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日本基督教団 The United Church of Christ in Japan

【4598号】セクシュアル・ハラスメント 防止規則制定巡り議論

2006年3月18日

二日目午前、「セクシュアル・ハラスメントの防止等に関する規則制定の件」が上程された。教会内でのセクシュアル・ハラスメントの訴えに対して、教団が相談窓口を設置して被害者の相談に応じ、必要な調査、調停を行う事、調査委員会や専門家の関与などを盛り込んだ手続規定が提出され、活発な議論の後、継続審議となった。
提案者である山北宣久議長は、提案理由で「教団としては、教団諸教会において起こることの防止および相談・苦情への窓口の設置、またセクシュアル・ハラスメントが生じた場合の迅速かつ適切な対応がとられることの準備」の必要性を訴え、議場への補足として「常議員会の中でも、この規則の制定については課題であった。今まで教団は後手に回ってきた。教団で負いきれないところを教区なども関わってくれていたことに感謝する。今回の規定の作成については、すでに規則がある学校や専門家の意見も聞いた。組織的にどう責任をとるか。形あるものにしたい」と述べた。
竹前昇総幹事からも補足説明があり、「日本基督教団には、これまでこういう問題を訴えたい時、窓口がなかった。今回現実に窓口を作るという事である。窓口がない時も、教団にこの問題が訴えられた時、総務幹事が扱っている現実が既にある。全てを教団がやるということではなく、これまでの教区の働きに加えて教団としても窓口を設置する」と述べた。
議場からは一般の事業所と教会の事情の違いなどをふまえて活発に質問や意見が交わされた。
特に既に同様の趣旨で規定を定めようとしている教区の議員からは「教師によって起きたセクシュアル・ハラスメントを訴えた裁判の結果をふまえて迅速な対応のために形を整えようとしている」事を評価しながらも「教区が調停を請け負う事が多いが、当規定で教区の位置づけはどうなるのか」「手続きの方法だけではなく、どうすれば(セクシュアル・ハラスメントが)発生しないかを考えていくべき」「過去の反省を盛り込むべき」「三ヶ月という調停期間は適切か」「管理責任や信頼関係、調査権についてもっと明確に」「提案理由が前段は職場、中段は教会となっており、無理がある」といった厳しい検討を望む声が上げられた。
一方では「過去の出来事の一番の反省は初動の問題。牧師が牧師をかばった。この規則が制定される事に意味はある」「既に同様の規則と相談窓口を持っている九州・兵庫教区と一緒にやっていけるのでは」「セクシュアル・ハラスメントの問題を受け止める。その方法を明確にするために早急に必要」「3条は総務幹事が男性の場合、女性が言いにくい事もある。その場合は総務幹事が誰か女性に頼む事もできる」「まず発効して、どんどん改変してほしい。その中で規則が成熟する。積極的に取り組もう」等、今常議員会での可決に積極的な意見も出された。
山北議長は「教会は上下関係ではなく、みんなで手を取り合っていくのが理想だが、残念ながらセクシュアル・ハラスメントが起こってしまった。お互いの悔い改めと、その事の赦しを厳しい現実の中で受け止めよう。生々しい現実の中でこそ、それが大切である」と述べた。
また、事前に配布された要望書等をもふまえて「どの意見も傾聴に値する。教会として正しい環境を形成するという思いは皆同じと理解する。議論する事が信頼関係を作ると感じる」と過去の出来事に対して痛みを持ちながらも、第一歩を踏み出す事の大切さが強調され、今回提案されたものをたたき台として、今後も多様な意見を聞き、さらに体制を整えていく方針を示した。
小林眞副議長から、継続審議にするという提案が議場に諮られ、賛成多数で承認された。
(辻順子報)

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