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日本基督教団 The United Church of Christ in Japan

【4995・96号】人ひととき(10面)

2023年4月22日

ダウン症の息子と共に

島原教会 教会員
常岡容子さん

 常岡容子さんの長男、常岡兼介さんは1967年に生まれた。初めは気付かなかった。しかし2歳違いで生まれた弟に発育の面で追い越されていくので、何かあるのではと思うようになった。3歳児検診の時、ダウン症と診断された。目の前が真っ暗になった。雨が降る中、検診会場から二人で逃げるように帰宅した。不安と絶望しかなかった。障害イコール不幸と思い込んでいた。新聞雑誌のダウン症の記事は見ないようにした。それは自分の恥だった。少しでも正常な子どもに近づけようと七転八倒。今にしてみると申し訳ないことをしたという。
 長い格闘の果てに、あるとき夫は容子さんに言った。「親が恥をかいて兼介が幸せになるなら、大いに恥をかいてやろうよ」と。目から鱗だった。「ありのままの兼介を受け入れよう。兼介のお母さんという看板を背負っていこう。兼介がいて良かったという人生にしよう」。そう決心した。
 兼介さんは今、地域社会に開かれた障害者の共同体をめざす南高愛隣会で働いている。容子さんはそこの評議員だ。高校で英語を教えながら、別の障害者団体の運営にも関わった。わが子の障害を受け容れられず、障害者手帳を申請できないでいる親を説得してきた。自らの体験がそうさせた。
 容子さんは青山学院大学入学がきっかけで教会と出会った。先生に教会に行くように言われて、素直にそうしたという。しかし洗礼を受けたのはずっと後だ。兼介さんが11歳のとき、島原教会で受洗した。兼介さんも3年後に洗礼を受けた。現在の主任、樋口牧師は言う。「もし兼介さんがいなかったら、容子さんは教会とは関係なく生きたはず。彼女に福音の真理を教え、支えてきたのは、他の誰でもなく、兼介さんであるように見える」と。

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