特定の願望を表しているわけではなく、祈願に関係する三種類の動詞を重ね合わせることで、祈りや願いは叶えられるということを強調するレトリックです。ですから、ここでイエスが言わんとしているのは、叶うまで何度でも繰り返し祈り願うことに尽きると言えます。
担当者が2026年度最初の4月のキリスト教の小部屋の聖書箇所にルカ福音書11章9−10節を選んだのは、4月5日がイースター(復活日/復活祭)だからとのことです。もっとも、このテクストがイースターの聖書箇所として選ばれることを不思議に感じる人も多いのではないでしょうか。担当者の依頼文には以下のような一文がしたたまれています。
復活のイエスよ なぜ 応えないのだ! ドンドンと 門を叩いてます。開かない門を、叩いています。門を叩いてるひと いっぱいいるんじゃないの?
依頼文で担当者は具体的な事件や出来事に触れてはいませんが、日本社会や国際社会の現状に対する憂いが「求めよ、さらば與へられん」という言葉を語ったイエスに対する問いとして発せられているのだと感じました。確かに、閉塞した社会では、いくらドンドンと叩いても、門は閉ざされたままであり、閉ざされた門の前で絶望に喘ぐ人がいるだけではなく、絶望する以前に希望を持つことすらできない人もいます。このような現実の最中でイースターを迎えざるを得ないのですから、「求めよ、さらば與へられん」と言ったじゃないですかと復活のイエスに訴えたくなるのも当然かもしれません。
先にも触れたように、イエスが「求めなさい」「探しなさい」「〔門を〕叩きなさい」と何度も繰り返し願うように言っているのは、直前に置かれている三つのパンを友人に執拗に求める譬(ルカ11章5−8節)から推し量っても、願いは叶うまで執拗に求め続けるものであることを伝えているからにほかなりません。それと同様のことはルカ福音書の「やもめと裁判官の譬」(18章1−8節)にも伝えられており、そこではイエスはひとりのやもめが自分の訴えを取り合ってくれない裁判官に昼夜問わずに訴え続け、そのしつこさのあまりその裁判官が折れて、裁判をするようになったとの譬を語っています。イエスはどこまでもしつこく諦めずに叶うまで求め続けるよう伝えているのです。それがたとえ傍迷惑に思えたとしても、空気の読めない痛いヤツに映ったとしても、本当に大切なものを求めるのであれば、叶うまで諦めるなと言っているのです。
2026年3月29日にサン・ピエトロ広場で行われた棕櫚の主日の礼拝説教において、ローマ教皇レオ14世は次のように語っています。
平和の王であるイエスは戦争を拒絶します。戦争を正当化するためにイエスを利用することなど誰にもできないのです。戦争を遂行する者たちの祈りにイエスが耳を傾けることはなく、むしろその者らを拒絶して、次のように言うでしょう。「あなたたちがいくら祈りを捧げようとも、わたしが耳を傾けることはない。あなたたちの手は血にまみれている〔からである〕」(イザヤ書1章15節)。
※ヴァチカンのサイトの以下のページより引用(聖書を含め、英語版から訳出)。
https://www.vatican.va/content/leo-xiv/en/homilies/2026/documents/20260329-palme.html
明言されてはいませんが、これはイエスの名のもとに戦争を正当化する米国(プロテスタント教会)に対する批判であり、ロシア(ロシア正教会)に対する批判でもあります。しかし、それは同時にローマ・カトリック教会を含めたキリスト教の2千年の歴史が戦争に明け暮れてきたことに対する自省の言葉でもあります。ヴァチカンの情報網から考えても、レオ14世は現行の戦争の詳細を把握しており、それが易々と終息するものではないことを熟知しているはずですが、決して諦めることなく平和を求め続けているのです。
