【教団新報4950・51】伝道報告

女性と子どもが安心して生きられる社会の実現をめざして

公益財団法人日本キリスト教婦人矯風会 理事長/溝ノ口教会牧師 飯田 瑞穂

1886年、禁酒運動が米国から紹介され56人のキリスト者女性たちが矯風会を設立しました。創始者の矢島楫子は夫の酒乱と暴力の被害者です。しかし、日本の女性にとって酒害以上に深刻だったのが、重婚と貧困女性の売買春を国が公然と認めていた公娼制度でした。一夫一婦制を求める請願、廃娼運動、廃業する女性を匿い会員の力で施設を作り自立の支援活動をし、婦人参政権も求めます。廃娼運動は、現在の婦人保護事業の礎ともなり、社会福祉法人となった矯風会関連施設が今も全国に数カ所あります。「運動と福祉は車の両輪」の精神が矯風会に培われました。

1986年、国籍を問わない緊急一時保護施設「女性の家HELP」(所在地非公開)の運営が始まります。アジアの出稼ぎ女性が性的搾取に遭ったバブル期。国内外の献金に支えられ女性の駆け込みセンターになりました。現在は行政を経由し入所できますが、民間シェルターへの国の財源援助は充分でなく、寄付に大変助けられています。DV、貧困、居所なし、障がい、暴力等複合的問題を抱える女性や母子。日本人の利用が多く年齢も様々。原則2週間に心身を休めてもらい、次の支援へつなぎます。

コロナ禍でDVが増加しました。失業や収入減。ネットカフェなどから追い出された女性たちも安全な場所を失いました。女性の家HELPでは、他に行く所のない女性たちのために入所制限せず、ほぼ満室状態が続きます。電話相談につながる不安や憤りの声、外国語での相談も増えました。相談できずにいる女性がどれだけいるでしょう。困窮する女性への性搾取や性暴力があとを絶たない中、精一杯生き抜こうとされている方々が福祉に繫がってほしいと願います。

矯風会は「女性と子どもが安心して生きられる社会の実現」をめざし、人権と福祉を二つの柱にして活動しています。憲法改悪反対、脱原発等を訴え続けています。また、性暴力や性搾取等の根絶の取り組みから「児童買春・ポルノ禁止法」の第三次改正を要望中です。アディクション(アルコール等の依存症)の相談事業も行っています。2月は「神学生交流会」に神学生をお招きし、宣教の現場で役立つミニ講座を提供します。DVやアディクションなど家族の問題で悩む方がおられたら教会だけで抱えず、福祉事務所や専門の支援機関に繋ぐようお伝えしています。家族の体裁や社会の目は女性に厳しく、依存症の女性は幾重にも生き辛さを負わされており心が痛みます。女性の視点を大切にした支援をめざしています。

力の支配や性的役割分担で抑圧された社会でなく、多様な生き方を認め合う寛容な社会なら誰にとっても生き易いはずです。私には、国に犠牲を強いられる沖縄や福島が、弱くされている女性や子どもと重なって見えます。女性の視点を生活の中に、政治の中にと願います。矯風会の働きをお支えください。また、矯風会をご活用ください。

◎「女性の家HELP」月〜金(℡03−3368−8855)女性のための電話相談

◎「矯風会」月〜金(℡03−3361−0934) アディクション相談

◎URL https://kyofukai.jp

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