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日本基督教団 The United Church of Christ in Japan

【4987号】クリスマスメッセージ(1面)

2022年12月10日

今こそ声あげ
詩編113編4〜6節、ルカによる福音書2章10〜14節

目黒原町教会牧師
大塚 啓子

神が人となられた

 クリスマスは、神が人となられた出来事です。神は天におられる方であり、地にいるわたしたちとはまったく次元の異なる存在です。天と地の間には超えることのできない大きな隔たりがあり、わたしたちの方から神に至る道はありません。しかし神は、天からこの世に下って来られました。ここに、わたしたちの信じる神の本質があります。
 「主はすべての国を超えて高くいまし、主の栄光は天を超えて輝く。わたしたちの神、主に並ぶものがあろうか。主は御座を高く置き、なお、低く下って天と地を御覧になる」(詩編113・4〜6)。わたしたちの神は、すべての国を超えて高くいます方であり、その栄光は天を超えて輝くほどです。しかし、この高きにおられ、栄光に輝く神が地に下って来られました。
 「言は肉となって、わたしたちの間に宿られた。わたしたちはその栄光を見た。それは父の独り子としての栄光であって、恵みと真理とに満ちていた」(ヨハネによる福音書1・14)。言であるイエス・キリストは、肉となってわたしたちの間に宿られました。天におられる神の独り子が、地上に下りて来て人間となられ、わたしたちの間に宿ってくださいました。これがクリスマスの出来事です。

わたしたちのために

 なぜ、神は人となられたのでしょうか。ルカによる福音書はこう告げます。「今日ダビデの町で、あなたがたのために救い主がお生まれになった。この方こそ主メシアである」(ルカ2・11)。わたしたちのために、イエスさまはお生まれになった。イエスさまこそが、わたしたちの救い主であると告げます。そしてこの告知に続き、突然天の大軍が加わり、神を賛美します。「いと高きところには栄光、神にあれ、地には平和、御心に適う人にあれ」(ルカ2・14)。救い主の到来は賛美を生み出しました。神がわたしたちに救い主を与えてくださった。この恵みの出来事が、賛美を引き起こします。
 天使の言葉を聞いた羊飼いは、主が知らせてくださったその出来事を見ようではないかと言って、ベツレヘムに急ぎ、マリアとヨセフ、また飼い葉桶に寝かせてある乳飲み子を探し当て、天使の話したことを人々に知らせました。そして、「見聞きしたことがすべて天使の話したとおりだったので、神をあがめ、賛美しながら帰って」(ルカ2・20)行きました。救い主のお生まれを見た羊飼いは、神を賛美する者となりました。

神を賛美できない存在

 本来、わたしたちは神を賛美することなどできない存在です。罪のために神を信じることができず、むしろ拒みます。「言は、自分の民のところへ来たが、民は受け入れなかった」(ヨハネ1・11)。主イエスは「ご自分の民」のところへ来られたのに、民は主イエスを拒みました。わたしたちは「神の民」とされ、この一年も神から多くの恵みをいただきました。しかし、どれだけその恵みを受け入れ、感謝をささげてきたでしょうか。さまざまな困難に目を奪われていたのではないかと御言葉から問われます。ここに、わたしたちのところに来てくださった神を拒み、排斥してしまう姿を見ます。農夫たちが、ぶどう園の主人の息子を「外にほうり出して、殺してしまった」ように(ルカ20・14)、神の独り子を拒み、殺してしまったのが、他ならないわたしたちです。神を賛美することなどまったく不可能な存在であることに目を留めさせられます。

罪からの救い−神を賛美する者として

 しかし、この罪からわたしたちは救われました。この罪から救い出すために、神の独り子は人間となり、十字架におかかりになりました。まさに主イエスは、「わたしたちのために」、天から下って来てくださったのです。罪から救い出されたわたしたちは、神を賛美する者に変えられました。
 「主を賛美するために民は創造された」(詩編102・19)。神はわたしたち人間を、「主を賛美するために」造られました。この創造された姿に回復されたのが、主イエスの救いの出来事でした。罪のために神を賛美することなどできなかったわたしたちは、罪を赦されて、神を賛美する者として回復されたのです。
 詩編113は、「ハレルヤ」と神を賛美しています。天から下り、「弱い者を塵の中から起こし、乏しい者を芥の中から高く上げ」てくださった神に、「ハレルヤ」(9)と賛美をささげています。救い主の誕生を告げた天使の言葉に続いて、天の大軍は賛美をささげました。「いと高きところには栄光、神にあれ、地には平和、御心に適う人にあれ」。

賛美の回復

 新型コロナウイルス感染症のため、賛美を自粛せざるを得ない状況が長く続きました。目黒原町教会では、賛美を歌うことを止めたことはありませんが、曲数を減らし、飛沫感染を意識するところから、賛美の心が委縮してしまったのではないかと感じます。喜びの出来事であるはずの主イエスの救いを、溢れる喜びと共に語り伝えるのではなく、抑えてきたのではないか。わたしたちのささげている礼拝は、心の底から神を賛美するものとなっていただろうかと問われました。
 クリスマスは、わたしたちが神を賛美する者に変えられた出来事です。わたしたちの罪を一方的に赦し、神を賛美する姿を回復してくださった日であるから、今こそ、わたしたちは賛美を回復したいと願います。

呼びかけに応えて

 詩編は呼びかけます。「ハレルヤ。主の僕らよ、主を賛美せよ。主の御名を賛美せよ」(詩編113・1)。天の大軍も賛美に連なるように招きます。「いと高きところには栄光、神にあれ、地には平和、御心に適う人にあれ」。
 救い主の誕生を見た羊飼いが、神をあがめ、賛美したように、わたしたちも今、救い主の誕生を見て、賛美の声をあげたいと思います。
「今こそ声あげ よろこんで歌え。みどりごイェスは 貧しいまぶねに 朝日のように 明るくかがやく。アルファ、オメガ、永遠の主」(讃美歌21・247番1節)。

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