第36回総会期第3回靖国・天皇制問題小委員会が、2010年3月8日(月)~9日(火)、日本キリスト教会館4階会議室および靖国神社で開催された。釜土達雄委員長による開会礼拝の後、報告・協議が行われた。
委員会1日目において、七條真明委員による発題「神道とは何か」がなされ、委員による質疑応答がなされた。
井上順孝の著書『神道入門-日本人にとって神とは何か-』等を手がかりとして、神道が宗教というよりはむしろ宗教的態度であること、神道は仏教や道教と著しい混淆をなしており、したがって神道の明確な教義を定義することは不可能に近いこと、祭りや合格祈願や初詣において、人々は神道を信仰として意識することは少なく、神道と一般的慣習との境界線は曖昧であることなどが確認された。
また質疑応答においては、たとえば多くの日本人がなんとなくクリスマスを祝う心性に表れているように、神道とは宗教であるというよりはむしろ習俗なのではないかということが話し合われた。
それゆえ、キリスト者が明確な信仰をもって、同じように明確な信仰であるかのように神道を批判すると、それは的外れになる可能性があるということも確認された。
しかし神道が死者ことに戦没者を英霊として祀るとき、それは明確な政治性/宗教性を帯びるのであり、わたしたちキリスト者はこの点にこそ焦点を絞って注意しなければならないということがあらためて確認された。
2日目にはNCC靖国問題委員会の須賀誠二牧師の現地案内によって、靖国神社においてフィールドワークが持たれた。
拝殿の奥にある霊璽簿奉安殿に戦没者の名簿が安置され、信仰の対象すなわち神とされている現実を改めて確認した。
また資料館『遊就館』において、天皇の『人間宣言』は人間宣言ではなく五箇条の御誓文への回帰であると解説するなど、靖国神社が現在も変わらず天皇を現人神として認識していることも確認できた。
次回以降、第4回委員会で「天皇制とは何か」、第5回委員会で「靖国とは何か」の順序で学びを重ねる予定である。
(沼田和也報)