コロナ禍における教団総会の開催について(櫻井圀郎見解要約)
教団総会の開催について、教団から櫻井圀郎氏(宗教法および宗教経営研究所所長教授)に意見を求め、文書による回答を得た。
⑴書面決裁(書面決議)について
書面決裁とは、「書面における議決権の行使または書面による提案とそれに対する同意によって決議に替える『決議の省略』である」が原則となる。教団総会は、これまで議員が物理的に一堂に会することを前提としてきており、書面決裁の前例はない。
株式会社その他一般の法人の場合、会社法(310条1項)や一般法人法(50条1項)において、「委任状(代理権を証明する書面)の提出または電磁的方法(電子委任状)による提出」によって会議が成立し、議決することが可能となっている。法律上は「決議の省略」という。
教団総会に右記の定めを類推適用するのは、教規に定めていない限り不可である。しかし、“非常事態”におけるやむを得ない方法としては可能性があると考える。
書面決裁では、教規に規定された事項を議事とすることを何ら妨げないが、動議や修正は出来ないので、資料は出来る限り整えて準備する必要がある。選挙は郵便投票による外はない。前例(議長選挙から行う)にとらわれず、一度に投票することを推奨する。すべての選挙に当選した者は、開票結果後、一つのみ残して辞任すればよい。
⑵オンライン会議について
法務省民事局の株式会社取締役会に対する通達(1996年)「相手の音声と画像が即時に参加者に伝わり、適時的確な意見表明が出来る仕組みであれば『テレビ会議システム』は有効」が合法性の根拠とされている。対面式に近い環境を整えることが条件となる。
したがって、総会議員400名による教団総会の場合、オンライン会議の導入は実質的には不可能であろう。オンライン会議開催の問題点としては、①機器設備や通信環境(ネット環境)の問題、②会議進行させる通信室の空間の問題、③オンライン操作や通信技術の問題、④システムの習熟度の差や好みの問題、などを指摘しておく。
結論としては、対面式との併用を考慮しても、議員全員の反対を招くことがないように最善の対応を講じることが必要で、合意がない限り、オンライン会議は困難と考える。(道家紀一報)