主イエスにつながって
鈴木 実さん
1958年生まれ、梅ヶ丘教会員、日本聾話学校校長
キリスト者の家庭に生まれた鈴木実さんは、幼い頃から両親に抱かれ、教会に通っていた。高校時代、野球に打ち込むようになり、教会からは離れてしまう。浪人中、つながるところがない心細さを感じている時、家に置いてあった週報の祈りに覚える人の欄に自分の名前を見つけた。神さまは自分をつなぎとめてくれているということに気付かされ、教会に引き戻された。
この時期に教師になりたいという思いを与えられる。決められたことをこなして行くだけの学校の勉強が好きになれなかった鈴木さんは、生徒が関心を持ったことに意欲を持って取り組んでいけるよう寄り添い、環境を整えてあげられる教師になりたいと思ったそうだ。そのような愛情を注いでくれていたのが、教会学校の先生たちだった。
大学では工学部に進み、数学の教員免許を取得。卒業後は、教会のつながりの中で出会った日本聾話学校に就職した。キリスト教精神に基づき、手話を用いず、子供自らが言葉を獲得する聴覚主導の人間教育を実践している。
乳幼児期から、その子にあった補聴器をつけて愛情を持って語りかける時、赤ちゃんは障害を乗り越え自ら言葉を聞き出す。ただ「お茶」という言葉を教えるのではなく、一緒に過ごし、お茶を飲み、「あったかいね」と思いを分かち合うやり取りを続ける中で、言葉と出会って行く。
「聴覚も神さまがくださったもの、愛を持って関わると、弱いところに神さまの恵みが注がれ、耳が開かれて行く」と語る鈴木さん。これまで専門の数学を教えることはほとんどなかったが、結果として自身が求めていたものに携わることが出来たと振り返る。
主イエスにつながっている時に結ばれる豊かな実りを、驚きを持って受け止めつつ、鈴木さんは出かけて行く。