・0422とは
「0422って、引越し屋さんですか?」教会員からもこう尋ねられたことがありますが、そうではありません。これは東京都武蔵野地域(武蔵野市・三鷹市)の電話局番です。現在では多くの自治体で、市外局番が二桁ないし三桁になる中、この地域だけはNTTの都合上、0422のままです。しかしこれは三〇年以上も「0422キリスト教会合同プログラム実行委員会」を組織している教会にとって、ありがたいことです。
この団体は、武蔵野地域のカトリック及びプロテスタントの諸教会(日本基督教団、日本福音ルーテル、日本聖公会、日本バプテスト連盟、カンバーランド長老教会、聖書集会、単立国際基督教大学教会)そして東京YMCA西東京センター、東京YWCA武蔵野センターが教派の違いを超え、共に平和を希求しつつクリスマスなどの集会を協力して行うために組織されました。現在では一五教会と二団体で構成され、通称「0422の会」と呼ばれています。
・長い歴史
発足までを辿ると、一九六三年に地域にある井の頭公園野外音楽堂でYMCAとYWCA、近隣の三教会が初めて共に礼拝しました。七〇年代になって、更に教派を超えて共に礼拝しようとの気運が高まり、呼びかけに応じた一三教会が参加。それぞれが分担金を拠出し、事務局をYMCAとYWCAが担う「0422の会」が発足したのです。
活動内容は、クリスマスの意味を知ってもらおうと「市民クリスマス」を開催。最初の数年は持ちまわりだった会場も、吉祥寺駅からほど近いカトリック吉祥寺教会を主として、毎年一二月初旬に開催されてきました。九〇年代には「イースター一致祈祷会」と「平和祈祷会」を加え、年三回の集会を実行しました。ただ二〇〇二年から諸教会の多忙さという事情により年三回の集会計画を改め、当初からの「市民クリスマス」に集中することになりました。実に三一回目となった昨年は、一二月一〇日午後六時半からカトリック吉祥寺教会で開催。参加者は二三〇名でした。
・役割を分担して
「0422の会」は教派を超えて協力する会ですから、プログラムもそれぞれ分担して担当します。司式、説教、聖書朗読、献金などの奉仕者を各教会から出し、みんなで進めてゆきます。特に今回は、有志による子どもたちのハンドベルと聖歌隊が結成され、会衆の賛美をリードしてくれました。聖書は視覚障碍者、小学生、またカトリックの神父と信徒によりタガログ語とリンガラ語で朗読されました。
さらに武蔵野地域を拠点に活動しているゴスペルグループや歌手・陣内大蔵さんの歌も加わり、キャンドルサーヴィス全体が大変厚みのある内容となりました。
メッセージは日本基督教団武蔵野扶桑教会の定家修身牧師が担当。かつて自分が牧会していた教会のクリスマス礼拝中に、聖歌隊員の貴重品が全て盗難に遭ったというエピソードを交え、暗闇の中に輝く光として救い主イエス・キリストは来られたことをとても分かりやすく説かれました。
席上献金はインド・パキスタン大地震被災者救援と昨年六月に発足し、武蔵野地域にいる約五〇人の野宿者のために活動している「夜回り三鷹」(野宿者とともに生きる会)のためにささげました。この他、礼拝に先立って行われたクリスマスグッズマーケットの売上金は、YMCA国際協力基金を通してバングラデシュへ送金しました。
・信徒の働きで
前述の通り「0422の会」はエキュメニカル(超教派)運動に根ざした団体です。しかし、かつては全国各地で展開されていたこのような組織が、近年は消滅しつつあると聞きます。「0422」も決して例外ではありません。教会間(と言うより牧師間)の対話が年々希薄になっていますし、牧師の忙しさによる働きの担い手不足も否めません。
そんな中、目を見張ったのは「0422を消滅させるな」と立ち上がった信徒たちでした。スタッフの八割が信徒という顔ぶれが、様々な新提案を生み、諸教会の結束力を固めました。「0422」は、信徒によって息を吹き返しています。
(真壁巌報)