教師身分に関する答申を巡り議論
神奈川教区
第134回神奈川教区総会は、6月27日、清水ヶ丘教会で、正議員232名中171名の出席で開催された。
組織会冒頭、三宅宣幸書記が、北村慈郎氏の身分に関して、3月27日付の信仰職制委員会の答申に触れ、神奈川教区としては、「信仰職制委員会は教師身分と資格を喪失した教師と呼んでいる」という言葉を付記し、教師としての印をつけ、推薦正議員とすることが常置委員会で決定されたことを告げた。議場からは「教師として認める以上は、教規143条に抵触するのではないか。正議員とすることは、議長にも、教団議員にもなれるということになる」という意見をはじめとして「准議員としてはどうか」「教区での捉え方は過去になされた議論であり、そのままでよい」との意見が相次いだ。
三宅書記は「6月2日の常置委員会では、まず信仰職制委員会の答申の意味内容を理解するという意味で継続審議とした。教区に様々な意見が渦巻いている中で、断定的なことはできない」と答えた。平良愛香議長は、議論を打ち切り、組織会であることを踏まえ、常置委員会の決定で進めるとした。
その後、議事日程の承認直前に「准允・按手の議案も含まれている。教団信仰告白を告白して、議事を始めてほしい」との動議が出された。平良議長は、「神奈川教区として信仰告白を告白していないことにも意味があるのではと思う。何故今までしてこなかったのか。そこから掘り下げて話し合いをすべきではないかと考える」と応答。また、似た動議が教区総会毎に提出されることに関して、議員提案にできないかとの議場からの指摘があったが、「この議論は、前回総会において継続事項であり、常置委員会が今総会において告白しないと決議したことに対する動議である。もし、議員提案をするのであれば、常置委員会の意見を無視することになる」との反論があった。議長は緊急動議として扱い、170名中45名の賛成で否決。従来通りの形で、3名の准允と1名の按手が執行された。
問安使挨拶においても、北村氏への対応から質疑が始まり、沖縄教区への対応や教区とは何かとの、教団と教区の関係を問う質問が相次いだ。特に、第39回教団総会で北村氏関連議案を議長が上程しなかったことに対して、佐々木美知夫問安使は、「教団としては、対応が定まったという理解である。議長が上程しないということに対して、議場からは特に異論がなかった」と答えた。
但し、北村氏の「免職」撤回を求め、教団内に聖餐の在り方について議論をする場の設置を求める議案は、134名中101名で可決され、教区が北村氏の問題を担い続ける姿勢が明らかとなった。
その他、ヘイトスピーチに関する声明、集団的自衛権行使に関する法案撤廃、辺野古基地建設の撤回議案には、「これらの議案は、ある一つの考え方が強制されていると思う。私たちは信仰によって一つであって、政治的見方によって一つではない。教区の議案ではなく、個人的な賛同者を募るという形で取り扱ってほしい」との意見もあったが、どの議案も134名中100名前後の賛成によって可決された。
(佐藤 進報)
17教区総会を終えて
教団総幹事 長崎哲夫
本年も4月末の連休入りから始まった北海・四国両教区総会から2ヶ月かかって、去る6月27日に開催された神奈川教区総会まで、教団17教区定期総会が終了した。
今回、 多くの教区で共通した主な議事は、「伝道資金規則」及び「東日本大震災救援募金の終了」関連が中心であった。
特に大阪教区では、伝道資金規則に端を発して教区常置委員会提出の新年度予算が原案、修正案とも否決される等、既に新年度会計が始まっている諸教会には一部混乱があった。大阪教区は、この総会後にも改めて、「教区活動連帯金を廃止し、伝道資金規則を制定した第39回教団総会」に対する疑義を教団に抗議して来た。
内容は、①規則制定や負担金の制定は「三分の二」条項を無視したのではないか。②教区活動連帯金によって大切にされてきた教区間互助の有り様が失われた。③伝道資金規則の運用が不明瞭であり、こうなったのも当規則に対する不信の表明であるとした。
しかし、第39回総会 は、教規第153条に基づいて審議し、その結果議場は多数決をもって決議したもので、破綻したとされた教区活動連帯金制度を更に積極的に全教団として責任的に位置づけ、教区の伝道事業に資するとされたものだ。
さて、本年も沖縄教区は「教団との一定の距離」をもって、教団問安使を受け入れず、問安使は内地からの出席者同様の傍聴者として2日間の議事の中で過ごした。この総会を通して教団執行部に対する批判を沖縄教区議長は、「議長中間報告」に19頁をもって行った。その膨大なものを議長が総会で読むことはなく、議場の承認を改めて受けることはなかった。その間、厳しい教団批判に一議員から、「教団から来ているので(総幹事のこと)発言を求めたらどうか」との声もあったが、傍聴者の発言は当然とり上げることはなかった。
因みに、教団三役は、今春三通りの可能な日程を提案して教区総会議長にお会いしに沖縄へ行かせて戴きたい旨お願いしたが、それも断られた。要するに教区議長は、「沖縄教区は、沖縄にある教会としての自負から、沖縄の記憶と主体性が薄弱になるようなかたちで、日本基督教団の体制に与することはできない」(議長中間報告43頁)ということだ。ならば、そのことをきちんと教区として諮り、総会として決議の必要はないのか。
さて、17教区総会の開催前、本年も京都教区議長には再三教団問安使受け入れを打診した。だが、今回は 教団議長を総会前の協議会には受け入れるが、総会には出席を遠慮するという返事だった。同時に、教団新報の記者の受け入れも無理で、結果的に総会記事も教区総会議長が書くと言われた。これももう毎度のことだが、何故なのか理由が分からない。 理由を説明してもらいたい。
中部教区総会問安中、一議員が、終了した「東日本大震災救援募金」に触れ、集められたものは全て教会の会堂牧師館再建支援金に当てるべきで、被災教会への貸付金はおかしいと言われた。この議員は教団募金には応ぜず、直接被災教区へ送金していた教区からこの4月に同教区へ赴任したのであったが、「貸付金」は教団が用意して各教会からの返済金をもって清算するという計画であって、救援対策本部はその間の不足金は他所から借りて貸し付けに当てることを詳細な円グラフで示していた。この件は他の教区でも同様の質問を受けた関係もあり、大方に理解してもらいたいことである。
それにしても、各教区共に一人の牧師による複数教会の兼牧、代務、無牧師教会が増加したこと、特に東北教区における原発事故の影響下、放射能汚染による小高、浪江両伝道所の平常活動は今もって全く不可能な現状に大きな痛みがあり、地域教会はじめ全教団の復興の祈りに熱いものがある。
終わりに、教団三役、総幹事の問安は多くの批判を聞くとしても諸教区総会が温かく迎えて戴いたことを感謝している。