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日本基督教団 The United Church of Christ in Japan

【4987号】伝道報告〜伝道のともしび〜(4面)

2022年12月10日

一人ひとりを大切にする保育

四條町教会牧師・認定こども園清愛幼稚園園長
藤 秀彦

 今年で創立110年を迎えた清愛幼稚園は、米国クリスチャン教会のスゼイ・フライ宣教師が設立した「宇都宮クリスチャン幼稚園」に始まります。女子教育と幼児教育に力を注いでいたフライ宣教師は、幼稚園の開園に先駆けて1907年に女学校を開校しました。ところが幼稚園の開園直前に、アメリカの宣教団体が女学校に対して経済的援助を打ち切る勧告を出し、学校の運営が危ぶまれます。それでもフライ宣教師は勧告後も私財を投じて学校運営を続けることを決心しました。幼稚園はそのような厳しい状況での船出でした。
 幼稚園と女学校の運営に尽力したフライ宣教師は、病のために1928年に宇都宮の地で生涯を終えます。女学校はその後閉校となりますが、幼稚園は名称を清愛幼稚園に改め、クリスチャン教会の牧師が園長を務めて継続されることになりました。幼稚園の運営母体であった教会は、後に日本組合基督教会との合同や宇都宮メソジスト教会との合併を経て、現在の四條町教会へとつながります。
 太平洋戦争中には牧師が徴兵されて保育も中断させられました。戦中戦後の混乱の中では保育に必要な遊具や備品が持ち去られるなど多くを失いますが、再び近隣地域の子どもたちを迎えて保育は再開されます。
 東日本大震災では園舎が大きなダメージを受けて園の存続も危ぶまれましたが、耐震性のない園舎の部分の改築により、保育を継続できるようになりました。2019年からは、幼保連携型認定こども園の認定を受け、1・2歳児を受け入れる保育体制をとっています。乳幼児の保育経験が豊かな職員や、四條町教会の方々が加わっていただいての出発でした。これまで幾度も存続の危機を経て歩み続けられたのは、地域の子どもたちの健やかな成長を願い、また保育の働きに主の支えと導きが与えられることを信じて、保育に力を尽くした方々があったからだと思っています。
 いま私たちの園には、多様な発達段階にある子や、保護者が外国籍の子など、様々な背景をもつ子どもたちが在園しています。これまでも統合保育を園の特色として掲げてきましたが、これからは子どもたちの多様性を尊重し受け入れる、インクルーシブ保育へと変わっていく必要を感じています。私たちは各クラス15人前後の小規模な園ですが、各クラス複数の職員で発達上の課題がある子に寄り添い、さらに県や市の発達支援機関との連絡体制を作って、専門家の助言を受けながら保育にあたっています。子どもの多様性を受け入れるには、家庭とのコミュニケーションを取っていくことも大切です。コロナ禍と呼ばれる状況で保護者と共に行う保育行事の中止や縮小をせざるを得なくなり、保護者と共に子どもたちの育ちを見守る難しさを痛感しています。それでも子どもたちの一人ひとりを大切にするキリスト教保育の原点を常に確かめながら、日々試行錯誤しています。

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