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日本基督教団 The United Church of Christ in Japan

【4991号】2・11メッセージ(3面)

2023年2月11日

2・11に思う
〜“自由”こそ人権そのものです〜

 私にとって長らく、2月11日は「両親の結婚記念日」でした。子どもの頃より「紀元節」に結婚したのだと、何度も両親から聞かされてきたためです。生きていれば今年で100歳を迎えていたはずの母は、2代目のキリスト者として、それは熱心に聖書に基づく子育てに徹した人でした。しかし、母の口からは、なんの抵抗もなく「紀元節」の言葉が発せられていたのです。日本神話を基として定められた「紀元節」は、1948年に廃止されますが、1966年、同じ日が「建国をしのび 国を愛する心を養う」ことを目的とする「建国記念日」として制定されました。教団では、この日を「信教の自由を守る日」としています。
 個人の思想や信仰に対する国の動きを振り返ると、1939年、第二次世界大戦の前夜、宗教団体を国家の統制化に置くことを目的とした宗教団体法が公布され、信教の自由は大きく制限されました。1945年、宗教団体法の廃止、宗教法人令の公布により、神社を含めた宗教団体が法人格を取得することとなり、1948年、信教の自由、政教分離を明確に定める日本国憲法が施行されたことを受けて、1951年、宗教法人法が制定・施行されました。この変換は「信教の自由」を謳うことの法による表明なのだと私なりに解釈していました。
 しかし、昨今、様々な場面で、自由が脅かされていると思えてなりません。政治の領域では2022年12月、日本の安全保障及び防衛政策「戦略3文書」を用いた大幅な防衛費の増額と、それを巡る増税計画が進められています。社会では、コロナウイルスへの対応がなされる中、「同調圧力」も手伝い、個人の自由な行動が過度に制限されている側面があることも否めません。「何かがおかしい」と感じさせられる事態が展開していて、国家的思想統制を受けた時代と変わらない社会の再来を恐れています。個々人の意思による選択の幅を狭め、情報操作を駆使し続ける圧力には、どんな時代であっても断固として異議を唱え続けます。
 「信教の自由」は憲法によって保障されている大切な権利であり、神に造られた人間が、神の呼びかけに応え、隣人と互いの人格を尊重し合うことで、人間の尊厳を保っていく上で欠かせないものです。私たち一人ひとりが、信教の自由を守り、自己を決定し行動を選択するという自由を行使することこそが、まさに基本的人権そのものなのだということを、2・11を前に、改めて受け止めたいと思います。全国で開催される2・11集会と共に、主にある自由を強く祈り求めます。

2023年2月11日
第42総会期日本基督教団
社会委員 金子直子

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