【4575号】春季教師検定試験 召命に応えるべく受験者総数78名

神学の基本的学びを問う

二〇〇五年春季教師検定試験は、三月一日~三日、東京と京都の両会場で行われた。今回の受験者総数は七八名であった。試験直後の委員会での学科試験判定によると、補教師試験全体では七三名が受験した。うち合格者は四四名、保留者八名、不合格者二名であった。Cコース受験者二二名のうち一八名が、またBコース受験者一名が継続となった。また昨年秋の正教師試験で科目が残った五名が再受験し、一名が合格、二名が保留、二名が不合格となった。保留者については、改めてレポートが課された。委員会で後日、再判定する。また今回は他教派よりの転入志願者はなかった。
前回春季試験ではA、B両コースの受験者の中から多数の不合格者が出たが、今回は概して良い準備がなされ、不合格者が少なく、また保留者も比較的少なかったことは喜ばしい。検定試験では、教師となる上でどうしても理解しておく必要のある基本的な神学の学びについて問われる。今後も各受験者が、教師となる自覚のもとに良い準備をされるよう望む。
それでも依然として保留となる者がある。とくに教団教憲教規・宗教法人法、および新約聖書神学の両科目については、基本的な理解を問う問題であるにもかかわらず、学びが不足している場合がある。宗教法人法の知識は教会現場における実務に必須である。新約聖書神学の知識と理解は、説教と伝道、牧会にあたり、直ちに問われることになる。
Cコース受験については、ギリシア語の合格率が低い。限られたごく初歩的な範囲での出題であるので、時間をかけて少しずつ準備を進めてほしい。また教会史・教理史の知識は神学的思考の基礎となる。日頃の積み重ねが重要である。組織神学の記述も不十分な点が見うけられる。基本的な書物を繰り返し学び、組織神学的思考を養う必要がある。
そうしたことが積み重ねられていって、説教や牧会、ひいては教会形成へと結晶することになる。今後も個人の学びを進めていくことはもちろん、相互の共同の学びを継続し、研鑚を深めていくことが望まれる。
学科試験後の個人面接の前に両会場で全体会を行い、受験志願者と委員全員で懇談の時をもった。これは、検定試験への理解を深めるとともに、よりふさわしい試験のあり方を求めるものである。八束潤一委員長が挨拶し、試験全般について説明した。第一に、検定試験は教団教憲教規と検定規則、および信仰告白に基づいて行われている。第二に、教師検定試験はたんなる合格だけを目指すものではなく、準備を通して福音の豊かさを学び、人々に届かせるための良い機会でもある。第三に、いま教団において現在の二種教職制度の改革について検討が始められている。最後に、教憲第九条において「本教団の教師は、神に召され正規の手続きを経て献身した者」とされていることに触れ、教師となるにあたり、教区教団における教会の手続きを重んじるとともに、献身と召命の思いを新たにして、研鑚と学びを続けてほしいと述べられた。委員長挨拶に基づき、受験志願者との質疑応答、意見交換がなされた。
試験後の委員会では、いくつかの点が指摘された。今回、受験者の準備が良くなされていたことが評価される。また三名の検定委員が教会員の召天に伴い、日程半ばで帰らざるをえなくなったが、今後そうした場合、面接等の職務遂行について、対応が求められる。また現在は東京と京都の二会場に分かれて試験を実施しているが、これを一会場とすることも今後の課題である。検定試験制度を、より細かく定め、規則を整備する必要がある。次期委員会への申し送り等については、時間を改め、別に委員会を開催する。
教師検定試験においては、神学の基本的な知識と理解を問われる。そのいずれも、教師として伝道と牧会の場に立つ上で、欠くことのできないものばかりである。今後、そのための良い備えをして試験に臨み、主の聖なるみ体である教会に仕えることができるよう、努力していただきたいと願う。
(楠本史郎報)

*2005年春季・補教師検定試験問題

教憲教規および諸規則・宗教法人法(60分)
(A・B・CⅢコース)
次の2題に答えてください。                                           1. 宗教法人である教会の主任担任教師の就任と辞任について、必要な手続きについて記してください。
2. 宗教法人である教会が備えなければならない書類・帳簿について記してください。
旧約聖書神学(60分) (B・CⅢコース)
次の2題に答えてください。
1. 捕囚前の預言者の使信の特徴について述べてください。
2. 旧約聖書における「契約」思想について述べてください。
新約聖書神学(60分) (B・CⅢコース)
次の3題のうちから2題を選んで答えてください。
1. 共観福音書におけるイエスの「受難と死」について述べてください。
2. パウロにおける「神の義」について述べてください。
3. ヨハネによる福音書における「キリスト論」について述べてください。