ここ最近の世界情勢や日本の状況を考えると、求めても与えられないし、探しても見つからないし、門を叩いても開かないしという諦念に襲われていました。キリスト教の小部屋で平和を求めても、却って戦争が広がるばかりであり、ここで呟いても何の意味もないと落ち込むばかりでした。しかし、今回「求めよ、さらば與へられん」というイエスの言葉に思いを馳せることで、諦めずに平和を求め続けることを止めてはいけないとの気持ちがイースターと共に甦ってきたのです。2026年のイースターに改めて諦めずに平和を願い求めます。
(小林昭博/酪農学園大学教授・宗教主任、デザイン/宗利淳一)
わたしの目は涙にかすみ、胸は裂ける。
わたしの民の娘が打ち砕かれたので
わたしのはらわたは溶けて地に流れる。
幼子も乳飲み子も町の広場で衰えてゆく。
幼子は母に言う
パンはどこ、ぶどう酒はどこ、と。
都の広場で傷つき、衰えて
母のふところに抱かれ、息絶えてゆく。
おとめエルサレムよ
あなたを何にたとえ、何の証しとしよう。
おとめシオンよ
あなたを何になぞらえて慰めよう。
海のように深い痛手を負ったあなたを
誰が癒せよう。
預言者はあなたに託宣を与えたが
むなしい、偽りの言葉ばかりであった。
あなたを立ち直らせるには
一度、罪をあばくべきなのに
むなしく、迷わすことを
あなたに向かって告げるばかりであった。
道行く人はだれもかれも
手をたたいてあなたを嘲る。
おとめエルサレムよ、あなたに向かって
口笛を吹き、頭を振ってはやしたてる
「麗しさの極み、全地の喜びと
たたえられた都がこれか」と。
敵は皆、あなたに向かって大口を開け
歯をむき、口笛を吹き、そして言う
「滅ぼし尽くしたぞ。
ああ、これこそ待ちに待った日だ。
たしかに見届けた」と。
主は計画したことを実現し
約束したことを果たされる方。
昔、命じておかれたところのゆえに
あなたを破壊し、容赦されなかった。
敵はそのあなたを見て喜び
あなたを苦しめる者らは角を上げる。
なにゆえ、独りで座っているのか
人に溢れていたこの都が。
やもめとなってしまったのか
多くの民の女王であったこの都が。
奴隷となってしまったのか
国々の姫君であったこの都が。
夜もすがら泣き、頬に涙が流れる。
彼女を愛した人のだれも、今は慰めを与えない。
友は皆、彼女を欺き、ことごとく敵となった。
貧苦と重い苦役の末にユダは捕囚となって行き
異国の民の中に座り、憩いは得られず
苦難のはざまに追い詰められてしまった。
シオンに上る道は嘆く
祭りに集う人がもはやいないのを。
シオンの城門はすべて荒廃し、祭司らは呻く。
シオンの苦しみを、おとめらは悲しむ。
シオンの背きは甚だしかった。
主は懲らしめようと、敵がはびこることを許し
苦しめる者らを頭とされた。
彼女の子らはとりことなり
苦しめる者らの前を、引かれて行った。
栄光はことごとくおとめシオンを去り
その君侯らは野の鹿となった。
青草を求めたが得られず
疲れ果ててなお、追い立てられてゆく。
エルサレムは心に留める
貧しく放浪の旅に出た日を
いにしえから彼女のものであった
宝物のすべてを。
苦しめる者らの手に落ちた彼女の民を
助ける者はない。
絶えゆくさまを見て、彼らは笑っている。
エルサレムは罪に罪を重ね
笑いものになった。
恥があばかれたので
重んじてくれた者にも軽んじられる。
彼女は呻きつつ身を引く。
衣の裾には汚れが付いている。
彼女は行く末を心に留めなかったのだ。
落ちぶれたさまは驚くばかり。
慰める者はない。
「御覧ください、主よ
わたしの惨めさを、敵の驕りを。」
宝物のすべてに敵は手を伸ばした。
彼女は見た、異国の民が聖所を侵すのを。
聖なる集会に連なることを
主に禁じられた者らが。
彼女の民は皆、パンを求めて呻く。
宝物を食べ物に換えて命をつなごうとする。
「御覧ください、主よ
わたしのむさぼるさまを見てください。」
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