涌谷教会に受洗者が与えられ、信徒数が増えたと聞いて、礼拝に出たいと思った。この私の思いを涌谷教会に伝えると、説教をして欲しいとの依頼を受けた。
訪問に先立って涌谷教会役員からお手紙をいただいた。その中に「神様に愛される子どもは社会の宝、キリスト教保育を担う保育者は教会の宝」と書かれていて驚いた。教会が幼児施設を運営して行く上での見事な理念だ。涌谷保育園は教会と保育園が一体の関係で保育をすることで地域社会の信頼を得てきた。今17名の宝の保育者の一斉退職という衝撃の中にある。
礼拝の後、一斉退職をした職員と保護者の話を聞いた。涌谷保育園を愛し、子どもを愛し、涌谷保育園で働くのが誇りであった職員が退職せざるを得なかった話は涙なしには聞けなかった。保護者たちの失望と裏切られた怒りに教団の代表として頭を下げた。
涌谷教会の信徒たちは説教を涙しながら聞いていた。「あのことがあったから御言葉が心に大きな力として響いてくる。これほど御言葉が響く経験をしたことがなかった」と語る。教会は4、5名の礼拝を守っている。この苦難の中で「礼拝が全て。礼拝から」と語り「あなたは心を尽くし、魂を尽くして、あなたの神を愛しなさい」(申命記6・5)を心に刻みながら懸命に教会に仕える信徒たちだ。(教団総会議長 石橋秀雄)