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日本基督教団 The United Church of Christ in Japan

【4754・55号】《教団東日本大震災救援対策本部主催》 北海道報告会

2012年8月18日

 日本基督教団東日本大震災救援対策本部主催による北海道報告会が、7月14日(土)、札幌北光教会(後宮敬爾牧師)を会場に開催された。
 開会礼拝では、北紀吉救援対策本部委員が、マルコ福音書5章の「ヤイロの娘とイエスの服に触れる女」の箇所に基づいて、次のように説教した。
 35節、「お嬢さんは亡くなりました。もう、先生を煩わすには及ばないでしょう」。亡くなったから全ては終わった、後のことは無駄だ。人生は死の支配によって終わる。「先生を煩わすには及ばないでしょう」とは死の支配の前にはイエス様も無力だということだ。誰もがそう思った。しかし36節、「恐れることはない。ただ信じなさい」と、イエス様は言われた。人の望みが尽きた時にこそ、信仰が問われる。人の望みが尽きた所に、主はともにいて下さる。
 39節、「子供は死んだのではない。眠っているのだ」。死の支配で全てが終わるのではない。今、この時、十字架の死から甦られた方の出番だ。3・11の悲惨な現場を目にした。今も困難が続く、しかし、イエス様の業に手遅れはない。私たちにも、イエス様に従ってなすべきことがある。

 石橋秀雄教団議長は、震災救援に対する北海教区諸教会の協力に感謝を述べてから、震災遭遇以来の出来事を、順を追って報告、説明した。
 あの時、東京神学大学では卒業式の最中であり、学長の説教が6分間途絶えたということから話を起こし、三鷹から早稲田の教団まで、人の流れに逆らい、しかし、神の迫りに押されるようにして、徒歩で辿り着いたこと、直ちに被災地に向かい、現地で主日礼拝を守ったことなど、生々しい体験が語られた。
 東京神学大学の学生によりいち早く行われたボランティア活動など、数多くのエピソードが明らかにされた中で、一つのことに絞って紹介する。
 出張中に津波に遭い、民家の屋根の上で一夜を過ごし、濡れなかったネクタイ一本だけが、凍えから身を守る僅かな温もりだったという壮絶な体験をし、やっとの思いで石巻まで辿り着いた青年を、会社のある仙台まで車に乗せた。道中、体験談を聞きつつ、会社に着いた時、同僚の婦人が、「何してたのよ!」と怒鳴った。勿論心配のあまりだ。携帯が使えず、連絡方法は一切なかったのだ。青年は、涙声で答えた。「みんなに助けられて生きていたんだよ」。
 実は、この青年は、単に助けられたのではなく、出合った人々の家で、緊急の事柄を手伝い、自分が被災者でありながら、誰よりも早くボランティアとして働いていた。しかし、むしろだからこそ、「みんなに助けられて生きていたんだよ」という言葉になったのだ。

 前北未央前救援対策室主事は、エマオを根拠地としたボランティア活動の全体について、一つひとつを詳細に報告した。特に「こひつじキャンプ」のことや児童の諸施設へのエアコン設置応援など、ややもすればその必要性・緊急性が理解して貰えない事業について、懇切丁寧に状況を説明し、支援理解を請うた。
 この圧倒的な出来事の前で、何かをしないではとの思いから、一人のボランティアとして仙台に身を投じた体験から始めて、諸活動については、その中に身を置いた者しか語り得ない苦悩、逆に喜びが披露され、その震災復興支援にかける情熱は心に染み入るものだった。
 幹事に見出され、請われて、教団でコーディネーターその他の働きを担うようになって一年が経った。諸般の事情から7月5日付けで職を退いたとのことだが、教団は容易に得難い人材を失ったのではないだろうか、とさえ思わされた。

 尚、15日には、日本伝道会とタイアップし、講師と新報取材担当者が札幌市内の3教会で礼拝説教の奉仕をし、伝道集会を持った。
 午後には、折しも札幌教会で行われた札幌教会関係5教会の交流会に合流し、ここでも震災対策の報告会を持った。特に、石橋議長は請われて腹話術を披露、小さい子どもたちを興奮のるつぼに陥れた。

 交流会では、北海道の文化財にも指定されている趣き深い札幌教会(米倉美佐男牧師)の礼拝堂の前庭で、羊肉のバーベキューが行われた。観光案内パンフに掲載された礼拝堂を目当てにやって来た観光客が、しばし立ち止まり、礼拝堂と共に、バーベキューの様子をもシャッターに納め、ちょっと変わった伝道となった。

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