日本は「唯一」の被爆国か
8月12日、広島流川教会を会場に、オンラインと併用して、第56回「敗戦の日・追悼と、平和を求める集会」が行われた。この集会は、敗戦の日に、アジア太平洋戦争で亡くなられた方々を覚えて、「西中国キリスト者遺族の会」が中心になって、追悼することから始まった。しばらくして、「追悼するだけではなく、その時代の中で平和を求める必要があるのではないか」という意見があり、現在の名称で行われるようになった。会員が高齢化、減少してからは、それまで協力していた西中国教区宣教委員会社会部が、その意思と活動を引き継いで現在に至っている。
今年度は、祈りと賛美の後、「韓国の原爆被害者を救援する市民の会」広島支部世話人、「ヒロシマを語る会」代表の豊永恵三郎さんを講師に迎え、「在外被爆者問題について」と題して、自身の支援活動や裁判資料を中心に講演をしてもらった。
諸説あるが、広島・長崎で、推定10万人の「韓国・朝鮮人」(被爆直後の死者数は推定5万人)をはじめ、多くの外国人が被爆した。戦後、日本国内では、「原爆医療法」、「原爆特別措置法」(現在は、「被爆者援護法」に一本化)によって、被爆者健康手帳(以下、手帳)の公布がされ、医療費支給等の支援が行われたが、在外被爆者は、手帳の交付すらされず、公的支援を受けることができなかった。つまり「被爆者」であることが認められなかったのである。現在は、外国在住であっても、手帳の交付等、公的支援を受けられるようになったが、手帳の交付が認められない、元徴用工の損害賠償など、被爆者が高齢化、減少する中で、「在外被爆者問題」は、まだまだ課題が多く残されている。講師の「日本は『唯一』の被爆国か?」という問いかけに、多面的な歴史の見方と、これからの行動の在り方を考えさせられた時間であった。
(月下星志報)