2011年3月11日午後2時46分、宮城県沖を震源とする東日本大震災が起こりました。テレビなどではあまり多く報道はされませんでしたが、東北から少し距離のある群馬県でも大きな被害が出ました。桐生東部教会のある桐生の町ではその時、震度5強~6弱を記録しています。
桐生東部教会の会堂は1973年に建てられた旧会堂と1999年に建てられたエレベーターのある建屋が隣り合って建っています。新しい建屋にはエレベーターに加え、男女別のトイレ、身障者用のトイレ、集会室があり、バリアフリーの良い働きをなしてくれています。しかし、震災の時に旧会堂と新しい建屋が別々の揺れ方をしたために互いにぶつかり合い、旧会堂側は大きな被害を受けました。
具体的には、建物同士の接合部分や3階の牧師室、4階の牧師館に被害が出たばかりでなく、1階の駐車場のコンクリートの下では一部土台が沈下した場所もあり、建物と土地の修繕を行うのは大変な状況でした。被災するということは、建物に損傷を受けるだけではなく、その場に生かされる者にとって心身共に疲れや痛みを抱き、どこにもぶつけようのない想いにさせられるものだということを痛感させられました。
しかし、その状況を受け、日本基督教団より「東日本大震災会堂牧師館支援金」の支援を受けられることになり、また全国の教会、伝道所、キリスト教の学校やいろいろな団体などから励ましの声や祈りによる支え、尊い献金による支援をいただき、震災による大変な状況でもなんとか前を向いて歩むことができました。この場を借りまして心から感謝を申し上げます。
あの時受けた支援を力に私たちは信仰の歩みを進めていますが、今度は、災害が起きた時には私たちが被災地の方々を覚え祈ること、できるところから支援を行うことを大切にしたいという想いを持ちつつ歩んでいます。2014年8月に起きた「広島土砂災害」、2015年4月に起きた「ネパール地震」、2015年9月に起きた「関東・東北豪雨」、2016年4月に起きた「熊本地震」などでは教会内で支援献金を募り、被災地にお献げしました。
また、毎年6月に行っている教会バザーでは、売り上げの一部を被災地へ支援献金としてお献げする働きも続けています。それは、桐生の地にある教会として、桐生の町の人たちにも、他の地で災害により大変な生活を余儀なくされている人が現在進行形で今もいるのだということを、発信したいと願っているからです。
共に生きるということが、災害という有事の時だけではなく、災害を経験した私たちだからこそ日常の中でも自然と行えるような私たちでありたいと願っています。
私たちはあの時、たくさんの方々の祈りと想いを受け取り、それが大きな力となりました。そこで得た力を隣人と生きるために用いる力に変え、これからも神様と共に桐生の地での歩みを進めたいと思っています。(関東教区・桐生東部教会牧師 三浦 啓)