数年前、秋田地区における宣教協力について、秋南教会の宣教の歩みに学ぶ機会があった。同教会の宣教は大正3年に米国人宣教師スマイザーによって始められた。その後、瀬谷重治牧師が伝道活動を引き継ぎ、秋田県南地方を中心とする、広大な地域に力強い伝道がなされ、16箇所もの拠点を持つに至った。
1980年代以後、同教会は伝道圏伝道の形を保ちつつ、その内6拠点に教会堂を建築した。これは驚くべき出来事であった。もちろんそれぞれの教会堂において伝道活動が盛んになされた。
そのような秋南教会の伝道の歩みを紹介した同教会の役員の方は、自らの教会の伝道の姿勢について、おおよそ次のように話された。「教会堂が与えられたことによって伝道が盛んになされる一方で、教会に集まる伝道が主となり、教会堂の維持管理という課題も加わったことによって、教会が“守り”に入ってしまったように思う」。この言葉は衝撃であった。それまで各地域の信徒宅などで集会をもち、近所の方たちを積極的に誘うなど、出かけて行く“攻め”の伝道をしていたが、その姿勢が弱くなってしまっているのではないかということであった。
「あなたがたは行って、すべての民をわたしの弟子にしなさい」(マタイ28・19)との主イエスのお言葉をあらためて深く覚えたことであった。 (教団総会書記 雲然俊美)