 

『講  評』

教師検定委員長
八束 潤一

33総会期委員会として最後の教師検定試験を実施した。
試験期間中、教会員の召天等により三名の委員が途中で不在となる事態が生じたが、委員諸氏の協力により無事に実務を終えることが出来た。働きを終えるにあたり委員長個人として感じたことを述べたい。
今期委員会は、32総会期第五回常議員会が行った検定試験の基準に関する決議の後に選ばれ実務にあたった。信仰告白を基準とする決議は何より、受験生にとって良いことであった。また同時にこの決議は、私たちが教団の中にある多様性や差異を、合同教会の豊かさとして互いに受け入れ、生かすために努力することを求めていると思う。大切な課題であろう。
今一つは、検定作業に携わりつつ、委員自らが福音を証しする働きに召され、神に献身する者として立てられている事を改めて問われたことである。このような働きに携わることが出来て感謝している。

【4574号】教会の支援とは

一月末の大雪の中、新潟県内の教会を問安する機会が与えられた。
それは、「新潟県中越地震被災教会会堂等支援委員会」を現地で開催する前に、小橋孝一委員長と共に全委員が、関東教区三役等の案内で、被害を受けた五教会の実際の被害状況を見るためでもあった。
しかし今回、考えさせられたことは、地震被害のことではない。
ある教会を訪れた時、その牧師館を見て、本当に驚き、正直なところ、私を含め何人かの方が「ここに住んでおられるのか」と声が出たくらいにその牧師館は狭く、古かった。
私も幾つかの牧師館に住み、多少の苦労も経験してきたが、この牧師館は…。
関東教区も配慮し、地震被災を期に、近くのアパートに住んで戴くように配慮されたようだ。

私たちは、教団信仰告白で「教会を信ず」と告白するが、勿論、それは建物ではなく、「全体教会」への告白でもある。
しかし、現状はどうだろうか。
パウロが、エルサレム教会を支援する時に、実際に援助するのは「お金」であるが、それを記す箇所には一度も「お金」とは記さず、「慈善の業・奉仕」との言葉を用いている(第二コリント八章)。
今回の教会支援も、実際は募金活動ではあるが、「教会を信ず」を実質化できるような内容でありたいと祈りつつ被災地を後にした。
(教団総会副議長 小林 眞)

【4574号】人ひととき 松下充孝さん

キリストを土台とする建築士

大きな身体に柔和な笑顔がトレードマークの松下さん。
二年前、さいたま市から児童養護施設の基本計画策定を依頼された彼は、キリストの愛の精神を活かした施設を設計建築しようと試みた。養護施設よリ家庭的養護の場としてのノーマライゼーションを設計方針として取り組んだ。既存のキリスト教施設や、牧師の意見を参考にしながら設計を完成した。しかし、従来の行政指導の施設運営では、設計理念が生かされるか危惧していた。
このような時に、主の不思議な導きにより施設長が民間から浦和東教会員の九里氏に決定し、キリストの愛に根ざした運営がなされた。子供達がいきいきと生活する様子に県内外から注目と、多くの期待が寄せられた。
超過密スケジュールの中から十一月、中越地震のボランティアの一員として小出・見附へと出向き、被災された教会や教会員の建物を調査。耐震診断士としての専門的知識を活かして様々な角度から耐力を増強する耐震補強方針を作成し夫々に補修や改築の提案をした。又、十二月には関東教区の妙高高原にある研修施設「向山荘」にも出向いて、耐震診断に加えて将来の展望まで提示してくれた。
これらの体験から彼はひとつの目標を得た。「教団や教区が立ち上げた支援センターに各種専門的資格者が奉仕者として自主的に事前登録して頂き緊急時に備える、いろいろな賜物を持つ共同体である教会の特色を活かして災害の救援支援が的確にできることでしょう」と穏やかな口調で語った。
私たちの平時の心得として、建物の平面図や立面図・断面図の図面に加え過去の天災人災の被害の建物の歴史等を保管することの重要性を挙げた。
人間に定期的な健康診断が必要なように、建物もある時期に劣化や耐力を知る為の健康診断が重要であると、トレードマークの笑顔が教えてくれた。

【4574号】津波インド・ダリット村 被害甚大 命があぶない!

