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日本基督教団 The United Church of Christ in Japan

【4990号】宣教師からの声
新型コロナウイルス感染拡大の渦中で(2面)

2023年1月28日

宣教師からの声

 

主の光があまねく照らされることを願って
プラハ・コビリシ教会日本語礼拝 《チェコ

 2020年の初めにヨーロッパで新型ウイルス感染症が猛威を振るい始めると、チェコでも感染が広まり、3月には集会制限などで礼拝に影響が出始めました。翌年の春からのワクチン接種が行き渡るまで、さまざまな制限の中で礼拝をささげ続けなければならなかったことは、日本でも同じかと思います。私たちのプラハ・コビリシ教会では、主の日にチェコ語、韓国語、日本語の礼拝をささげていますが、それぞれにオンラインの活用などの対応が求められました。現在は、コロナ禍以前の礼拝の形態に戻っていますが、年配の信徒の多いチェコ語礼拝は、今も礼拝のオンライン中継を続けています。
 残念なことは、3か国語の合同礼拝時に行っている聖餐式でのブドウ酒の配餐の形式が変わったことです。チェコの教会の伝統では、会衆が一つの杯で回し飲みする形式でしたが、コロナ禍を契機に、小杯による各人への配餐へと変えられました。以前の形式では、初めて臨む日本からの信徒の中には衛生上の心配をする方もいましたが、感動的に受け止める方も少なくありませんでした。今後しばらくは、元の形に戻りづらいことでしょう。また、韓国語礼拝の信徒たちの礼拝後の昼食会も中断されたままですが、こちらは時が来れば再開することになると思います。一方、日本語礼拝からはリモート合唱動画に取り組み、2020年末から1年間に5本の動画を作成しました。動画には、コビリシ教会の信徒たちのほか、チェコ在住日本人女声重唱団「グレイスシンガーズ」や日本人演奏家、韓国や日本の知人等の出演を得て、コロナ禍の状況下での恵み深い成果となりました。
 ヨーロッパでコロナ禍が収束に近づくかと思われたころ、2022年2月にロシアがウクライナに侵攻し、現在も戦争が続いています。民族的、言語的に近く親しい関係にあるチェコには多くの避難民が押し寄せており、チェコ政府も民間人も積極的に援助しています。コビリシ教会でも付属の宿泊施設に避難家族を受け入れており、チェコ語教室などの支援プログラムも開設しています。戦争が長引く気配の中で、2022年のクリスマスを迎えました。チェコ全国で3年ぶりにクリスマスマーケットが開かれましたが、暗雲は取り払われていません。主の光があまねく照らされることを願うばかりです。
(孫 信一報)

 


垣根を超え、救い主の誕生を待ち望む
ブリュッセル日本語プロテスタント教会 《ベルギー》

 ブリュッセル日本語プロテスタント教会は3年ぶりにクリスマス愛餐会を行うことができました。クリスマスが近づいていると最初に実感したのは、アドベントカレンダー作りです。コロナが流行する前は恒例の行事であり、たくさんの子どもたちと共にそれぞれ世界に一つだけ、自分だけのアドベントカレンダーを作っていました。協議の末、今年はアドベントカレンダー作りとクリスマス愛餐会を再開することを決定し、無事に全てを行うことができました。本当に感謝です。
 当教会は礼拝堂を持っておらず、いつも集会所をお借りして礼拝を守っています。しかし愛餐会をするには少しスペースの問題があったため、普段交流を持っているストッケル教会(カトリック教会)で場所をお借りし11日に大きな愛餐会を、そして25日は信徒さんのお宅に集まり礼拝と愛餐会を守りました。
 個人的に嬉しかったことは、3年ぶりに愛餐会ができたと喜ぶ顔が見れたこと、またカトリックの方々とも愛餐会を守れたことです。最近、当教会ではブリュッセルにて信仰生活を送っておられる日本人カトリックの方々と交流を持つようになりました。これは、日本語ミサを担当されていた神父が引退され、なかなか自分たちのミサを守ることが難しくなったこと、また共通の課題を持つもの同士、覚え合おうという思いからでした。時に共に礼拝を守り、互いに覚え合い祈りあっています。11日はカトリックから5名の方々が来てくださり、約30名で持ち寄り愛餐会をし、美味しいご飯とデザートを食べながら、ミニコンサートやゲームなどをして過ごしました。その光景を見ながら詩編133編1節の言葉「見よ、兄弟が共に座っている。なんという恵み、なんという喜び」を思い出しました。本当に様々な場から集められ日本語、英語、フランス語、フラマン語といった言語が飛び交い、共に御子イエスの降誕を喜び祝う。様々な垣根を超え、大人も子どもも共に私たちの救い主の誕生を待ち望んでいる。主にあって一つ、というのはこういうことなのだろうなぁと実感しました。これからもこの交流を続けつつ、主にある交わりを大切にしていきたいと願い祈っております。
(伊勢 希報)


新しい一歩を踏み出すため
台湾長老教会東寧教会 《台湾》

 2018年3月に日本基督教団信徒宣教師として台南神学院に派遣していただいてから、早くも5年近くになります。このうち半分以上の時間はコロナ禍に影響された日々でしたが、台湾政府は早い時期から極めて賢明な方法でコロナウイルス対策を行いました。そのため、一般民衆の日常生活への影響は他国との比較でいえば最小限で済んだと思います。オミクロン出現以降はコロナ抑制から共存の方向に政策が徐々に転換され、今ではマスク着用以外はほぼコロナ以前の生活に戻っています。学校も9月から完全に対面授業に戻り、10月には国境も開放されました。このところまた感染者が増えてはいますが、感染者が出ても「ウィズコロナ」で対面授業が続けられることに感謝しています。
 私たちが日曜日午前中に礼拝を守っている台湾長老教会東寧教会は、高齢者が多い教会ではありますが、マスク着用以外は通常通りに礼拝が行われ、高齢者もほぼ普通に出席されています。12月のクリスマス礼拝では会堂が久々にいっぱいになり、3年ぶりにクリスマス愛餐会が近くのレストランで行われました。それでも、東寧教会も含め、多くの教会がコロナ禍以前と比較すると2〜3割礼拝出席者が減っているそうです。この課題をどう受け止めていくか、多くの教会が真剣に考えています。
 ここ台南神学院でも、実践神学研究センター主催で「ポストコロナ時代の宣教と牧会」と題する座談会が行われ(12月5日)、コロナ禍の影響で教会の礼拝に「戻れない」でいる信徒が多くいること、献金額の減少、ミニストリーの縮小といった現状にどう対処したら良いかが、話し合われました。発題者が指摘したのは、政府の「隔離」政策に忠実に従うあまり人間関係が疎遠になり、教会のコミュニティ活動に戻れなくなってしまっている現状や、「安全」なインターネット礼拝に慣れたことが、教会に行くのは億劫という気持ちを後押しする一因になってしまっていること、献金減少対策として年長者にも分かりやすいように、デジタル献金を工夫する必要があること、信徒同士の交わり減少は教会の実情を映し出す鏡でもあること、などでした。ポストコロナの時代は、「新しい酒は新しい皮袋に」の精神で、教会=「中心」に信徒が集うという伝統的な教会観を脱して、「脱中心」の教会形態、例えばセルグループや家庭礼拝を重視する形態の教会観を追求する必要があること、牧会ケアの形式も変わる必要があることなどが提言されました。
 コロナ禍は確かに教会にとっても大きな試練ですが、この試練が逆に、教会が新しい一歩を踏み出すための後押しとなることを願っています。
(高井ヘラー由紀報)

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