総会最終日、残り30分で、常議員会提案「『信仰告白』と『教憲・教規』における洗礼と聖餐の〈一体性と秩序〉とを確認する件」(議案第32号)が上程された。東神大との関係回復議案修正案の採決、無記名投票開票の間を縫って審議が始められた。
教団信仰告白と教憲教規の諸規定は、洗礼を受けた後に聖餐に与ることを告白し規定していると確認することを提案している。提案理由の中で「受洗者を生み出すという教会の使命にいよいよ全力を挙げて取組むためにも」洗礼と聖餐の一体性と秩序を確認することが必要であるとした。
反対、賛成各1名が意見を述べた。
宮崎達雄議員(東中国)は「信仰告白と教憲教規には提案のような秩序は明文化されていない、との見解もある。信仰告白、教憲教規制定以降の聖餐理解の変遷があり、理解、変遷について全教団的学びが必要である。
提案は教憲1条の公同教会を取り上げているが、1条が冒頭に定めているのはイエス・キリストを首と仰ぐことである。主イエス・キリストの教団でありたい。教団に分裂を招きかねない議案には反対する」とした。
東野尚志議員(関東)は、「信仰告白、教憲教規は、様々な教派的背景をもった合同教会が拠って立つ一致の拠り所である。信仰告白、教憲教規が示す教会のかたちは、キリストの体に洗礼によってつなげられ、キリストの命に聖餐によって養われることにある。多様性ということによって洗礼から聖餐へという一体性と秩序を曖昧にしてはならない。伝道に熱く、燃える教団であるなら、洗礼を授け、聖餐に招くという一体性と秩序を明確にしてもらいたい」と述べた。
賛否の意見が述べられたところで時間となり、本案を常議員会付託とすることが承認された。
なお、この他に、負担金賦課方法を明確にするため教規施行細則新設の変更案(議案第33号、常議員会提案)、原発関連議案(議案第40号、西中国教区提案。議案第47号、久保征紀議員〔奥羽〕提案)の3議案も常議員会付託として承認された。
(渡邊義彦報)
教団と東京神学大学との
関係回復議案可決
総会3日目午後に上程された常議員会提案「教団と東京神学大学の関係を回復する件」(議案第31号)では、提案理由が次のように述べられた。
「伝道する教団の建設のためには、主に召され、確かな信仰に立ち、伝道の志をもつ教師を養成することが不可欠である。その教師養成に関して、教団立神学校である東京神学大学は重要な働きを担っており、これからの日本伝道の推進のためには、教団と東京神学大学とのより緊密な協力関係を構築することがきわめて大事なことである。」
しかし、第17、18回教団総会における東京神学大に対する諸決議は、学校法人東京神学大学に対して、別法人である教団が適正さを欠いた決議を行なったことゆえ両者の関係が今日に至るまで正常化していない。また第35回教団総会では、山北宣久前議長は議長報告にて、教団が「東京神学大学機動隊導入に関して一方的断罪を行なった」ことを主に懺悔するとした。
これらのことから教団と東京神学大学の信頼を回復し関係を再構築することが急務だ、としている。
原案に対し修正案が向井希夫議員(大阪)から提案された(賛同者13名)。修正案は原案に加えて、「中立的立場の検証委員会を設置し、関係資料および検証結果を全教会・伝道所に配付する。その上で第39回教団総会において審議する」とした。
修正案に反対、賛成各2名が意見を述べた。須田拓議員(神奈川)は修正案に反対し原案に賛成する立場から「信仰において一致し伝道することは急務、そのために東神大との関係回復が必要」とし、梅崎浩二議員(九州)は修正案に賛成する立場から「原案の提案理由がわからない。現状、東神大との関係は良い。機動隊導入を是とする提案か」とし、北紀吉議員(東海)は修正案に反対する立場から「対個人の信頼関係と対組織のそれとは違う。原案は関係回復を目指すことを意図しており修正案は違う」とし、古谷正仁議員(神奈川)は修正案に賛成する立場から「様々な意見を受け止め、歴史的検証によって理解を深める必要がある」と述べた。
採決は動議により無記名投票となり、351名中賛成155名で修正案を否決した。
続いて原案について反対、賛成各1名が意見を述べた。池迫直人議員(神奈川)は「現在、東神大卒業者が教師になるに支障はない。教団の決議が一方的であるなら修正が必要、継続審議とすべき」と反対し、長山信夫議員(東京)は「第15回教団総会にて教団が東神大の財政について責任を持つことを可決したが今日までこの決議は顧みられていない。職務上、常議員会に陪席すべき東神大学長の陪席を得てない。健全な状態とは言えない。本案を可決して教団と神学校との良い関係構築をスタートしてもらいたい」として提案を支持した。
挙手による採決を行ない347名中198名の賛成により可決した。
採決後、石橋秀雄議長は、議長席から降りて「本案の可決を受けて、東京神学大学を訪問、お詫びし関係回復を申し入れたい」と述べた。 (渡邊義彦報)