地域の人々の救いに仕える教会再建を
総幹事 内藤留幸
東日本大震災発生から、間もなく1年が経とうとしている。初動の緊急支援から、教団も教区・教会においても、精一杯の救援活動を行うことができたことを改めて、主に感謝したい。
教団の支援体制は今、瓦礫撤去に象徴される初動支援から、『会堂再建』を中核とした『教会再建』という長期支援に移行しようとしている。
『教会再建』は単に教会のみの事柄ではなく、被災した地域社会の復興に仕えるための土台となることなのである。
そこで今までの教団の救援活動をふりかえり、今後の救援活動を推進するために役立てたい。
Ⅰ.大震災翌日の3月12日(土)、内藤留幸総幹事のもとに『救援対策委員会』を設置し、救援活動を開始した。
この委員会設置は、第37総会期第1回常議委員会で可決された『救援対策基金に関する運用規定』に基づいている。
直ちに実行したことは、
①広範囲に亘る被災地の状況把握のための調査隊派遣(石橋議長を隊長とした4名)。
②国内募金開始(社会委員長名で)。
③広報活動開始(新報・HP、その他を活用して)。
④被災3教区に初動活動資金として各1千万円と見舞金50万円を送金。
⑤各教区との連絡を密にしながら、少し遅れて設置された救援対策本部の活動に協力する形で支援活動を仙台、石巻、遠野の3箇所に拠点を定めていくことになった。
救援対策委員会は6月末でその働きを終え、対策本部活動の下に入った。
Ⅱ.東日本大震災救援対策本部設置が、3月22日の常任常議員会の議を経て決まり、4月18日の常議員会で正式に承認された。
本部の構成員は10名(三役、常議員5名、それにキリスト教社会事業同盟、キリスト教学校関係者各1名づつ)。
基本方針は「地域の人々の救いに仕える教会の再建をめざして」。
本部長には教団議長が当たり、被災教区議長の常時陪席も決まり、教団全体として責任を果たしていくことになった。
すでに8回にわたる会議を重ねてきている。募金大綱を定め、2015年3月末までに国内10億円(海外12億円)を目標にして各教会に呼びかけ、現時点では両方とも2億円を越えている。
全本部委員も被災地域を視察し、被災状況が判明するにつれて対策方法も少しづつ変化し、多岐にわたっていく。特に放射能被災者への支援対策は教会幼稚園・保育園への空調設備支援のほか難しい課題をかかえているのが実状である。
対策本部の救援活動で、すでに決定したキリスト教社会事業の2施設への支援や長期にわたる被災した学生の奨学金援助なども忘れてはならない事柄である。
被災地を抱えた教区への、今日までの援助状況を調べてみると、直接教区へ支援金を送ったケースもかなりあり、そこには各教区・教会の独自性がみられる。
それらの支援は、被災地の人々がそれによって立ち上がる勇気を与えられてきたのであるから、とても意味のある支援であったと思う。しかし、これからは会堂再建という長期にわたる高額な支援対策をしていくわけであるから、教団に属する全教会も関係諸団体も、できるだけ救援対策本部が担う教団ルート一本に絞って、救援募金活動を進めていってほしい。
本部としても、できる限り公平性を保ち、しかも積極的に会堂再建支援を推進していきたいと考えている。それには国内募金の目標10億円を達成していくことが必須条件なのである。皆様今後も祈りをこめて募金に協力してほしい。
なお、東日本大震災救援対策本部主催で、8月29日~30日に実施された緊急シンポジウム『現代日本の危機とキリスト教』も意味ある集いであった。
東日本大震災でわれわれキリスト教会が問われたことは何かを、教会牧師、神学者、キリスト教学校教育者、社会事業者たちが、それぞれの立場から掘り下げた示唆に富んだ発題をされた。すでに教団出版局から同名の本として刊行されているので是非購入して読んでいただきたい。