第6回9条世界宗教者会議が6月13~15日、広島国際会議場で開かれた。参加者はNCC加盟教会やカトリック、正教会など、キリスト教の諸教団、教団からも石橋秀雄議長をはじめ、多くの者が参加しこの会議を支えた。浄土真宗大谷派や本願寺派、日蓮宗日本山妙法寺、立正佼成会など仏教諸教派、それに海外から韓国、中国、台湾、香港、タイ、インド、ドイツ、オーストラリア、カナダ、イギリス、アメリカからと、総勢250名であった。
この会議はほぼ2年ごとに開かれるが、今回は被爆地広島の原爆資料館に隣接する国際会議場で核の脅威の現実を身近に感じながら、また、国連での核兵器廃止条約の締結、韓半島の南北両首脳の歴史的な握手、米朝両首脳のシンガポールでの会談など、日本国憲法前文と9条がうたう本物の「積極的平和主義」を世界に広げることを願う宗教者にとって前進を思わせる状況、また安倍政権の9条改変を政治スケジュールに載せる暴挙が現実となっている中で行われた会議であった。
会議では、「東北アジアの平和と非核地帯実現のために」と題する湯浅一郎ピースデポ共同代表の講演や、被爆体験者の証言、沖縄、宮古などの状況、海外ゲストからのそれぞれの国での平和との取り組みの報告など多彩なプログラム、それに、グループ討議によってステートメントをまとめる作業など、宗教の枠を超えて平和を願う宗教者の深い思いを分かち合う機会となった。
会議を通して明らかになったことは、日本にとって9条は自国の安全と平和を願う意思の表れであるばかりでなく、世界の国々に対して、特に近隣のアジア諸国に対して再び侵略の過ちを犯さないとの懺悔と誓いであること、また、それぞれの宗教の教義の中心に9条の求める平和主義があることなど、「世界の」「宗教者の」集いならではの自明の事柄であった。憲法9条を保持しなければとの強い意志は悔い改めと懺悔から出発しなければ、との仏教者からのメッセージがあり、戦時下の教団をあげての戦争協力に対する強い反省が仏教者の中にもあることを知らされた。
最終日、慰霊塔の前で各宗教団体がそれぞれの祈りをする集いをもって会議を終えた。 (秋山 徹報)