部落解放青年ゼミナールは、日本の教会に属する青年たちが部落差別問題と出会い、感じ、考え、解放に向けて行動することをめざして毎年夏に行われるゼミナールです。今年は8月9日(火)から12日(金)にかけて大阪教区いずみ教会を会場に開かれました。のべ30名と、東日本大震災の影響もあり例年に比べて若干少ない参加者となりました。
今回のテーマは「出会って気づく見難い差別」です。家庭や教会、学校、職場、そしてインターネット等、様々な場所で、気づかぬうちに意識の中に入り込んでくるのが今の部落差別の形だと思います。「この辺りは女性が住むには危ないよ」という言葉の背後にいくつの差別が潜んでいることでしょう。
今回の青年ゼミは、部落差別についての知識を得、解放をめざして働く人々と出会うことで、そのような見えにくい差別に気づけるようになりたいと考えました。そこで部落差別入門講座を二回に分けてじっくりと行うと共に、和泉市人権文化センターに事務所を置く人権NPO法人ダッシュの皆さんにフィールドワークをお願いし、また部落解放同盟和泉支部の松田義人支部長に現在起こっている差別とこれからの青年に望むことをお話しいただきました。差別される経験をもち、部落の中で、解放をめざして働いておられる方々の働きと言葉と思いに出会うことは、自分の差別に対する意識の低さに気づかされる時でもありました。
また、東日本大震災・福島原発事故から差別について考えることも、今回避けることのできないテーマでした。震災による不安や鬱憤が外国人差別という形で現れくること、放射線に対する見えない恐怖から差別が起こっていることなど、報道には現れない部分で多くの苦しみがあることを知りました。
短い期間に多くのことを詰め込んだため、プログラムをこなすのに気が向きすぎたという反省もあります。参加者一人一人が、青年ゼミで得たものを日常の働きの中に根付かせていってくれることを願います。
(岡本拓也報/第14回部落解放青年ゼミナール実行委員長)