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日本基督教団 The United Church of Christ in Japan

【4613号】秋季教師検定試験 正教師試験、補教師試験とも、厳しい結果

2006年10月28日

学ぶ姿勢を形成すること

二〇〇六年秋季教師検定試験が、九月二六日(火)~二八日(木)に大阪クリスチャンセンターを会場として行われた。受験者総数は八六名。
正教師試験は六五名が受験し、うち合格者が二四名、保留者が三〇名、不合格者が一一名であった。又、補教師試験は二一名が受験し、うち合格者が六名、保留者が六名、継続者が九名であった。保留者というのは、学科試験の結果が合格点にわずかに及ばなかった場合に、受験者にレポートが課せられ、後日そのレポートによる再判定を受ける者のことである。また継続者とは、主にCコースにおいて複数年掛けて受験する者の中で次回以降も受験する必要がある者のことである。
秋季の教師検定試験は正教師試験の受験者が多いのであるが、結果は厳しいものであった。委員会は、提出物の課題・学科試験問題のいずれにおいても、今まで同様に基本的なものを出題した。教師として宣教に当たるとき、どうしてもわきまえておかなければならない事柄ばかりである。この結果を真摯に受け止めて、春季の試験に向けて備えをなして欲しい。
受験費用については教団からの援助が認められている。しかし、教師試験は教会の業であり、比較的財政規模の大きな教会においては教会が負担するという姿勢を持って頂きたい。
今回の試験において目立ったのは、主に三点。第一に、提出物の課題である新約・旧約聖書釈義の中に安易なものが少なくなかったということである。今回も略解や注解書を「丸写し」している者がいた。これは不正行為と見なさざる得ないし、試験に臨む姿勢を問わざるを得ない。また、参考文献が一冊という者もいた。複数の文献に当たり、聖書のメッセージを聞き取っていく真摯な姿勢を日常の作業として欲しい。
第二に、神学的思考力の弱さが見られたということである。これは、学科試験の新約・旧約聖書神学に顕著に現れた。聖書箇所を羅列するという答案が少なくなかったのである。その聖書箇所から神学的考察を求めているのであるが、それが無い、或いは大変弱いものが少なくなかった。また、提出課題の「神学論文」においては、自分が補教師として経験したことの報告だけを記しているものが少なくなかった。求められているのは「神学論文」であって、「伝道レポート」ではないのである。勿論、各自が経験してきたことには、それぞれ重いものがある。しかし、それを神学的に考察しなければ「神学論文」にはならない。神学的考察力は、全ての宣教の局面において教師に求められることである。教師となった後も、日常的に学んでいくことが求められる。
第三に、知識が不正確であるということ。これは学科試験の教会史に顕著に現れた。煩瑣な知識が求められているわけではない。しかし、その出来事が教会においてどのような意味を持ったのかということについては、教師として弁えていなければならないことであろう。
個人面接に先立ち、面接の一日目と二日目に各々全体会が行われた。最初に各委員の紹介、次いで菅原力委員長が挨拶し、今回の試験全般について説明した。その中で、委員長は現教師検定委員会の検定方針を説明し、特に教憲第九条の「神に召され正規の手続きを経て献身した者」について丁寧な説明がなされた。その後、質疑応答、意見交換がなされた。受験者から一会場での受験になったことについての意見が幾つか出されたが、今後の参考としたい。
今回から、Cコース二年目の受験者に対してもガイダンスが行われ、どのような学びが必要であるか、何が求められているのかということについて説明が為された。
教会と教団全体にとって、教師を立てるということは極めて重要な課題であり、当委員会に課せられている責任の重大さを思う。主が教師となる人々を更に起こされていくことを、心より願い祈る。
(小堀康彦報)

*2006年秋季・正教師検定試験問題

教憲教規および諸規則・宗教法人法(60分)
次の2題に答えてください。
1. 宗教法人設立の手続きについて、宗教法人法に基づいて記してください。
2. 教会・伝道所が教師を招聘する場合に必要な手続きについて、「教憲教規および諸規則」の該当箇所を挙げて述べてください。
旧約聖書神学(60分)
次の2題について答えてください。
1. キリスト教会で旧約聖書を説教することの意味について論じてください。
2. 次の3題のうちから1題を選び、旧約聖書のテキストを指摘し、論じてください。
(1) 契約
(2) 苦難
(3) 創造
新約聖書神学(60分)
次の3題のうちから、2題を選んで答えてください。
1. ヨハネによる福音書における主イエスの「自己証示」
(ε’γω´ ει’μι)について論じてください。
2. パウロにおける「神の義」について論じてください。
3. ヘブライ人への手紙における「キリスト論」について論じてください。
教会史(60分)
次の6題のうちから2題を選んで答えてください。
1. 古代教会における三一論の形成について述べてください。
2. 東西教会の分裂について述べてください。
3. スイスの宗教改革について述べてください。
4. いわゆる「反(対抗)宗教改革」について述べてください。
5. オックスフォード運動について述べてください。
6. 世界教会協議会について述べてください。

『講評』

教師検定委員長
菅原 力

第34総会期二〇〇六年秋季教師検定試験が大阪クリスチャンセンターを会場に実施されました。今回の試験は八五名の受験者が与えられました。このことをまず、神に感謝するものです。試験の結果は報告にあるとおりです。受験者一人一人がたんに検定試験のための勉強というだけでなく、日常の歩みの中で学ぶ姿勢を形成することが大事なことだと思います。御言葉に仕える者として、謙遜に広く深く学び続けていく姿勢を、形づくってほしいと願っています。
長い間二会場に分かれて実施してきた検定試験を今回より一会場で行うこととしました。もとよりこれがベストの判断かどうかは今後受験者の意見も聞きながら、回数を重ねて検討する必要があります。しかし、全体としてよりよい条件の中で試験を実施することができたのではないかと評価しています。

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