昨年7月、相模原の障がい者施設で殺傷事件が起き19人もの入所者が亡くなるという痛ましい出来事が起きた。それから1年以上経つ今もまだ、その事の衝撃と悲しみとが癒されないままにある。
社会福祉事業の草分け的存在である聖隷福祉事業団を9月に社会委員会として訪れた。長谷川保というクリスチャンの信仰と熱意によってさまざまな分野の福祉事業が広げられた、まさにその原点を見る思いがした。そして福祉に関わる人々の働きが喜びに満たされ、祝福されるべきものであることを改めて思う。
その福祉の現場で、現実にはこうした事件が起こることを私どもはどう捉えていくべきだろうか。
現代のさまざまな福祉施設は、長谷川保が事業を始めた当初から考えると、飛躍的に整えられており、入所者やそこに関わる人々にとって快適な設備、環境となっている。けれども、介護や看護の現場において最も大事なことは人と人との心のふれあい、互いに神様に尊い存在としてこの世にあることを分かち合う思いであることを思う。
今年も12月第1主日の「キリスト教社会事業を覚えて祈る日」を迎えようとしている。教育・医療・福祉など様々な分野における、キリスト教社会事業のこれまでの社会貢献に感謝をするとともに、なおいっそう、これからの時代にいかに「心」を込めた務めが大切であるかを実践し、手本となって示し続けていただきたく願う。
キリスト教社会事業に関わる全ての方々の働きに共に祈りを合わせてゆきたい。
2017年12月3日
第40総会期日本基督教団 社会委員会委員長 森下 耕