4つの発題を聞く
2025年度カルト問題全国連絡会が、6月16〜17日にかけて、在日大韓基督教会福岡教会を会場に開催された。
発題Ⅰ「韓国と台湾の統一協会事情と課題」では、韓国の老舗異端・カルト問題専門誌『現代宗教』理事長の卓志一氏による講演がなされ、旧統一協会の韓国・米国・日本政治圏におけるロビー活動の歴史と弊害や、新天地の李萬煕の後継体制構築の動向、鄭明析不在の中での摂理の動向、及び日本と台湾における韓国異端動向と課題について、画像を共有しながら丁寧に説明がなされた。
発題Ⅱ「旧統一協会の解散命令と今後について」では、全国霊感商法対策弁護士連絡会の前事務局長の川井康雄弁護士より、ズームをつなげて講演が行われた。解散命令について旧統一協会から「行政による信教の自由の侵害だ」と主張されていることに対し、今回の処分は「何を信じているかという思想信条を理由にした処分」ではなく「宗教を名目にした不法行為や反社会的行動に対する処分」であることや、被害の拡大を防ぐため法人格は剥奪されるが、信仰そのものが禁止されるわけではないことなどが説明された。
発題Ⅲ「宗教がらみの貧困・虐待・医療に関する支援について」では、「宗教2世ホットライン」の相談窓口に携わる社会福祉士の松田彩絵氏より、「困ったときに頼れる相談先」などを紹介しながら講演が行われた。いわゆる「宗教2世」問題は、カルトに関係ない人には無関係とみなされてしまいがちであるが、実はあらゆる社会的困難に共通する普遍的な問いを有していることが事例を挙げつつ詳細に説明された。また、背景の違いよりも「聴く姿勢」が問われることも重要な点であることが共有された。
二日目の発題Ⅳ「宗教法人の解散命令と信教の自由について」では、カルト問題全国連絡会世話人の豊田通信教師より、キリスト教の信仰告白としては正統的でも、異端でなくとも、教団・教派としては信頼できるグループに属していても、それでもカルト問題は起こること、カルト化した教会とそうでない教会を区別するものは、教義や信仰告白ではなく、倫理性を失って信徒が欲望を満たすための道具にされてしまう点であることなどが説明された。
(柳本伸良報)