二月八日~十六日迄、津波で甚大な被害を受けたインド洋の海岸に面したタミール州のダリット村を訪問した。五日間かけて南インド合同教会の津波現地救援スタッフ三名、谷本の計四名で津波に襲われた地域十二の村々を訪問した。
チェンナイ市から一六〇キロ離れたクドリア村。村は津波によって跡形もなく、ただここに昨年十二月二六日午前八~九時、津波が押し寄せて来るまで家があったという家の敷石の跡が残っているだけ。
この村の生業は漁業。辺り一面、無残にも津波によって壊れた船の残骸。網の散乱。海辺で茫然と立ちつくす人々と話し合う。彼らは「津波によって全ての物を失った。死者六一七人。負傷者一九八人。家屋一五、二〇〇軒が一瞬に消えた。全ての船が使えなくなり、網を失った。家財道具、水飲み場、子どもたちの学校も無くなった。政府は一家族に一、二〇〇円の見舞金、五〇キロの米、二セットの服を支給してくれただけ。NGOは三日間の食料品のみの支援。漁業をするための船と網の支援は無し。これからどうして生業をしていったらいいのかわからない」と語る。このような状況はどの村を訪問しても同じであった。
今回の津波でインドの死者一一、〇〇〇人以上、倒壊家屋一二六、一八二軒。インドのダリットの人々は支援を待っている。
部落解放センターではダリットヘの支援・連帯のため全国募金活動を行なっている。どうか宜しくお願いします。
郵便振替(00950-6-302047 日本基督教団部落解放センター)
(谷本一廣報)

【4574号】牧師のパートナー

雪国の牧師館日記
荒瀬 典子
(喜多方教会員)

一月〇日 今日は幼稚園のソリ滑りの日。昨日までの吹雪が止んで青空に銀世界が眩しい絶好の雪遊び日和。近くの公園の雪山まで三十人の園児、二人の先生のお手伝いとして私もお供。時々ノリコセンセイとなるのも大事な務めだ。
一月〇日 冷え込みが厳しい礼拝堂、早くからストーヴに火を点け、お湯を沸かし、主日の準備をする。温かさが何よりの歓迎、CSにはホットココア、昼食用にはうどんの用意をする。宿屋のおかみさんの気分だ。時にはトイレの排水まで凍結しているので、お湯を溶かすなど雪国ならではのこともある。
一月〇日 礼拝後役員会もあって夫も疲れた様子なので、夕方、町の「道の駅」の温泉に誘う。車で十分。入湯料三百円というのも嬉しい。贅沢な豊かな楽しみに感謝。雪見の露天風呂は最高!
一月〇日 雪があまりにも美しいので写真を撮ることにした。十二年前、牧師のパートナーになって教会行事等を撮り始めてから写真撮影が好きになった。自然豊かな東北の被写体が私の心を捉える。教会のアルバム作りも私の趣味兼教会活動記録の仕事と思って楽しんでいる。喜多方に移って四年、四冊のアルバムが出来た。
二月〇日 午後、夫と共に病院訪問。高校時代に受洗され、その後、心病まれて三八年間も入院されている兄弟がおられ、時々お訪ねしている。ベトザタの池の畔に暮らす程の長さ、神様を忘れず生きてこられた兄弟の素朴な信仰にこちらが励まされる。
二月〇日 火曜日は太極拳の日。喜多方は太極拳の町として有名で私も教会の姉妹に誘われて始めた。運動は苦手の私にも楽しめる老化防止、雪道転倒予防にピッタリで、心も体もリラックス。顔馴染みも増えた。バザーや特伝、クリスマスの案内チラシも、ここで配ると効果がある。
二月〇日 「いるかね?」とF兄が顔を覗かせる。数年前より郷土史研究の為、隣村に住み着いている八五歳のF兄に触発されて私も村々の歴史に興味が出て来た。こんな付き合いから様々な人が出入りして、牧師館がサロンと化して話が弾むひとときもしばしば。
二月〇日 この数日は大雪が続いて外出もままならず、思い立って写真整理をした。去年もお客様が多かった。あの友この友。会津は見所が多いので「ペンション・キタカタチャーチ」も大繁盛。夫と私は観光ガイド並に詳しくなった。築後七〇数年の古民家牧師館のぬくもりも愛されて、宿泊者数知れず。なるべく礼拝に出席して頂けるよう企画する。懐に余裕のある方には勿論おすすめの温泉宿に泊まって頂く。間もなく春休み、CSの子供たちも牧師館でのお泊まりを楽しみにしている。
二月〇日 九州っ子だった私が、上京した大学で夫と出会ったことからこの旅は始まった。キャンパスで信仰を育まれ、平信徒伝道者として神様を証しする家庭を作ろうと約束したものの、三〇年後まさか牧師のパートナーになろうとは思ってもいなかった。横浜での生活や友との関わりを離れ、不安を抱えて始まった牧師館の生活は、主の備えも確かな恵みの日々であった。
感謝して旅の終わりまで恵みを賛美しよう。

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