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日本基督教団 The United Church of Christ in Japan

【5040号】社会事業奨励日メッセージ(3面)

2025年12月13日

基督教社会福祉事業のワーカーと、その活動のためにお祈りください

 キリスト教を基本精神として社会福祉の実践を担う社会福祉法人にとって、共通課題は何だろうか?私自身は、「キリストの愛が法人全体に溢れている」ことを願い、そのために努めているので、この、いわば、永遠の課題に少しでも近づくことができるよう、皆様にご加祷をお願いしたい。
 一方、新しい課題も生じており、主の導きと助けを祈って頂きたい。例えば、①人材確保の困難。特にクリスチャンリーダーの減少、②「聖書に耳を傾ける時」を最善の形で開きたい、③行政から委託の「相談支援事業」で働く有資格職員が疲弊しがち(原因の把握と適切な対応)、④DXや生産性向上の理解と有意義な活用等である。紙面の都合上②の関連事項のみ伝えたい。 
 牧ノ原やまばと学園は、55年前の創設当時は、(ご利用者は、自分の意志によってではなく行政の措置によって入居させられたので)この人たちの信仰の自由を尊重するということで、施設内では宗教的なことは(クリスマス行事等を除いて)殆どしなかった。代わりに有志による「朝の祈祷会」、「夕の祈り」が月〜土の毎日開かれ、(その集いに参加する職員に惹かれて)知的障碍の人々も加わるようになり、教会にも加わって20年位経て受洗した(8名)。ご家族は異論なく、「どうぞ、どうぞ」であった。
 寮生の和恵さんは、何かにつけ「お祈りすりゃあいいじゃん」という穏やかな人だった。視力が低下した時も静かに祈っているように見えた。修子さんは、教会に来ても居眠りする人で、「天国なんてありません」と断言したりしたが、それをたしなめるのが和子さんや和恵さんで、そんな時、「初ちゃん、お祈りしてるヨ」と割り込むのが初江さん。職員から「偉いねえ」と言われると「ウン」と頷いて自慢げだった。この人たちのために、礼拝後、牧師から「ハグ」があってもいいのではと思ったが、提言しないまま、全員が今は神様の元にいる。
 1981年に開設された聖ルカホーム(特別養護老人ホーム)は、障碍者施設と違って毎朝礼拝をした(自由参加)。居室から礼拝堂へ、大勢が向かうのだが、「お参りに行く」と表現する方もいた。お話するのは、牧師や施設長、一般信徒で、来日中のブラザーアンドリュー(マザーテレサの活動のため、男子の奉仕部を創設した修道士)の説教もあった。「死は、隣の部屋に行くようなもので怖くありませんよ」とのことばに、高齢者も私も慰められたのを思い出す。
 長年、聖ルカホームで働いた職員たちは、礼拝の体験がよかったと語り、自分の子供を聖ルカホームに就職させた人もいる。が、残念なことにコロナの国内感染が拡がった頃から途絶えがちになり、(ユニット型で集まり難いこともあって)今は中断している。
 法人本部では、毎朝10分位、「聖書の輪読と、メッセージを聴くとき」を持っている。一人一人の輪読後、私が簡単なお話をするのだが、神学的な説明はせず、神様がいかに小さい人を大切に思っておられるかを聖句や施設でのエピソードを通して話したり、当法人での出来事を伝えたり、自分が慰められたメッセージを紹介したりしている。
 教会での礼拝説教と、学校でのお話、福祉施設でのお話は、同じ聖書を使っても、強調点が違ってよいだろうし、その方が聴く者と意思疎通できるのではないだろうか。教会と施設との関係についても、「決まった回答はない」ように思わされている。「やまばと学園」と関係の深い「榛原教会」で13年間奉仕された山田静夫牧師は、「施設での活動は最小限にしたい」という考えで、実際そうなったが、職員の中には、秘かに相談に行った人もいて、見えない形で施設は大いに助けられた。牧師も施設関係者も無理にではなく、主に在って自由に、賜物を捧げ、助け合っていけたらと願う。

2025年12月7日
社会福祉法人牧ノ原やまばと学園
理事長 長澤道子

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