「伝道を共に担う教団の教師」をテーマに
新任教師オリエンテーションが、6月26〜28日、ハートピア熱海を会場にして行われた。主題は「伝道を共に担う教団の教師」で、久々に対面での開催となった。参加者は新任教師22名(うち1名は欠席)、教団、神学校関係者28名(うち7名はオンライン)であった。4つの神学校の出身者のほかに、Cコースが1名、他教派からの転入者が4名あった。年齢も20代から70代まで幅広く、外国にルーツを持つ人もいた。このように、多様な背景を持つ人たちが三日間を共に過ごし、良く知り合えたことは大きな恵みであった。
一日目の開会礼拝では、古旗誠教師委員長が「わたしに従いなさい」と題するメッセージを語った。続く講演Ⅰでは、雲然俊美議長が「伝道を共に担う教団の教師」をテーマに講演を行った。雲然議長は教団信仰告白にある五つの教会の働きを確認。全国で課題となっている小規模教会の現状に触れつつ「キリストの体なる合同教会が、その豊かさを生かして、全体教会の一体性において伝道協力をしていくことが必要だ」と語った。また、自身の開拓伝道を振り返り「伝道は待っているだけではダメで、自ら地域の中に出かけていって活動することが大切」と述べた。
一日目の夜は「交わりのとき」で、体を動かしてゲームをしたり、讃美歌をしりとりで歌ったり、神学者でもなかなか解けない聖書クイズをするなどして参加者同士の交流を楽しんだ。
二日目の朝、藤盛勇紀副議長が「キリストという土台」と題してメッセージを語った。続いての講演Ⅱは、菅原力教師養成制度検討委員長が「日本基督教団の教師として歩む」をテーマに講演した。菅原委員長は教団紛争前に存在した「神学校委員会」に触れ、神学校同士の緩やかな交わりがあったことを紹介した上で「横のつながりが希薄化している今、教団として各神学校にきちんとしたボールを投げていきたい」と語った。また「教団は『二階屋』であり、二階部分(教団)と一階部分(旧教派や同じ考えを持つ集団の小部屋)に分かれていて、その中を人は自由に行き来している」と説明。教団はこうした二重構造性の中で、合同教会として一致するために教憲・教規を定めていったと指摘した。「旧教派的特質を生かして前向きに取り組んでいくことや、自分の部屋だけで過ごすのではなく、いろいろな部屋に入っていくことが重要である」とも語った。
牧会講話は上林順一郎隠退教師が担当した。神学校時代は60年安保の嵐が吹き荒れ「このままでよいのか」と悩みながら牧師になっていったという。ある教会では学生運動の余波で分裂状態となり、一方のグループが教会を去ってしまった。そこで問われたのは「自分は去っていった人たちのために祈っているか」ということであった。また、酔った状態で礼拝に来た人に退席してもらったことがあった。なぜ「そこに座ってていいよ」と言えなかったのかと悔やんだ。上林教師はこうした経験を通して「キリストと共に死んでいく牧師になりたいと思うようになった」と述べた。
「分団」の時間は、教団四役や神学校の教師たちも交えて4グループに分かれ、それぞれ講演の感想や抱えている課題などを語り合う実り多き時間となった。
二日目夜のプログラムは、「教団の機構について」を網中彰子総幹事が担当した。続いて「教団の取り組み」として教師検定委員会(清藤淳委員長)、伝道委員会・伝道推進室(中西真二委員長)、信仰職制委員会(田邊由紀夫委員長)、牧会者とその家族のための相談室委員会(加藤幹夫委員長)、出版局(飯光局長代行)、年金局(中川義幸理事長)、隠退教師を支える運動(鈴木秀信委員長)、部落解放センター運営委員会(鈴木祈委員長)が、各部の働きを説明した。
三日目の朝は黒田若雄書記が「真の羊飼いを示す羊飼いとして」と題するメッセージを語った。その後、関谷直人教授(同志社大学神学部)が「ハラスメントと教会」と題する講演を行った。教会で実際に起こったハラスメントの事例を紹介し、どこに問題があったのかも丁寧に説明がなされた。中には誰もが身に覚えのあるような内容も含まれ、加害者としても、被害者としてもハラスメントの当事者となりうることが示された。
また上記のプログラムとは別に、食事の時間に各神学校の代表者が自校の取り組みについて紹介をするとともに、新任教師への温かいエールを送った。
「全体のまとめ」では、三日間を振り返って参加者が各々感想を述べた。「良き学びと交わりの時だった」、「励まされた」、「楽しかった」などの声が聞かれた。閉会礼拝は兼清啓司教師委員会書記が「起きて町に入れ」と題するメッセージを語った。
全体を通して豊かで、楽しく恵みに満ちた集いであるとの印象を受けた。それこそが伝道の原点である。それぞれが教団の教師として立つために、このオリエンテーションでの経験が生かされることを祈りつつ、プログラムを閉じた。
(兼清啓司報)