教団教師となる召命を確認するために
2017年秋季教師検定試験が、9月12~14日、大阪クリスチャンセンターで行われた。
12日に筆記試験、13~14日に面接試験が行われた。補教師志願者10名、正教師志願者52名、転入志願者1名が受験した。献身者が少なくなっている今日の厳しい状況にあって、62名の受験者が教団に与えられていることは、主の御業であり、感謝すべきことであった。試験の結果、補教師試験は合格2名、継続5名、不合格3名、正教師試験は合格31名、不合格21名となり、厳しい結果となった。
教師検定試験は、教団の教師として立てられている召命を問うと共に、説教、伝道、牧会していく上で、基本的な神学が身についているかを問うものである。受験者一人一人が真摯に受験に臨んだが、しかし、残念ながら基本的な神学が身についていない受験者が多くいた。伝道者として説教し、伝道し、牧会していく上で、そこで語られる言葉が神学的に明晰で、しかも魂に届く言葉を語っているかが問われる。それゆえ、日々、伝道、牧会しながら聖書に親しみ、神学書に親しみ、それが自分の言葉として血肉となっているかが問われる。
13~14日は、全体面接と個別の面接が行われた。委員長が受験者一人一人に、なぜ、教団の教師として立てられているのか、その召命観を問うた。教団の教師として立てられていることが、聖なる公同の教会に仕えることであるという認識がない受験者が多くいた。
正教師志願者の提出試験として、旧約説教・釈義、新約説教・釈義、組織神学、神学論文が課せられた。正教師志願者は既に、伝道、牧会を経験しているが、説教に教会の姿、会衆の姿が見えてこない説教が多くあった。また釈義とは何かが十分捉えられていないものがあった。このような説教が主日、説教壇で語られ、果して会衆の魂に届き、響いているのだろうか、と思われる説教が多くあった。近年の傾向として、組織神学的な思考が弱い点が挙げられるが、今回もその傾向は強くあった。教理的に教会の課題を受け止め、それを自分の言葉でどのように構築していくのかは、教会形成にとって欠かせないことである。
学科試験としては、教憲・教規、宗教法人法、旧約聖書神学、新約聖書神学、教会史が課せられた。旧約聖書神学、新約聖書神学は、日々聖書に親しんでいれば答えることのできる基本的な設問であった。教会史も教会史的知識を暗記しているかどうかではなく、伝道、牧会していく上で、教会史を通して明らかにされたキリストへの信仰を明晰に理解し、身についているかを問うものであった。教憲・教規、宗教法人法も、教会形成をして行く上で、身につけるべき基本的なことを問うものであった。日ごろ、教憲・教規、宗教法人法に親しんでいるかが問われた。いずれの科目も基本的な神学が身についていない点が明らかになった。忙しい伝道・牧会の日々にあって、学び続ける努力を怠らないでほしい。
今回の試験結果を経て、教師検定委員会として、今後の教師検定試験の在り方を巡って協議をした。日本伝道へと召してくださった主の召しに応えるために、どのような教師検定試験が望ましいのか。教師養成制度検討委員会と共に、考えていかなければならない重要な課題である。
今回、2名のCコース認定面接を行った。地方教会において無牧師の教会、伝道所が増えていく中で、伝道者としての召しを受け、これからCコースを受験する。主がさまざまな仕方で、生きて働かれている御業を見る思いがした。 (井ノ川 勝報)
講評
2017年度秋季教師検定試験が9月12日から14日にかけて行われました。
教師検定試験は、教団の教師となるための召命を確認する機会であることは言うまでもありません。そして、試験に臨む受験者たちの緊張感は、神の前における畏れを彷彿とさせますが、主によって立てられる喜びを確認させられるときでもあります。
筆記試験は教師として必要なことを問いましたが、近年の傾向として、聖書釈義をはじめ、神学的に思考する力の不足が感じられます。日々聖書を読み、聖書の言葉に取り組むこと、神学的思考に親しむことを大切にしていただきたく思います。
また、試験の結果も主の御旨と信じ、誠実に教師としての歩みを続けていただきたいと切に願っております。
第40総会期教師検定委員長 服部 修
2017年秋季・正教師検定試験問題
教憲教規および諸規則・宗教法人法(60分)
次の2題に答えてください。
1.教規第94条に「教会総会は、教会担任教師および現住陪餐会員たる信徒をもって組織する」とあります。教会総会を開くのに、なぜこのような構成員でなければならないのでしょう。教憲教規より必要な条項をあげながら、構成員について、その意義を文章で説明してください。
2.宗教法人である教会が会堂建築をすることになりました。この事業に関わる宗教法人法で最も必要な条項を挙げつつ、建築事業を進めるために必要な手続きを順を追って文章で説明してください。
旧約聖書神学(60分)
次の2題に答えてください。
1.ヨシヤ王の宗教改革がその後のユダヤ教に及ぼした影響について、述べてください。
2.旧約聖書における石の柱とその役割について、具体的に複数の聖書箇所を挙げながら述べてください。
新約聖書神学(60分)
次の2問に答えてください。
1.ヨハネによる福音書には、共観福音書にみられるイエスの受難予告に相当する並行箇所がありません。共観福音書との対比で、ヨハネ福音書におけるイエスの死の自己理解について、論じてください。
2.次の3題のうちから、2題を選んで答えてください。
① ルカによる福音書と使徒言行録における使徒観について、述べてください。
② パウロ書簡の終末理解について、二つ以上の書簡からテキストを選んで述べてください。
③ ヘブライ人への手紙の大祭司キリスト論における神殿理解について、述べてください。
教会史(60分)
次の2題に答えてください。
1.古代教会におけるキリスト論論争について、述べてください。
2.宗教改革者たちの聖餐理解の違いと特色について、述べてください。