二〇〇七年八月十四~十七日、大阪府和泉市にある日本基督教団いずみ教会を会場にして『つれもって行こら~-今からここから-』というテーマで第一〇回部落解放青年ゼミナールが行われました。『つれもって行こら~』という言葉は大阪の南西部で語られる泉州弁で『一緒に行こうよ』という意味があります。今年の参加者は四六名、内容が濃いプログラムで充実した学びの時となり、また差別をなくそうと同じ志を持つ仲間との出会いの時となりました。
今年も開会礼拝から始められ、様々なプログラムがありました。「入門講座」では、聞くだけではなく主体的に関わり共に学んでいくことを考え、実行委員が講師を担い、部落差別の歴史や基礎的なことを学びました。「フィールドワーク」では、訪れる場所の説明とその時代背景の説明を事前に受け、部落差別が現実に起きたということを実感しました。また、「信太山盆踊り」への参加は、地域の人とのふれあいがあり、そこで生きる人々の熱気を肌で感じることのできたひとときでした。涙を流しながらも必死に語る姿に心打たれた「笠置隆司さんの講演会」、また、「狭山の時間」では、四四年が過ぎた今でもまだ見えない手錠をかけられ、闘っている石川一雄さん(狭山事件)について学びました。日々の食事からは、地域の食文化を学び、食文化を通して、多くの人々との出会いと、交流の時(焼肉交流会)がもてました。
多くのプログラムの中でも、忘れられない貴重な時間が「Liberation Cup」(リベレーション・カップ)です。この時間は参加者がそれぞれに考えていること、感じていることを皆の前で自由に表現する時間です。つまり、「部落解放運動するにあたり、自分自身も解放していこう」という意図でこのプログラムが生まれ、今年で二回目になります。曲のメッセージ性を伝えるためギターを弾いて熱唱した人、三線やマンドリンを弾いた人、演歌を振り付きで熱唱した人、キング牧師の似顔絵を描いた人、かねこみすずの「みんなちがってみんないい」を腹話術で語った人、「Liberation Cup」の「Liber」(リベル:ラテン語で「自由」の意味)という意味について熱く語った人、今の自分を熱く語った人、それぞれが自由に表現しました。
様々な出会いと学びを振り返りながら、『つれもって行こら~』をもう一度思い起こしつつ、閉会礼拝をもって無事に終わることができました。私は、今年の部落解放青年ゼミナールでたくさんの基礎的な知識を得ることができました。それと同時にたくさんの疑問を持ちました。私は青年ゼミに参加し、またこの文章を書くにあたり、自分が部落差別に対してどれだけ無知なのかを知ることが出来ました。しかし、この無知ということが部落差別に対するこれからの自分の学習意欲になり、様々な差別問題へ取り組んでいく出発点になると思います。
この文章を読んで興味を持った方、来年の部落解放青年ゼミナールに参加して、新たな学びと出会いの時としてみませんか。そして、一緒に差別をなくそうとする運動を起こしていきませんか。それが『今からここから つれもって行こら~』なのです。来年の部落解放青年ゼミナールへの参加をお待ちしています。
(片岡自由報)