9月に高知市立自由民権会館友の会主催の講演会で講演を担った。歴史研究者でもない牧師に、なぜこのような依頼がきたのか戸惑った。主催者の言葉では、土佐の自由民権運動とキリスト教との関わりについて、一度キリスト教の立場から話を聞きたいということになったとのことだった。講演題は「土佐自由民権運動とキリスト教」で、出席者は50名余り、約3分の2は教会関係者以外であった。
講演では、行き詰まっていた自由民権運動を進めるために板垣退助が宣教師に協力を求めたこと、自由民権運動の拠点であった立志社の少なくない若者が高知教会員であったことなどを話した。また、どうしてキリスト教が土佐の自由民権運動の精神的基盤となったのか、キリスト教の内容に踏み込み説明した。
講演後、主催者からは、「自由民権運動とキリスト教の関わりがよく分かった」、「自由民権運動の原動力が分かったように思う」と言われ、講演を担った私も本当に感謝であった。
講演で、後に衆議院議長となった片岡健吉についても触れた。彼は、国会開設建白書を持ち上京した際、投獄された。しかし、二年の獄中生活の間、聖書を読み、特に罪の赦しの恵みを明確に受け取ったと後に振り返っている。神の召しに生き、神に支えられた信仰の先達の姿を、改めて心に刻む時となった。
(教団総会書記 黒田若雄)