毎年夏に行われる部落解放青年ゼミナールも、多くの方のお支えによって支えられ「第20回部落解放青年ゼミナール『踏み出す、一歩 つくり出す、解放~滋賀に来るなら平和どう?~』を8月22~24日に滋賀県近江八幡市の近江金田教会を会場に開催しました。30数名が参加し、多くの出会いや学びがありました。例年のように、入門講座や狭山事件学習会、フィールドワークなどのプログラムに加え、今年は八幡の名産である八幡靴をかたどった「ミニ八幡靴」のレザークラフトも行いました。元靴職人の方や、その方が普段クラフトを教えている教室の生徒のみなさんに教わりながら、靴作りの歴史の一端に触れることができました。
体験学習の中で、地域の方から「楽しさ」を前面に押し出した運動の歴史があった、というお話をお聞きしました。例年であれば、そこに被差別を体験された方の証言が伴うのですが、今回はそれがなかったことに違和感を覚える参加者もいました。その後、教会へ帰ってきて様々な議論がありましたが、私たちは、地域の方が語られたことにどのような思いが隠されていたのかを想像することが必要である、という意見がでました。「楽しさ」の奥にどのような思いがあったのか。なぜそれを言われなかったのか。その「見えないもの」に思いを馳せることの必要性を痛感させられました。
また同時に、被差別の証言をそれとして「消費」してしまわないこと、そして被差別者を対象化してしまわないことが重要である、という意見も出ました。「あぁ、聞けてよかった」「行ってよかった」で終わってしまうのではなく、自分自身を被差別者となる可能性がある存在として、あるいは意識せずとも差別している存在として自覚することで、与えられた経験を「知識」としてではなく、「知恵」として学んでいくことが重要であると感じました。
次回の青年ゼミも多くの出会いと学びが与えられる会となることを祈りつつ、日々の生活を歩んでいきたいと思います。 (片岡希望報)