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日本基督教団 The United Church of Christ in Japan

【5017号】2024年春季教師検定試験(2面)

2024年4月27日

補教師34名、正教師13名が受験
受験者の減少傾向がある時代にあっても

 

 2月20日より22日の三日間、雨にけぶる東京、西早稲田の日本キリスト教会館・早稲田奉仕園を会場に春季教師検定試験が行われた。期間中は天候が猫の目のように変わり、5月の陽気の翌日には冬に逆戻りと軽装の委員が慌てて防寒具を買いに走るヒトコマもあった。
 教師検定試験は年2回、春と秋に行われるが、春季教師検定試験の場合、3月に神学校を卒業予定の補教師受験者が多いのが特徴と言えよう。これらの派遣をひかえた者たちを覚えて、開会礼拝では、ルカによる福音書10章1節以下から「72人を派遣する」の説き明かしがなされた。これは補教師検定試験の新約聖書釈義と説教の出題箇所でもあった。「収穫は多いが、働き手は少ない。だから、収穫のために働き手を送ってくださるように、収穫の主に願いなさい」との招きに応えて起こされる者を見出すべく、教師検定委員も祈りをもって三日間の試験に臨んだ。
 一日目は、午前午後と筆記試験が行われ、「教憲教規および宗教法人法」、「旧約聖書神学」、「新約聖書神学」、「教会史・教理史」、「一般・日本宗教史」、「宗教教育」、「旧約歴史」、「組織神学」、「ギリシア語初歩」が課された。これらはそれぞれコース別に受験するものであり、同じ時間に同じ会場で行われるが、受験科目が異なるため、教師検定委員がほぼ総出で問題用紙配布、答案回収にあたった。
 受験者は補教師34名、正教師13名の合計47名であった。前年度の春季教師検定試験受験者は、補教師29名、正教師2名の合計31名であった。単純に数字を比較すると全体で16名の増加となるが、内実は補教師受験者の場合、Cコース継続受験者が一定数おり、神学校卒業者は少ない。正教師受験者は前年度秋季教師検定試験からの再受験者が多く、全体の合計を押し上げており、残念ながらいまだ受験者の減少傾向が収まったとは言い難い。あしかけ4年におよぶ「教会のコロナ捕囚」とまで言われた事態は生きた教会の姿にふれることを困難にし、伝道献身者を生み出しにくい状況を現出させた。教区を見渡しても無牧・兼牧の教会・伝道所が増えており、伝道の働きのために献身者が起こされることを願ってやまない。
 二日目、三日目は全体会がまず行われ、清藤淳委員長から総評が行われた後、受験者の個別面接となった。いわゆる人物考査であるが、教師検定試験の場合、単なる筆記試験や、提出試験の評価に留まらず、主から受けた召しを共に確認する意味合いが大きい。とくに教憲教規の志向する教会理解や信仰の筋道に立った思考法が身についているか、教会での実務経験が乏しい補教師受験者のために、限られた時間のなかであるが丁寧に向き合うことを心がけた。同労者となる方々が、生涯を主に仕える伝道者として歩むために、主が受験者のうちに始めておられる御業を見極めようと委員一同、心を傾けた。
 三日間の春季教師検定試験を終えて思わされたのは、伝道者の派遣は神の召しによるものであり、人間の使命感や、働きに還元されて終わるものではないことがどこまで理解されているかであった。主が伝道の働きを収穫に例えられたのは、それが終わりの日の完成に関わるからであり、教会の働きはすべて、「主の再び来たりたまふを待ち望む」ことに収束する。この再臨の信仰なしには伝道者の実存は支えられないことを付言しておきたい。

(横山良樹報)


2024年春季・補教師試験問題

教憲教規および諸規則・宗教法人法(60分)
 次の2題について答えてください。
1.教憲・教規が定める教団の所属教会について、具体的な条文を挙げて述べてください。
2.宗教法人上の教会規則と、教会法としての教会規則には、どのような違いがあるのか、関連する条文を示しながら述べてください。

旧約聖書神学(60分)
 次の2題に答えてください。
1.十戒の安息日規定について、出エジプト記と申命記から自由に論じてください。
2.神の名について、出エジプト記第3章14節を中心に論じてください。

新約聖書神学(60分)
 次の2題を、いくつかの聖書箇所を挙げつつ、神学的に論じてください。
1.共観福音書における「受難と復活」について
2.パウロ書簡における「神の義」について

 


講評

 教師検定試験に繰り返し立ち会いながら、どんな時代にあっても伝道献身者をおこしてくださる神さまの御業を覚える。また教師を志す者たちの真摯な姿勢を目の当たりに委員一同悔い改めを深くする試験である。
 面接を通して開会礼拝で伝えられたメッセージをよく受け止めつつ面接に臨む受験者が多かった。語られるみ言葉を通して面接への道を整えられたことを知る。そのようにみ言葉に聞く姿勢がある一方で、提出試験として課せられた説教をめぐっては受験者の知識、経験、思いを述べることが中心になり、聖書そのものから聞き取る姿勢が乏しいものが少なくなかった。
 神さまが礼拝に集う会衆にみ言葉を通して福音を告げておられる。その出来事を前に、悔い改め、信頼し仕える教師とされることを祈りたい。

第42総会期 教師検定委員長 
清藤 淳

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