【4766号】「臨床宗教師」の育成を目指して 東北大学実践宗教学寄附講座

東北ヘルプは、教団救援対策本部を中心とした献金をもって、東日本大震災への対応として、地元の諸宗教者・医療者と協働し、東北大学に「実践宗教学寄附講座」を開設しました。これは、1922年に富士見町教会信徒によって「キリスト教の学術的研究」を目的とした寄附講座が京都大学に開設され現在に至っていることにも比すべき出来事と考えられます。
以下、その経緯・意義・目標を簡潔に記します。
1.経緯
東日本大震災は、一瞬のうちに万を数える人々の命を奪った。海岸線だけでも500キロに及ぶ地域が津波の被害を受け、更に原子力発電所の爆発事故が重なった。まさに未曾有の事態である。
この大惨事に、宗教者が宗教の別を越えて協働した。情報を共有し、共に被災者を見舞い、電話相談を開設して心のケアに当たった。支援を自らの勢力拡大の手立てとせずに、しかし、宗教者にこそ可能な支援を行うこと。今次の震災直後、悲嘆に暮れる人々の傍に立ちながら、宗教者は諸宗教の協働という活動に勤しんだ。その協働に医師と大学関係者が合流し、2011年4月、諸宗教者を中核とする被災者支援組織「心の相談室」が生まれた。
このように、諸宗教者と医療者・学者等との協働が、被災現場で始まった。これは、過去断続的に起こってきた事柄の発展的な継続でもあった。古くからは教誨師の活動があった(『ひとやの友』最新号を参照されたい)。病院チャプレンの働きもあった。こうした過去の蓄積と接続し、今次新しく生まれた協働のための「人づくり」「仕組み作り」をしなければならない。そうしなければ、これから数十年続く被災地での支援活動を、教会が支えることはできない。
この問題意識が広く共有され、2012年4月に東北大学に誕生したのが、「実践宗教学寄附講座」であった。
2.意義
被災地での諸宗教者による協働は、新鮮な感動を呼んだ。そこに様々な連帯の広がりが生まれた。そこに、絶望に瀕する人に希望を想起させる「福音宣教」の新たな機会も拓かれた。
それぞれの宗教者は、それぞれの立つ伝統に誠実でなければ、絶望に瀕した人々を救うことはできない。他方で、他者を尊敬しない者は尊敬されず、尊敬されない者が人を救うことはできない。
自らの宗教の確実さを信じ語りつつ、他者の宗教を尊敬する。そうした宗教者の協働が、困難に陥った人々を接点として、今次の災害下、成立した。そしてこの協働に、行政や医療などの他の分野の働きとの連携の可能性が拓けた。我々はこれを神の恵みと感謝している。
被災地は、若者が土地を離れて行くことによって、急激な高齢化が進んでいる。今回拓きつつある広範な連帯の可能性は、今後の被災地に予想される喫緊の必要に応えるものとなるだろう。その連帯の基盤を整備する点に、寄附講座の意義がある。
3.目標
被災地で発見された宗教者の協働を持続可能なものとするべく3年の計画で始まった寄附講座は今、第1年度を終えようとしている。この講座は「臨床宗教師」を育成することを目指して、昨秋に研修を行い(この研修は多く好意的に報道された)、その成果を踏まえて今春に再度の研修を行う。その内容は分析され、過去の蓄積へと連結される。
今後は医療等の他領域と連携し、長く続く支援の基盤を整備することを目指している。遥かに目指す道程に、広いご理解とご支援を賜れば幸いである(更に詳しくは、「東北大学実践宗教学寄附講座」でインターネット検索ください)。
(川上直哉報/仙台市民教会牧師、東北大学実践宗教学寄附講座運営委員会委員長)

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