取り継ぐ者として、共に聞き続ける
♦教師継続教育研修会・教師委員会♦
残暑厳しい真夏の京都。8月25〜27日、関西セミナーハウスにおいて「2025年度教師継続教育研修会」が「説教・牧会」という主題で開催された。准允後10年未満の教師を対象に呼びかけ、11名の参加者が全国より与えられた。加えて3名の講師、教師養成制度検討委員会から1名の委員、そして教師委員と担当幹事・職員の総勢24名での研修会である。
この継続教育研修会はタイトルどおり伝道献身者として実際の現場に派遣された教師たちの継続教育を目的としている。特に教会に仕えるなかで中心的な働きでありながら、それぞれに労苦している説教・牧会にフォーカスした学びが必要であるとの声から計画された。3日間のプログラムも集中的に説教・牧会について学び、また自らを振り返るときを与えられる。
この主題にふさわしく、開会礼拝、閉会礼拝はもちろんのこと朝晩それぞれ礼拝をささげ、み言葉に聞き続けるときを与えられた。日頃み言葉を取り次ぐことに悩む教師たちにとってみ言葉を聞き続ける良い機会とされた。み言葉を取り次ぐ者たちがみ言葉に聞くことで豊かな養いに与ることは、この研修会の目的に適っている。またみ言葉を共に囲む参加者同士の出会い、交わりもこの研修会のもう一つの側面である。地域も教会の規模も宣教の課題も異なる者たちが、お互いのことを語り聞きあうことを通して、伝道者としての使命を新たにされるのである。おのおのの伝道・牧会の生活のなかで疲れを覚えてきた者たちが、志を同じくする伝道者同士の交わりを通していやされ励まされるときとされた。
研修会での最初の講演は柳下明子教師(番町教会・日本聖書学校)。教会史の上のアウグスティヌスやルターなどの人物の説教や牧会を紹介し、また自身が「牧会者は太鼓です」、「終末と復活について自分の言葉で語れないと牧師は長く続けられない」などの神学校の恩師たちの言葉にも影響を受けてきたことも語られた。
もう一つの講演は井ノ川勝教師(金沢教会)。地方伝道に生きてきた講師自身が、地方伝道に生涯を捧げた伝道者たちの言葉に生かされてきたことが生き生きと紹介された。説教の目標は「直裁」「明晰」「簡潔」「平明」であること。これに加えて説教者の「情熱」「伝道者魂」が説教の言葉から聞こえてきて、さらに会衆への「会衆愛」「教会愛」を通してキリストを証しすることであると語られた。
講師両者によるパネルディスカッションのなかで、教会形成のための説教に欠かせないものは「十字架と復活」であると、異口同音に述べられたことは説教の目標であり土台を確認させられるところとなった。
牧会講話として講演したのは秋山徹隠退教師。1968年に伝道者として立ち、2022年に隠退するまでの歩みを丁寧に紹介した。そのなかで大事にしてきたのはニケア・コンスタンチノポリス信条に掲げられた教会の4つの指標であると述べられた。また伝道者生活を振り返って、「自分が伝道したのではない。主が伝道してくださり、伝道させてくださったのだ」という言葉は、参加者の伝道者としての姿勢をもう一度整えるものであった。
参加者からは「教師継続教育にふさわしく、もう一度伝道者として歩みだそうという思いが与えられる会であった」との感想も。一方で「困難な現場にあって本当にこのような会を必要としているのに参加できない教師もある」との声も聞こえた。今後広報にも注力し、多くの教師と恵みを分かち合えるよう工夫したいと祈りを新たにした。
研修会二日目の午後の自由時間に教師養成制度検討委員会との懇談会、第4回委員会を開催。委員会では戒規解除の議案が取り扱われ、1名の教師の戒規解除が決定した。日本基督教団において、悔い改めに導かれる戒規本来の目的が果たされたことを感謝したい。
(清藤 淳報)






